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人類誕生時代に来たので、人類の支配者になる  作者: 浅霧 瀬智
第一章 

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12.愚王

ー 空中都市 プライベートビーチ ー


ツバイはメソポタミア文明に接触してから、エジプト文明、インダス文明、中国文明ができるたびに、マナと魔術を与えて、天使達を送り付けた。その結果として、本来の歴史とは違う歴史になっていた。どの文明も前により、広い領土を獲得していて、ツバイを神とした宗教と豊かな生活をしていた。

ツバイはビーチチェアで水着姿でくつろぎながらセリアの報告を聞いてた。


「我が主。人類支配体制の構築は順序に進んでます。天使達が宗教に我が主を神として、信仰させています。魔術とマナは理想通りに世界中に浸透しています。しかし、我々が知る歴史とは異なる歴史を歩んでいますが、よろしいのでしょか?」


セリアは未来知識が使えなくなる心配をしている。


「かまわない。確かにこのまま歴史が進めば、未来は大きく変わるだろう。だが、私達には魔法があるし、ナノマシンで人類を操る事も出来る。何が起きても対処出来るから心配するな。」

「わかりました。‥‥ところで、まだ水着の感想がありません。我が主。」


セリアは、胸寄せ前屈みになりながら、白いビキニの肩紐を指先で軽くつまみながら、悪戯っぽく笑った。セリアは自分の魅力を自覚していて、隠そうとしない。


「いつもと違う魅力があって、とても似合っているよ。」


飾り気のない言葉なのに、セリアの肩がぴくりと跳ねた。セリアは一瞬きょとんとしたあと、頬を赤く染めて視線を逸らす。


「‥‥そ、そんな言い方は、反則です。」


挿絵(By みてみん)


そう言いながらも、口元は隠しきれないほど嬉しそうに緩んでいる。セリアのあまり見ない姿にツバイも驚く。太陽よりも眩しいその笑顔に、ツバイは胸の奥が温かくなるのを感じながらセリアとビーチで遊んだ。


ー メソポタミア文明 教会 ー


メソポタミア文明が一つの国に統べられてから百年。肥沃な大河のほとりに築かれた都は繁栄の極みにあったが、玉座に座る王は、賢明さとは縁遠い男だった。王権に溺れ、女、酒と賞賛だけを糧に生きる、愚かで浅薄な王——民は陰でそう囁いた。


王は、自らの愚かさを疑うという概念を、生まれてこの方一度も学んだことがなかった。黄金で飾られた広間、ひれ伏す家臣、思い通りに動く国。それらが彼の世界のすべてであり、「王の言葉=真理」という歪んだ確信が、長年かけて脳裏にこびりついていた。周りの家臣も王に媚びるばかりで改善をしようとしない。

ある日、王は国の儀式として教会に出向いていた。魔術とマナを与えてくれた神様に感謝する儀式だった。


教会――人々が祈りを捧げ、天上の意思を仰ぐ聖域。その静謐を、王の不満げな声が踏みにじる。


「おかしいだろう? なぜ俺の像がない」


黄金の柱に囲まれた大広間で、王は壁を睨みつけた。そこには神であるツバイと 女神である幹部達の彫像が並び、歴代の賢王の名は碑文として刻まれている。しかし、現王の姿はどこにもない。


「民は俺を王と呼ぶ。ならば神殿に俺の像があって当然だ。なぜ、こんな像ばかりが幅を利かせている」


その視線の先、白い翼を持つ天使が静かに立っていた。神の使いとして遣わされた存在。だが王は、その神聖さを理解しようともしない。


「お前だ、天使。神に仕えるだとか偉そうな口を利くが、結局は神の腰巾着だろう?」


天使は答えない。ただ、澄んだ瞳で王を見つめる。その沈黙が、王の自尊心をさらに刺激した。


「その目が気に食わん。まるで俺を見下しているようだ。神とやらも同じだ。姿を見せぬくせに、罰だ祝福だと騒ぎ立てる。俺がこの地を治めているというのに。」


王は立ち上がり、杯を投げつけた。石床にぶつかり、甲高い音が神殿に反響する。その音が消えた後、異様な静けさが訪れた。風も、蝋燭の揺らぎも止まり、空気が重く沈む。


「神など必要ない。俺こそが民の神だ」


側近たちは恐れることなく、むしろ嬉々として王の傍らでうなずき続ける。王の愚かな誇りと傲慢は、彼らにとっては神の言葉よりも重く、尊いものだった。


「俺の力を讃えろ!俺の知恵を礼賛しろ!神も、天使も、俺の前ではただの飾りに過ぎぬ。」

「聞け、神よ!お前の存在など、俺の偉大さに比べれば紙くず同然だ。愚かなるお告げなど、何の価値もない。お前の天使どもも、俺にひれ伏すのが筋というものだろうが!」


教会が凍りついたまま、王の愚鈍さだけが響き続ける。静まり返った教会内に反響し、厳粛な雰囲気を無理やり引き裂いた。司祭も信者も誰一人、ただ硬直したまま見つめるしかなかった。天使はなにも感情がない言葉で警告する。


「王よ、あなたはこの地にある繁栄の積み重ねを一息で踏み潰した」

「脅しか? くだらん。神が怒るなら、今すぐ雷でも落としてみせろ」


沈黙。教会の奥、見えぬ高みで何かが軋む気配がした。王は気づかない。ただ、自分の像がないことへの怒りと、根拠のない万能感に酔いしれていた。


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