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147  出店依頼された








 しまった!

 レンドン子爵の部下にまで、知られてしまったか。

 絶対に怪しまれるよな。

 いや、既に怪しまれているのか。


 こうなったら開き直る。

 改めてピロリに向き直り言った。


「良かろう。その忠誠心、受け取ったぞ」


「はは〜、有り難き幸せ!」


「良し、撤収〜〜!」


 この場はサッサと立ち去るのが一番だ。


 俺は馬車に乗り込み御者に告げる。


「今日は家に帰る!」


 獣魔達も文句は無いようでうなずいている。

 その日は陽が高いうちに自宅に戻り、日が暮れる前には眠りに就いた。






 翌朝、一番で冒険者ギルドへと向かった。

 もう最近ではオークが用意してくれる馬車に、何の抵抗もなく乗るようになってしまった。

 当たり前のように乗り込み、どこへ行くにもあるのが当たり前の存在だ。

 もはや馬車無しの移動は考えられない。


 何かインテリオークにめられている気がしないでもない。

 この辺りは気にしたら負けだ。


 向かう途中、骨騎士召喚の指輪の実験をする。

 ラミに指輪を渡して召喚してもらう。

 もちろん周囲に誰も居ないのを確認してからだ。


 地面に魔法陣が現れ、そこに出現したのはボーンラミアだった。

 となるとやはり、召喚者によってその種別が変わるのだ。

 ハピが召喚すればボーンハーピーだな。


 ボーンラミアはしっかり、盾と剣を持った状態で現れた。

 強さを見るためにラミと戦わせたのだが、ラミの敵ではなかった。

 もっと弱い奴にやらせれば良かったか。

 ラミが文句を言ってる。


 「なんだ、こいつ弱いじゃねえか」


 オークと戦わせても良かったんだが、それだと犠牲が出そうで恐かったんだよな。

 そして再び街へと向かった。




 冒険者ギルドに到着すると、いつものように一人でギルド内へと入って行く。

 ギルド員の一人が俺を見つけるや、そわそわしだす。

 冒険者ギルドも居心地悪くなったもんだ。


 俺は気にせず依頼掲示板の前に行くと、混み合っていた冒険者達がスッと道を開ける。

 何だか冒険者達が俺に対してよそよそしい。


 気にしたら負けだと自分に言い聞かせながら、空いた依頼掲示板の前に立つ。


 残念ながら金等級への依頼が少ない。

 探索依頼はあるのだが、俺としては討伐系がやりたい。

 探索系は性に合ってないのだ。

 

 しかし討伐系が減った理由は俺にある。

 この辺りは俺の配下の魔物ばかりだからだ。

 生意気な魔物は、オーク達が勝手に排除してしまう。

 強敵だろうが数が多かろうが、圧倒的な数で押し切って殲滅せんめつさせてしまうのだ。

 おかげでこの辺りは盗賊も出なくなった。

 そういった意味では、エルドラの街周辺の治安を守っているといって良い。

 だが賞金稼ぎや討伐専門の冒険者達は食いっぱぐれる。


 依頼がなければ仕方ない。

 他の街へ行けばいくらでもある。


 帰ろうとしたところで声が掛かった。


「ライ様、ちょっとお話、よろしいでしょうか?」

 

 振り返ると見たこと無い中年男性が立っていた。

 小綺麗な格好をした紳士っぽい感じだ。

 

「誰だ、貴様は?」


 すると中年男性。


「私はマヌと申しまして、アルス・ダース男爵様の使いの者です」


 出た、貴族!

 まさか俺がギルドに現れるのをずっと待っていたのか!

 何かちょっとだけ恐怖なんだけど。


 俺はなるべく平然を装って返答した。


「それで俺に何の用だ」


「はい、ダース男爵様からライ様に依頼があります」


 指名依頼か?


「だったら冒険者ギルドを通すのが普通だろ。何で直接俺に言ってきたんだ」


「その辺りも含めまして、詳しくお話しをしたいと思いまして。少しお時間を頂けないでしょうか」


 う〜ん、貴族には関わりたくないんだがな。

 特にやる事も無いし、話しだけでも聞いてみるか。


「分かった。話を聞こう」


 そこで場所を移す。

 ギルドを通してない依頼だから、ギルドの会議室は都合が悪いらしい。

 だからといって、こんなに朝早くからやってる飲食店などない。

 そこで選んだ場所というのが……


 マヌと名乗った中年男性は、居辛そうに席に座っている。

 ここは馬車の中だ。

 もちらんドクロをモチーフとしたオブジェが散りばめられた、暗色の配色をした馬車だ。

 街の人間に言わせれば“魔王軍の馬車”である。


 馬車の中には俺とマヌだけしかいない。

 マヌが緊張した面持ちで口を開く。


「噂には聞いておりましたが、噂以上の乗り物、ですね……」


 それには反論の余地もない。


「さて、話してもらおうか」


 俺の言葉にマヌがビクリとする。

 それでも何とか姿勢を正して話を始めた。


「要点から申し上げるなら、バルテクの店の支店を私共の領内でも作って欲しいのです」


 演奏を奏でる飲食店のことか。

 なるほど、冒険者ギルドの案件ではないな。


「ほほう、話を続けろ」


 ちょっとテンション上がる。

 マヌは話を続ける。


「エルドラに立ち寄った商人らの噂を聞きまして、ちょっと調べさせて頂きました。本来は商業ギルドに通すべき事なんですが、ライ様はレンドン子爵様の客人とのことで、商業ギルドを通すとレンドン子爵様に知られてしまうかと懸念したのです。まずは御本人様の許可を取ってからと思いまして、その後にレンドン子爵様にご報告と考えております」


 そういうことか。


「だが断る!」


「は?」


「実質的な経営はオーク族がやってるから、俺に言われても困るんだよな。そういう事はオークに聞いてくれ。そうだな、明日にでも話の分かるオークを呼んでやるから、そいつと話せ」


「そ、そうですか。分かりましたが、それはライ様が許可したと思って良いのですね?」


「ああ、インテリオークを――――話の分かるオークを明日呼び寄せる。詳しくはそいつと話し合ってくれ」


「分かりました。それでは明日、もう一度お会いしましょう」


 そこでマヌとは一旦別れ、俺はインテリオークを緊急招集した。

 オーク領へ帰ったばかりでちょっと悪い気もしたが、護衛のオーク兵には時間厳守と伝えるように指示した。

 すると……

 

 その日の内にインテリオークは自宅に訪ねて来た。


「ライ様、緊急ということで参りましたが、何事でしょうか」


 やけに早いじゃねえか。


 俺は事の経緯を説明すると、インテリオークはアゴに手を当てて考え込む。

 俺が「どうした?」と尋ねるとインテリオーク。


「ダース男爵領ですが、確か治安が余りよろしくないと聞いております」


 つまり治安が悪い街には出店したくないってことらしい。

 しかし治安の悪いドーズの街にあった店だ。

 今更何を心配するのだろうか。


 











何とか投稿出来ました。

次話もかなり書けています。


今後ともよろしくお願いします。









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― 新着の感想 ―
[良い点] また魔王軍の勢力拡大しそうwwww
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