四、真の天才
「来たぞー!戦え〜。」
王平軍を攻撃していた柴田軍の伏兵と、魏延軍・黄忠軍がぶつかった。
「佐久間様。いつ頃出撃ですか?」
柴田軍のもう一つの伏兵がの兵士が、佐久間に訪ねた。
「徳山殿がほら貝をならしたら、一斉に突撃だ。」
佐久間がそう言うと、ちょうどほら貝が谷の反対側から聞こえてきた。
「今だ、かかれー!」
ほら貝の合図と同時に、佐久間軍、反対側の徳山軍が出撃した。
挟まれた蜀軍はたまったものではない。
「黄忠様!現在我が軍と魏延軍が敵に挟まれました!しかも、柴田軍本軍が、十六万の軍勢を率いてこちらに向かっています!」
兵士は焦った様子で、黄忠に事の次第を報告した。黄忠はつかれた顔をしながら、
「大丈夫じゃ。全て丞相の計算通りになっている。丞相を信じて戦うんじゃ!」
兵士たちは黄忠の言葉を信じて奮戦した。
一方、関羽、趙雲、馬超の三人は基谷の戦況を眺めていた。
「趙雲。そろそろ味方が危うくなってきたかの?」
関羽が長く立派な髭を触りながら言った。
「そうですね。敵の本軍も十六万の軍勢を率いて基谷に向かっていますしね。馬超殿はどう思います?」
「俺も、そろそろ丞相が我らに授けた巾着袋を開けたほうが良いと思うぞ。」
関羽は趙雲、馬超が同意したので、巾着袋を開けて、手紙を読んだ。内容を見て、関羽達三人は驚いた。
『味方が窮地に陥ったら、馬超は敵の本陣を陥とせ。その後、関羽と趙雲は本陣を助けようとする柴田軍本軍を斜谷で待ち伏せし、挟撃せよ。』
「そ、そうか。丞相の真の狙いは本陣あったか!」
関羽がそう言うと、趙雲も関羽に同調しながら、
「確かに柴田軍の本軍が出撃した今、敵の本陣にの乗ってるのは二万程度。落とすのは容易い!」
馬超は三万の軍勢と共に柴田軍本陣へと向かい、関羽と趙雲は斜谷に潜み、柴田軍本軍が来るのを待った、。
こちらは柴田軍の本陣。守将は高山友照だった。そんな友照のもとに急報がもたらされた。
「き、急報!蜀軍が、この本陣に向って攻めてきます!その数、三万!」
「三万…。我が軍は二万…。十分に戦える。よし、こちらも迎撃する陣を敷け!」
その後、馬超率いる三万の軍勢と、友照率いる二万の軍勢がぶつかった。
「おらおらぁ。雑魚はどけ!大将を出せ大将を!」
流石は五虎大将軍である。柴田軍の中を無人かのように駆け回った。それを見た柴田軍は士気を無くし、逃げるばかりであった。
「いたぞ!お前が大将だな!その首、貰い受ける!」
すると友照も馬に乗り、馬超の下へと走っていき、一騎打ちが始まったが、勝負は一瞬で決まった。馬超の一閃のもと、体が縦に真っ二つに分かれて絶命した。
友照が死んだ時、勝家は基盤谷で大混戦をしていた。勝家は十六万もの大軍を指揮したことがないのか、軍の隊列が乱れていた。そのため、戦はほぼ互角であった。そんなもとに、友照死すの報が伝えられた。
「友照…。お前は良き私の家臣だった…。」
勝家は男泣きに泣いた。
「友照を殺したやつは絶対に許さない。殺したやつは馬超と申すものだそうだな。よし、全軍反転!馬超を殺し、本陣を取り返すぞ!」
柴田軍が撤退した時、蜀軍は孔明の命でわざと追撃せず、逃がした。柴田軍は基谷を抜け、斜谷に通りかかった。
「後もうすぐで本陣だ。馬超の首をたたっ斬ってやる!」
勝家がその言葉を言い終わらないうちに、関羽・趙雲の軍勢がドラの合図と同時に左右から出現し、前からは馬超軍が、後ろからはさっきまで戦っていた黄忠、魏延、王平、そして新手の姜維軍が来て、完全に包囲された。
「く、クソ!こうなったらひたすら前を目指すんだ!」
勝家は必死だった。だが、蜀軍の趙雲は曹軍五十万の軍勢の中を無人かのように駆け回り、劉備の子を助けた強者で、関羽は趙雲よりも強く、智謀も兼ね備えた天下無敵の武将だった。そんな武将が暴れまわり、しかも隊列が乱れているのであれば、勝敗は火を見るよりも明らかであった。勝家は大敗し、雍州まで敗走した。
「か、関羽殿。こんな大戦、こんなにすぐに終わってしまうとは…。」
趙雲は動揺を隠しきれない様子で関羽に言った。
「う、うむ。丞相は真の天才であるな…。」
……この戦は蜀軍が勝利した。被害は、兵士が十五万のうち二万が戦死したが、被害は軽い方だった。一方柴田軍は二十五万の兵のうち、八万が戦死・逃亡兵十万・降伏した兵七万。将も五人も失うという大敗を喫した。




