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87 魔道具屋へ突撃した







 アオも一緒に連れて行ったら、秘密裏に事を済ませられないぞ。

 俺はアオを説得しようとするのだが。


「そうだ。アオと俺達は別々に手分けして探そうか」


 俺がそう提案すると、ギルド員が直ぐに会話に割り込んできた。


「この指名依頼は、お二人で行動する事が前提条件です。それほど危険性が高い依頼なんです」


 うーん、言い訳が思い付かない。


 背の低いアオが俺の袖を掴んだまま、俺の顔を見上げてくる。

 

 ガン見だ。

 

「わ、わかった。そ、そんなに見るな。一緒に行動するから……」


 それで仕方なく、アオと行動を共にすることになった。


 何だか俺の後をトコトコと、飼い犬の様に付いて来るんだが。


 俺が馬車に乗り込むと、当然の様にアオも乗り込んでくる。


 ラミとハピが「?」的な顔でアオを見る。

 これだと獣魔達に相談も出来ない。

 アオが無言で馬車に乗り込むと、直ぐにダイから念話が送られてきた。


『どういう事だ。何でこいつが乗り込んで来たんだ』


 ごもっともな意見ですな。


 そこでギルドでの経緯を皆に説明する。

 説明の途中でラミが口を開く。


「そのバンパイヤってよお、前に盗賊の―――――」


 このバカめ!

 その話をしたら、俺がバンパイヤと敵対してるのがバレるだろうが。


「ラミッ、三日間食事抜きに、さ、れ、た、い、かっ?」


「ひっ!」


 ラミが一瞬で固まった。


 理解出来ないアオが、やはり首を傾けて俺を見る。

 

「アオ、気にするな。仲間内だけの込み入った話だ」


 俺の苦しい言い訳にアオ。


「ん、分かった」


 セーフかよ!


 さて、問題はアオと一緒にいる時に、バンパイヤと遭遇した場合だな。

 バンパイヤが、余計な事を言わなければ良いのだが。


 まずは装備を整えておくか。

 以前とは違い金はある。


 バンパイヤに効く魔法の武器を手に入れたい。

 どの店に行けば良いのやら。

 アオに聞けば良いか。


「なあアオ、対バンパイヤ用の武器は、どこへ行けば売っているか知ってるか?」

 

「魔道具屋」


「それは何処にあるんだ?」


 するとアオは指を差す。


「あっち」


 俺は言われるままに馬車を進める。

 アオによるとこのエルドラの街には、魔道具屋は一軒しかないらしい。


 そして、いかにも怪しそうな店の前。

 アオが指を差す。


「ここ」


 到着したようだ。

 確かに看板には、魔道具屋と解る絵が描かれている。

 俺達は店内へと突撃した。


 店内はかなり狭い。

 置いてある品物もそれほど多くはない。


 アオによると、ここより大きい街へ行けば、もっと品揃え豊富な店があるらしい。

 エルドラ程度の街では、魔道具屋が一軒でもあるだけ凄いらしいのだ。


 ほとんどの品が日用品のようだが、冒険者向けの商品もあった。

 確かに魔法の武器もある!

 それに冒険者ギルドには売って無いようなポーションもある。


 店員はフード付のローブを着ており、奇妙な面をかぶり、ひたすら水晶の球体を(いじ)っている。


 怪しい。


 俺達が冒険者向けの商品を見ていると、あの怪しいお面がじっと見てくるのを感じる。

 俺はそれをなるべく気にしないように努めながら、商品選びに集中する。


 しかし思った以上に高い。

 聖銀の武器なんか、とてもじゃないが買えない。

 安そうな聖銀の短剣でさえ金貨十八枚もする。

 俺に今買えそうなのは、聖水くらいだ。

 それでも一瓶で小銀貨十二枚。


 しかし聖水くらいじゃ、大したダメージを与えられない。

 目潰し程度には効果あるだろうが、バンパイヤは早すぎて避けられてしまえばそれまでだ。

 しかし無いよりはましか。

 何本か買っておく。


 それからヒールポーションも買っておくか。

 いつもは戦利品で手に入れた物ばかりだからな。

 しかし値段を見て驚いた。

 一番安い「レッサーヒールポーション」でさえも、銀貨で二枚もする。


 グレードが上がると、そこから値段は倍々になっていく。


「レ、レッサーで我慢しとくか」


 俺が金を支払おうとしていると、横からハピが何か持ってやって来た。


「ライさん、これが欲しい、ですわ……」


 見れば何かの小瓶である。


「それは何だ?」


 俺がそう聞けばハピ。


「何でも美味しくなる、魔法の振りかけですわ」


 やっぱり食うこと関係かよ。


「値段を言ってみろ」


「た、たったの銀貨で三枚ですわ」


「却下っ」


「そんな~、ですわぁ」


 ハピが悲しそうに退くのだが、その後ろにラミが並んでいた。


「何だラミ。お前も何かおねだりか。どうせ食い物関係だろ」


 その途端、ギクリと音が出そうなくらい体を硬直させるラミ。


「ううう、何で分かったんだよ。ライさんは天才か!」


 やっぱりかよ。


「で、物は何だ?」


 するとラミはスッと品物を俺の前に出す。


 ポーションのようだな。


「美味しそうな匂いのするポーション。小銀貨でたったの五枚だっ!」


 匂いだけかよ。

 

「ラミ……却下だ!」


「えええっ」


 頭を抱えて(なげ)くラミ。


 ラミがスゴスゴと下がっていく。

 すると何故かアオがラミの後ろに並んでいた。

 

「これ買って」


 唐突(とうとつ)に俺の目の前に、魔法の品物らしい何かを差し出すアオ。


「アオ、これは何だ」


「スプーン」


「そんなの見れば分かる。魔法石が付いてないってことは、もしかしてダンジョン産か?」


 アオは無言で(うなづ)くと、ボソリと言った。


「毎日スプーン一杯の蜂蜜(はちみつ)が取れる」


 間違いなく金貨数十枚はするな!


「ええっと、その前にだな、何で俺におねだりするかな?」


 すると無表情のままアオが言葉をもらす。


「テヘ」


「テヘじゃねえっ、棚に戻せ!」


 俺の恐ろしさを分からしてやろうか!

 

 しかし俺の前にはもう一人、いやもう一匹いた。


「ダイ、その口に(くわ)えている骨みたいなのは何だ」


「……」


「却下に決まってるだろ」


「クウ~ン」


 ダイは上目遣いで俺を見ながら、(くわ)えていた骨みたいな物を棚に戻したのだった。


 横目でその商品札を覗き見ると『ドラゴンの骨、金貨十枚』と書いてあった。







 



「いいね」引き続きよろしくお願いします。



誤字脱字相変わらず多くて申し訳ないです。

誤字脱字職人の皆さま有難うございます。




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― 新着の感想 ―
[一言] 魔物ですからね 「値段」の意味なんて、理解していないんでしょうww それ以前に、経済的な意味も分かってないかも…
[良い点] でた!スプーンwww
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