24 オークと遭遇した
魔物の支配地域での朝を迎えた。
寝起きのハピとラミの恰好が酷い。
胸に巻いた布はどこへやら、凄いことになっている。
やむ無く寝ぼけた二人の布を締め直す俺。
「ああん、もっと強く締めて下さいですわ」
「ライ、下手クソだな。もっと優しくだ、優しく」
「やってられるかっ!」
地面に布を叩き付けた。
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こうして、いつものように平和な日常が始まる。
夜営場所を出発してしばらく行くと、徐々に草木の無い荒野に景色が変わっていく。
オーク支配地域までは後少し。
そこで一旦休憩を取ることにし、馬車から降りてそこら辺でくつろぎ始める。
そこでハピが何かが見えると指を差す。
「人の形の何かがこちらに来ますわよ。あの辺に八体ですわ」
さすが昼間の視力はずば抜けて良いハーピー種、俺達じゃ全然見えん。
だが全員に警戒はさせる。
人影ということは人型の魔物か。
人数は八人、いや八匹なのか。
しばらくしてハピが詳細情報をくれた。
「槍と盾を持っていますわよ。弓を持つ者もいますわ。う~ん、オークに似てますわね、いえ、オークですわね、あれは完全にオークですわっ」
オークに会う為にここまで来た俺達には、それは願ってもない事なのだが、過去にオーク領地へと行った使者は帰って来ないと聞いた。
それがオークによるものなのか、それ以外の原因なのかは分からない。
だから油断はいけない。
かといって敵対行動も良くない。
……難しいじゃねえか!
徐々に近付いて来ると、俺の目にもハッキリとオークだと確認出来るようになった。
革製の鎧を着込んでいて、槍と盾もしくは弓を持つのも見える。
装備が良い所を見るに、訓練された兵士だろう。
そろそろ弓の射程に入る。
どうするか……
マーカスがオンドラを馬車の中へ隠れるように促し、自分は剣の柄に手を添えたまま腰を低く構える。
いつでも剣を抜ける体勢だ。
オーク達は構わずこちらに近づいて来る。
もう弓なら必中の距離だ。
そこで俺は両手を広げて、全員に止まる様に伝える。
そこでオーク達が弓を構えた。
このまま俺が近づけば、話し掛ける前に弓を射られるだろう。
そうなる前に手を打たないと。
「ハピ、上空に上がって牽制しろ。だが攻撃はするな、良いな」
「任せて下さいですわっ、あんなヘッポコども蹴散らしてみせますわ!」
「だから、命令するまで攻撃はすんなっての、あ、こら、聞いてんのか!」
ハピは翼をはためかせて飛び上がって行く。
分かってんのか、ちょっと不安。
しかし、ハピが大空に舞い上がると、オーク達は少し慌て始めた様子が見える。
弓兵は四人のようだが、俺達とハピとで標的が二つになったことで、どっちを狙うか混乱している。
そうか、そういうことなら手はまだあるぞ。
「ダイ、走り回って奴らを牽制してくれるか」
『了解した、ちょっと驚かしてやる』
そう言って「ウォ~ン」と一鳴きして走って行った。
正に駿足。
一気に加速すると、あっという間にオーク達の所まで到達。
距離を空けて、その周囲をぐるぐると回り始める。
そうなるとオーク達はたまらず弓を射始めた。
しかし全く当たらない。
空のハピに対しては検討違いの方向へ矢が飛んでいき、地上のダイはというと、トリッキーな動きで中々狙いさえつけられない。
何とか弓を射っても、そう簡単にあの動きに合わせることなど出来ない。
オーク達の技量はこれで大体理解した。
それと、思った以上の効果があったな。
俺は一人、オーク達の元へと歩き出す。
数匹のオークが俺に気が付くが、弓兵は必要ないとみたのか、槍と盾持ちのオーク二匹がこちらに向かって来る。
狙い通りだな。
さすがに人間の姿のままで、弓でこられると辛いのだ。
だが剣や槍ならやりあえる。
戦闘に入る前に話し合いたいと声を掛けるが、当然の事ながら無視された。
オーク兵が二人が、俺を挟み込む様な立ち位置をとる。
しょうがなく俺も槍を構えた。
俺は左右に敵が見える位置取りをする。
俺の見立てでは、このオーク二人はそこそこの戦闘経験がある、いわゆるベテラン兵士だろう。
俺の周囲を微妙に移動して、一人が俺の死角に入ろうとする。
さて、問題はここからだ。
殺しちゃまずいから、何とか殺さずに決着を着けたいのだが。
そこで突然、片方のオークが槍を突き入れてきた。
それを見たもう一人のオークも、それに合わせて槍を突き出す。
俺は咄嗟に持っていた槍を手離し、両側から迫る槍の柄を掴んだ。
驚くオーク二人の表情を見ながら、俺は掴んだ槍を思いっきり引き寄せた。
急速に接近する二人のオーク。
頭同士がぶつかる寸前で、すかさずオーク二人は槍から手を離すが、俺は代わりにオーク二人の頭を掴んだ。
「これで終わりだ!」
そう叫びながら俺は、オーク二人の顔面同士をぶつけてやった。
「グシャッ」と嫌な音と共に、二人のオークは崩れ落ちる。
すると、それを見た残りのオーク達が、あからさまに動揺し出した。
そういえば倒したオークの片方の装備が、ちょっとだけ他のオーク兵士と違う。
もしかして指揮官か。
ならばここらで話をすれば、聞いてくれるのではと考えた。
「おい、オーク達よ、良く聞け。俺達は貴様らよりも強い、だから話を聞け」
俺の声でオーク達の動きが止まる。
俺は話を続ける。
「俺達は戦いをするためにここに来たのではない、話し合いをするために来た。だからお前らの長に会いたい。案内を頼みたいんだがどうだ?」
ザワつくオーク達だが、一人のオークが声を上げた。
「分かった。人間、お前強い、長に会わせる!」
そう答えが返ってきた。
次回投稿は明日の昼頃になる予定です。
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