表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/143

特使11 依頼

お立ち寄り頂きありがとうございます。

こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。

設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。

昭国の離宮から退出した私は、クローディア公爵閣下の執務室に急ぐ。

閣下は私の報告を聞いて、難しい顔をした。


私の現在の上司はクローディア公爵閣下であるため、昭国の特使襲撃の報告も閣下に行う。


「閣下、特使団のうちこの者達の、入国してからの足取りを追えませんか?」


私は資料を渡す。特使が滞在する残りの日程を考えれば、急ぎで調査をお願いしたいところだ。


「できるだけやってみよう」


「複数の拠点に出入りしている場合、海に面している所を重点的に探って頂けませんか?港に私の知り合いがいるので、協力できれば早く突き止められると思います」


閣下は少し驚いた顔をしてニヤリと笑った。


「何か考えがあるのか?」


「はい。

今回のヤン殿下の襲撃事件は昭国の手の者の仕業です。使われた武器と毒が昭国特有の物であること、及び証拠が持ち去られた点を鑑みて間違いないと思います。ユエ執務官が同行者を探っていたことも含めて、確実かと」


「あの国は王子同士を争わせて、より強い王を選ぶ慣習があるからな。我が国にいる間に第一王子を亡き者にしようとしているのか……」


「ユエ執務官は証拠を揃えて、敵を追い詰める機会と考えているようです。

そこで閣下にお願いしたいことがございます」


「聞こう」


閣下の顔は宰相としてのそれだ。

この底知れない笑顔に、向き合う者は試されてしまう。そして思い知るのだ、自分と目の前の方の実力の差を。


その外交能力で現在の役目を任された、切れ者と称される大貴族の長、宰相クローディア公爵閣下。


これが上に立つ者の在るべき姿なのかと、改めて思った。



✳︎


公爵家別宅に帰宅し夕食を終えて自室に戻ったところで、ユリウス様が帰宅された。今日も王宮に泊られると思っていたので、少し驚いた。


「レイ、襲撃されたって⁈」


ユリウス様が慌てて部屋に入ってきた。


「ユリウス様、ご心配をおかけしました。

私は大丈夫です」


ユリウス様に抱き締められる。


公爵閣下経由で然るべく情報が渡ったのだろう。

激務を推して駆け付けてくれたのが嬉しい。



「レイが危ない事に巻き込まれるのは嫌だ」



「これからは気をつけます」


ユリウス様は抱き締める腕を強めた。  


それが彼の答えだろう。


ユリウス様にも分かっている。

今私が役目から逃げるわけにはいかないことを。


特使が滞在するのもあと1週間。

この間を無事に過ごせれば良いのだ。



「ユリウス様、お願いがあります。

今の王宮において、クローディア公爵家と対立している家門を教えて頂けませんか?」


「急にどうして?」


「誰かが、私が伯爵令嬢であることを昭国のユエ執務官に伝えたのです。その狙いを知りたいのです」 


ユリウス様の雰囲気が変わる。

婚約者ではなく、第二王子の側近のそれに。


彼は気が付いたのだろう。

昭国の特使の任が仕組まれていたことに。


通常、官吏の個人情報は特使側には伝えられない。伝えられるとしても、今までの職務内容くらいだ。


私の場合なら「下級官吏として平民向けの業務を担当している」こと、それくらいなら昭国側に知られているかもしれない。


実際、ヤン殿下の取り巻きや同行者達は私のことを知らなかった。


しかしユエ執務官だけは私の身分を知っていた。

しかも下級官吏の情報の中に貴族令嬢は含まれない。公爵閣下も上手く情報操作をして下さっているので、少なくとも特使が知っている情報ではない。


おそらく私の出自も把握して、ヤン殿下に会わせたのだろう。


つまり、王宮内にわざわざ私の情報を昭国に流した者がいる。

評価頂いた方々、ブックマーク頂いた方々、リアクション頂いた方々、毎回励みになります。

ありがとうございます^_^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ