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【俺様フェンリル】の飼い主になりました。異世界の命運は私は次第!?~悪を成敗!頭を垂れて我につくばえ~  作者: 酒本アズサ


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95.リュカ司祭

「あ、あの、今……光……神託が……まさか……!?」



 はくはくと口を何度も動かしたあと、何とか言葉を絞り出した司祭。

 やはりバッチリ見られていたようだ。



『主、説明してやるといい。この者は王都の者達よりかなりまともゆえ、その方が今後面倒事が減るであろう』



「そう? じゃあ全部説明した方がいいか。えーと、勝手に入ってごめんなさい。私はサショイノ王国の王都でフェンリルの主であり聖女だと認められたサキと言います。昨日この町に来て、さっき近くに家を買ったので神様にご挨拶しにきました」



「フェンリル様!? 聖女様!? ちょ、ちょっと待ってください。頭が混乱して……えーと、サショイノ王国……フェンリル……聖女……シパンに……はぅっ」



 なにやらブツブツ言っていたかと思うと、いきなり卒倒しかける司祭。



「おちつけ、大丈夫か」



 咄嗟(とっさ)にマティアスが司祭を支えた。

 司祭はたった今その存在に気付いたかのように、身体をビクリと震わせて驚いている。



「ああ……これまで否定されてきた狼獣人はフェンリル様の眷属であるという説は、本当だったのですね……!」



 とうとう涙を流し始めた司祭にちょっと引いてしまった。

 けれどさっきの言葉にちょっと引っ掛かる。



「あれ? 狼獣人が眷属っていうのは有名じゃないの?」



「オーギュストが言うには、それが知られていたせいで狼獣人が多い森に権力者の見張りがついてフェンリル様が(さら)われていたから、あえて風化するように祖先が情報操作をしたという説があるらしい。フェンリル様の存在自体が御伽噺(おとぎばなし)のように思われている国もあるくらいだからな。色んな説があったりするのも私達の祖先の計略という説もあるそうだ」



「ハッ! オーギュストというのはもしや、『フェンリルが誕生する森』の著者の……!? お知り合いなんですかっ!?」



「あ、ああ……、本人も一緒にこの町に来ているが……」



 司祭の勢いに押されるマティス。



「おお、なんという事でしょう! 聖女様、フェンリル様に加えてオーギュスト様まで!」



 とうとう司祭は跪いて神像に祈りを捧げ始めた。

 なんか聖女とフェンリル(私とアーサー)の時より喜んでない?



「ギルド職員といい、司祭といい、この町にはオーギュストのファンが多いのかな」



 この町(シパン)に来るまでオーギュストの読者に会った事もなければ、本を見る事もなかった。

 森の集落の二人の家なら本に紛れてあったのかもしれないけど、あんな分厚い本を読む気にはなれなくて気にして見た事がなかったのだ。



「興奮して申し訳ありません。この町は審判の魔女がいたという伝説が残っているので、歴史や御伽噺が好きな住人が多いと言うか、集まってきたというか……。結果的に町全体がそういう傾向にある、という感じです。それにしても……ふふ、この町に……」



 なかなか強烈な司祭のキャラクターのせいで忘れかけていたけど、神託で教えてもらった事を話しておいた方がいいだろう。



「あの~……、さっき神様から教えてもらったんですけ」「ご神託の内容ですかっ!?」



 あ、よかった。オーギュストより神様の神託の方がちゃんと大事なようだ。



「はい。ひと月くらいでダンジョンが復活するって」



「「「「…………ええぇぇぇぇえ!?」」」」



 その時礼拝堂に響いた声に、神殿の人だけでなく、ご近所さんまで様子を見にきた。

 そして司祭の名前がリュカだと教えてくれたのは、野次馬の一人のご近所さんでした。


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