表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/204

76 お宝と対面した: 付録「いいね」ランキング付き






 ドラゴンのお宝!


 ちょっと興奮してきたぞ。


「そ、そ、その、お、お、お宝を見せてもらえるか……その品物が、俺にとってゴミというのも有り得るからな。それとここにいるゴブリンの討伐はしないと約束しよう。そっちの件は交渉成立だ」


 ブラックバーンに会った時とは違う汗が背中を流れる。


「そうか、ならばまずはラミアの傷を癒そう。ちょっと待っててくれ」


 そう言うと、ブラックバーンは翼を羽ばたき空中へと舞い上がる。


 何かを持って来るつもりらしい。


 少しすると背中にゴブリンを乗せて戻って来た。


「このゴブリンシャーマンが治してくれる。片腕の不自由なラミアを連れて来てくれるか」


 新たなゴブリンシャーマンだ。

 俺が倒した個体とは全く雰囲気が違う。


 俺が合図すると、ラミがハピやダイと連れ立って森から出て来た。

 俺のハウリングの影響がまだ完治していない。

 三人共にまだフラフラだ。


 ゴブリンシャーマンの目の前に立つ獣魔達。


 するとゴブリンシャーマンは早速、呪文を唱えだす。


 そして緑色の煙が獣魔を取り囲む。

 

 警戒するラミ、ハピ、ダイ。


 緑色の煙は直ぐに飛散した。


 すると獣魔達は「あれ?」といった感じで、顔色が急に元通りになった。

 自分の耳をほじくり返し、「あー、あー」とか言いながら自分の声を確認する獣魔達。


 しかしゴブリンシャーマンの呪文はそれで終わりではなかった。


 さらに緑色の煙がラミの左腕を包む。


「おお、な、なんだ」


 驚いて声を出すラミ。


 そして次の瞬間、緑色の煙がスッと消えた。


「おおおおっ、左腕が……治ってるぞ、なんだ今のは、すげえ!」


 ラミが大はしゃぎでブンブンと左腕を回し始める。

 

 ゴブリンの魔法使いにも、こんな凄い奴がいるんだと初めて知った。

 ゴブリンは人間の魔法使いとは系統が異なる呪術を使い、彼らは魔法使いと呼ばずに“祈祷師シャーマン”という呼び方をする。


 これは今後ゴブリンへの対応にも、気を付けなくちゃいけないな。

 現に前のゴブリンシャーマンに、俺は魔法で傷を負わされたしな。

 自分の左腕を見れば、氷の(やいば)でやられた傷が残っている。

 まあ、俺にとっては軽傷だがな。


 そしてそれが終われば今度は、財宝を取りに行くとか。

 フラックバーンも忙しいな。


 俺達がワイバーンの肉を集め終わった頃、フラックバーンが足で何かを掴んで戻って来た。

 掴んでいるのは俺達に渡す財宝だろう。


 ヤバイ、ワクワクが止まらない。


 獣魔達は食い物にしか興味を示さないから、どこ吹く風といったところだ。

 それで「俺が話をつけるから黙ってろ」と獣魔達には言っておいた。

 また余計な事を言われると困る。


 ブラックバーンが俺達の前に降り立った。


「約束の物を持ってきた」


 そう言って掴んでいたものを足で、ポイッと俺の目の前に投げた。

 軽く投げた様に見えるが、地面に落ちる時にはドスンと重厚な音がして、土煙が舞い上がる。


 俺は恐る恐る近付く。


 そこには宝箱があった。


 人間の大人が入れそうな大きさだ。

 まさか、中身は金貨がジャラジャラか!


 そして俺は宝箱のふたを一気に開けた。


「あ」


 思わず声を出してしまったよ。

 そしてその後に絶句した。


 あまりのショボさに、それ以上の言葉が出てこなかったのだ。


 俺は大きな宝箱に手を突込み、箱の大きさに合わないそれを指で摘まんで持ち上げた。


「タンバリンじゃねえか……」

 

 片面太鼓だな。

 周囲には金色の丸い金属板が飾られていて、動かすとシャンシャン鳴る。

 確かにキラキラ輝くから、ドラゴンが興味を示すかも。


 でも何故タンバリンなのか?

 これにワイバーンの肉に匹敵する価値があるのか?


 ブラックバーンが自慢気に説明を始めた。


「ほう、これはタンバリンと言うのか。初めて聞いたな。ちょうど良い箱が無くてな。少し大きいとは思ったが、それで我慢してくれ」


 もうこの際は宝箱に不満はないよ。

 俺の不満はタンバリンだ。

 ドラゴンか落とした物じゃなくて、捨てた物の間違いじゃないのか?

 

 しかしこいつも所詮はワイバーンでしかないからな。

 ちょっと他と色が違う、言葉が話せる個体ってだけだ。

人間の使う品物の価値なんて、分かる訳がない。

 ましてやタンバリンだし。

 人間でも知らない奴の方が多いくらいだ。


「ええっと、このタンバリンだがな、俺にとってはゴミだな。街で売っても大した金にならん」


 俺は宝箱にタンバリンを雑に戻す。

 するとブラックバーンは残念そうな顔をする。


「魔道具なんだが、やっぱり形が駄目なのか。人間社会は難しいな」


 は?

 魔道具?

 魔法石がないぞ?


 まさか……ダンジョン産なのか!


 ブラックバーンは渋々と宝箱のふたを閉じ始めた。


「待てぇいっ、それを早く言え。魔道具なら話は別だ!」


 俺は慌てて宝箱に走り寄る。

 そして中からタンバリンを取り出して言った。


「今日のところはこれで許してやる」 


 俺もすっかり人間っぽくなってき気がする。


 しかしタンバリンを眺めても、どんな性能があるかが解らない。


「ブラックバーンよ、それでこのタンバリンだが、いったいどんな魔道具なんだ」


 するとブラックバーンは平然と言った。


「我らには手がないんだぞ。どうやってそれをいじり回せというのだ。ただな、魔力は感じるから、魔道具なのは間違いない」


 言われてみればそうだな。

 そもそもワイバーンの大きさに比べてタンバリンは小さすぎるし、ワイバーンには手がないから演奏なんか出来るはずがない。

 手があっても壊してしまいそうだ。


 仕方ない、自力で試すか。


「分かった。約束は守る。今回は帰るとしよう。俺達は季節ごとに来るからな、しっかりとお宝を用意しておけ。去らばだ!」


 俺はタンバリンを握りしめて、森の中へと入って行った。

 早足で……


 森の中の木陰で、ワイバーン達が山へと帰ったのを確認する。

 

「よし、行ったな。ずらかるぞ」


 俺がそう言うとダイ。


『なんだかやってることが、人間社会でいうところのヤクザだな。言葉遣いまでチンピラだし』


 そんなことはない。

 俺は生きる事に必死なだけだ。



 多分……











次の投稿は明後日の昼に投稿予定です。






それでは「いいね」ランキングを発表します!



ただし、まだ読み始めの読者が多く、前半に「いいね」が集中している状況です。

なのでいくつか区切って区間でのランキングとします。




まずは第1話~15話のランキング



1位:52票 第1話 鉄等級冒険者になった


2位:38票 第7話 ハーピーが現れた


3位:37票 第3話 獣魔の首輪は高かった


となっています。

「少女クロスボウ小隊」という小説でもランキングをやったんですが、やはり第一話は圧倒的な票でした。

期待を込めての票なのでしょうか。

2位はハピと初めて遭遇した話です。

3位はダイを獣魔登録して依頼をこなしに行く話です。




次に16話~40話までのランキング!



1位:32票 第16話 冒険者希望の魔物がいた


2位:19票 第22話 魔物の支配地域へ入った

2位:19票 第25話 オークの街でお泊り会をした


となりました。

1位はラミとの出会いの話です。

2位が同票で2話ありました。

オークの部族に会いに行く話とハピがラミの胸を叩く話です。




そして次は41話~75話のランキング!



1位:20票 第62話 人をだますのは最高の遊戯だった

1位:20票 第73話 新たな襲撃者が現れた


2位:19票 第64話 魔物がしゃべった


となりました。

1位は同票で2話となりました。

ターナー伯爵を果物ナイフで騙す話とゴブリンの大群をハウリングでぶっ潰す話です。

2位はターナー伯爵の刺客と戦う話です。






以上が「いいね」ランキングとなりました。

引き続き「いいね」をお願いします。

「いいね」が貯まったらまた発表します。

多分ランキングも変わると思います。







ありがとうございました!









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[良い点] タンバリンwww タンバリンときましたか! 自動演◯付きとかかなwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ