16.リフコとデート
ー 空中都市 城下町 ー
空中城の城下町は、天空に浮かぶ幻想の街のようだった。ツバイは、女神であり配下である、そして自らの嫁でもあるリフコの手を取った。
「今日は君とゆっくり歩こう。誰にも邪魔されず、ただ俺達だけの時間を。」
リフコは微かに驚いたように目を見開き、微笑みを浮かべる。真面目で律儀、負けず嫌いな彼女は、普段ならば仕事を優先してしまう。しかし今日は、ツバイの誘いに素直に応じ、少し肩の力を抜いているのがわかった。
「ツバイ様……本当に、私たちだけでよろしいのでしょうか?」
「もちろんさ。君には休んでもらわないと。」
リフコは一瞬考え込むように小さく息をつき、そして控えめに頷いた。その仕草に、ツバイは思わず笑みを深める。リフコの小さな頷きは、普段の緊張感とは異なる柔らかさを帯びていた。
二人は腕を組んで城下町の大通りを歩きながら、屋台の香ばしい匂いや、川面に映る夕陽の輝きを楽しんだ。神と女神である2人が現れると、城下町は大騒ぎになるから、ツバイは隠蔽魔術を使って周りの人から見えないようにしている。
「城下町の人はかなり増えたな。」
ツバイは周りを見渡す。空中都市ができた時は数人しかいなかったのに、長い年月で人口が増えた。衣食住はアンドロイドが作っていて、犯罪をしなければ何をしても問題がない。空中都市に住む人々は地上の人とは比べならないほど、幸福な生活をしている。
二人は城下町の高台にあるカフェに足を運ぶ。窓際の席に座れば、眼下に広がる雲海と、夕陽に染まる街並みが一望できる。ツバイは椅子を引き、リフコを座らせると、そっと腰に手を回して隣に座った。
「ここからの景色……本当に美しいですね。」
「いや、君と一緒だからこそ、何倍も美しく見えるんだ。」
リフコはその言葉にわずかに息をつき、肩の力を抜く。ツバイに心を預け、恋人として、嫁としての自分を解き放っていた。
ツバイはリフコの髪に手を伸ばし、柔らかく指先で撫でる。その手つきは慎重で、まるで触れるだけで壊れてしまいそうな繊細さを持っていた。
「君の髪……光を受けると、本当に美しい。」
「……ツバイ様……」
リフコの頬がさらに紅く染まり、目を伏せる。主人公は微笑みながら、そっとリフコの手を握った。手のひらから伝わる温もりが、互いの心を穏やかに包み込む。
二人はカフェを出て、城下町をゆっくりと歩き続け、浮遊する橋の上で立ち止まった。眼下には雲海が広がり、空には星が瞬き始める。ツバイはリフコをそっと抱き寄せ、肩越しに見える夜景を一緒に眺めた。
「星が……俺達を祝福しているみたいだ。」
「……はい……ツバイ様と一緒にいる今、この景色は何倍も美しく感じます。」
その言葉に、ツバイはそっと唇を近づける。リフコは目を閉じ、小さく息をつき、2人の唇が重なる。唇が触れた瞬間、ツバイの唇はリフコの鼓動を確かめるように重なり、その優しさに身を委ねる。
「君と過ごす時間が、俺にとっての幸福だ。」
「……ツバイ様……私も、同じです。ツバイ様と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がします。」
二人は手を握り、ささやき合い、時折笑い合う。二人は静かに城へと戻る道を歩きながら、肩を寄せ合い、互いの心と温もりを確かめ合った




