表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/204

9 山賊のアジトへ行ってみた


予定よりもちょっと早いですが投稿します。











「待て、降参する!」

「助けてくれ、抵抗はしない、命だけは!」


 いきなり武器を捨てて降伏してきた山賊二人。

 

「生かすのは一人だけで良かったんだが、二人はいらないな」


 俺がそう言うと慌てる二人。


「待て、レッドキャップのアジトに案内する、だから助けてくれ」

「そうだ、アジトに行けば金がある。案内するから逃がしてくれ、頼む」


 自ら助かる為なら何でもしそうだ、さすが山賊だな。

 魔物よりも酷い奴らだ。


 それなら案内させるか。

 その後にどうするか考えよう。

 山賊の遺体は後で回収しに来ないといけない。

 山賊一人に付き銀貨二枚もらえるからな。

 そうなると、殺しちゃうと運ぶのが大変だ。

 生かして置いて歩かせた方が良い。


 まずはアジトやらへご案内してもらおうか。


 アジトは川の広場から歩いて一刻半ほどの距離だった。

 木々が密集した所にある洞窟がアジトだったようだ。

 これでは上空からでも分かりづらいか。


 まずは夜を待つ。

 人間は暗くなると寝るからな。


 洞窟の前では焚き火をしている。

 一晩中火を絶やさないつもりのようだ。

 魔物避けだな。


 見張りをちゃんと立てている。

 洞窟の前には見張りらしい男が二人、焚き火をしながら地面に腰を下ろしているのが見える。


 川の広場で捕まえた男二人は、ハピに監視してもらっている。

 騒がれたら厄介だからな。


 馬車と馬がいると聞いたが、別の場所にいるのだろうか。

 少なくてもここにはいないな。

 ちゃんと聞いておけば良かったかな。


 それでもやることは同じで、特に作戦などない。

 正面から洞窟に浸入して、山賊どもを蹴散けちらすだけだ。


「ダイ、行くぞ」


 寝静まった頃合いを見て、俺とダイは洞窟の前に歩いて行く。 

 地面に腰を下ろしていた二人が俺達を見上げる。


「おあっ、な、なんだお前はっ」

 

 二人の男は顔が赤い。

 地面にワインが置いてあるところを見ると、飲んでいたらしい。

 酒に酔った奴らなど敵ではない。


「ぐあっ」

「ぐしっ」


 顔面に蹴りをめり込ませてやった。


 それを見てダイか言った。


『レッドキャップとかいって、こいつらお尋ね者になるくらい有名なんだろ。それにしちゃ全然弱いんだな』


「人間なんてこんなもんだよ。俺達魔物と比べちゃダメだ」


 洞窟の中へと進んで行くと、突き当たりが大広間になっていた。

 そこではカンテラの灯りに照らされて、男どもが雑魚寝している。


 寝ているのは五人で、それ以外に三人がテーブルを囲んで話をしている。


 三人の中央にいる年寄りの男がリーダーっぽい。

 その両脇には若い男女が一人づついる。

 

 俺達を見つけると、リーダーの両脇の二人が立ち上がる。


 その二人の目を見て気が付いてしまった。

 暗くて解りづらいが、目がやや赤みを帯びている。

 その特徴は人間じゃない。


「お前ら、バンパイヤか……」


 その言葉に立ち上がった二人の反応が早かった。


 無言のまま俺達に襲い掛かって来た。


 人間のそれを越える速さ。


 気が付いたら目の前にいた。


 二人同時に細剣を抜き放つ。


 女の方がダイを狙い、細剣を伸ばす。


 ダイは地面が削れるほど強く蹴って、それを大きく避ける。


 俺も変身に移るが奴らの方が早い。


 俺の心臓が躍動やくどうする。


 抜き放たれた男の細剣が俺の首へと迫る。


 ギリギリだ、本当にギリギリだった。


 咄嗟とっさに頭を後ろを引く。


 喉元のどがヒリヒリした。


 少し斬られたか。


 のどから血が滴る。


 大丈夫、この程度なら。


 だが変身はまだ終わってない。

 

 すかさず細剣が俺を狙う。


 今度は地面を転がって避けた。


 細剣が壁の岩に当たって火花を散らす。


 男がしつこく俺を狙う。


 右腕を斬られた。


 だが浅い。


 左肩を斬られた。


 これはちょっときつい。


 身体が、俺の内なる何かが興奮してきた。


 顔の筋肉が勝手に動き出す感覚。


 きた、きた、ようやくきた!


 顔が狼へと変貌する。


 俺は最後に雄叫びを上げて変身を完了させた。


「ガウォオオオオオ~ン!」


全ての感覚が研ぎ澄まされ、全身を高揚感(こうようかん)が包む。


 最高の気分だ。


 バンパイヤの男が驚いた表情で叫ぶ。


「グイド様、こいつ、ライカンスロープです!」


 そうか、山賊のリーダーのグイドはバンパイヤだったのか。


 人間の街中じゃ生きられないから、山賊として人間から付かず離れず潜伏していたのか。

 ということは、ここに寝ている山賊の手下……こいつらバンパイヤのエサか!


 これだけ騒いでも起きて来ないのは、血を吸われたばかりか。


 この状況から見て、真のバンパイヤはこの三人だけだ。


 チラッとダイを見ると、身体中傷だらけだが、女のバンパイヤも傷を負っている。

 これに敵リーダーのグイドが加わると、一気に不利になる。

 これはダイと俺だけだとキツイな。


 一端逃げたいのだが、相手は天敵のバンパイヤだ。 

 俺がライカンスロープだとバレたからには、逃がしてはくれないだろう。


 しかしさっきから何故かグイドは座ったまま動かない。

 俺達にしたら好都合だが逆に怖い。


 そうは言っても目の前の敵と戦わなきゃいけない。


 全身の筋肉を使って、男の頭に牙を向ける。


 男のバンパイヤが細剣を顔の前に出す。


 うおっと!


 細剣で俺の牙を受けようとしやがった。


 危ない、剣で受けられたら俺が傷つく。

 かろうじて攻撃を止めた。


 あの細剣がうざい。


 変身すると手が狼になるから武器が持てなくなる。

 五感が冴えて身体能力も上がるが、武器を持てなくなるのはマイナスだ。


 俺の愛用の槍を持ちたいがそれが出来ない。

 

 そこで思いつく。


 槍はダメでも剣なら口で咥えられるよな。

 ちょうど寝ている山賊の剣が沢山ある。


 俺は近くにあったショートソードの柄を口に咥えた。


「ガルルルル……さあて、ここからが本番だ」

















次回の投稿は深夜になりそうです。



追伸:

「いいね!」のお願いです。

どういった話の時が面白かったのか、読み手側の好みを知りたいのです。

面白かった話の最後には是非「いいね」ボタンをよろしくお願いします。

一話に着き一度押せます。

全部ではなく、面白かったところで押していただけると助かります。


「いいね」が貯まったら順位の発表をしたいと思います。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ