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【俺様フェンリル】の飼い主になりました。異世界の命運は私は次第!?~悪を成敗!頭を垂れて我につくばえ~  作者: 酒本アズサ


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94/109

94.町の小さな神殿

 エルフの店主の工房を出て、他の生活用品を見繕うために工房街を見て回る。

 するとどこからか子供の声が聞こえてきたので、声のする方へ行ってみると小さな神殿があった。



「神殿ってもっと町の中心にあるものなんじゃないの?」



「商業ギルドの職員が言っていただろう、この町は昔からあるエリアと後からできたエリアがあると。以前はこの辺りが中心だったのかもしれないな、商店街や工房街は人の通りが多くなるから、小さい町だとそこが中心な事が多い」



「なるほど」



 マティスの説明に納得する。

 恐らく買った家からはこの教会が最寄りの神殿となるだろう。



「せっかくだから、神殿で神様に引っ越しの報告でもしておこうか。向こうに届くかどうかわからないけど。あははっ」



『主の祈りであれば届くであろうな。だが挨拶をしておくというのはよい考えだと思うぞ』



「え……? 届くの!?」



『うむ』



 当然のように頷かれてしまった。

 だけどここで暮らす事とか、森の家の事とか報告したら何か有用な事を教えてもらえるかもしれない。

 みんなも同意したので神殿の礼拝堂の扉を開いて中へと入る。



 外からは孤児院でも併設されているのか、子供の声が聞こえているが、中はシンと静まり返っていた。

 お祈りをしているうちに誰か来るかもしれないと、サショイノ王国で見たのと同じ顔をした神像の前へと進む。



 跪いて手を組み心の中でお久しぶりです、と心の中で語りかけた。

 すると同時に覚えのある感覚に襲われる、室内にいたはずなのに風を感じたのだ。



『また会いに来てくれて嬉しいよ。どうやら転生させた者が創った家を見つけたようだね。奥に色々便利な物もたくさんあるようだから活用するといい。それともう少しサキにも神力を与えておこうか、そうすれば小さな物なら創り出せるから。さ、お座りなさい』



 顔を上げるとやはり神様がそこにいた、すすめられた席に腰を下ろす。

 どうやら私達の動向はご存じらしい。

 え? ストーカーとかじゃないよね?



「いただきます……」



 前回と同じく出されたお茶を飲む、香りも前回と同じだからこれで神力がアップするんだろうか。

 ああ、やっぱりこのお茶美味しいなぁ。

 すごいお茶じゃなかったら少し分けてほしいくらいだ。



『どうやら気に入ったようだね。フェンリルを育て上げてから天寿を全うすれば、その後はここに住む事も可能だから、その時は好きなだけ飲むといい』



 驚きの情報に危うく口の中のお茶が全部流れ出るところだった。

 なんとか根性で口を閉じたけど。



「あ、あの、このお茶を飲むたびに何か変化があったりするんですか?」



『うぅん、そうだねぇ、本来神が飲むお茶だからそれなりには……? ああ、そういえば前回飲んだからずいぶん魔力も神力も通りがよくなっているようだ。これならもう少しあげてもいいか。それじゃあ、あとひと月もすればダンジョンも復活するから楽しむといい』



「えっ!?」



 衝撃のひと言に声を上げた時には、すでに私は神殿に戻っていた。

 そしてまた光っていたのか、司祭らしき人が口をパカーンと開けたままの状態で固まっているのが見えた。

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