144 族長が集まった
だいぶ間が空きましたが、何とか投稿です……
朝、日の出前に起きると直ぐに、冒険者ギルドに向かう準備を始めた。
依頼を受けつつ城ダンジョンの報告をしないといけない。
ああ〜、でもオークがダンジョン管理してんだよな〜。
冒険者ギルドが知ったら驚くだろうなあ。
先にエルドラに着いているハルト達が説明してくれてるとは思うが、オークに関してはハルト達は詳しくは知らない。
だから俺が経緯を説明しなくちゃいけない。
ああ~面倒くさいなあ。
いっそオウドールかインテリオークに丸投げするか。
俺は政治的な話はわからんしな。
よしそうしよう。
俺は護衛オーク兵に説明し「至急エルドラの街へ集まれ」と連絡させた。
急いで来てもらわんと、冒険者ギルドに顔を出せない。
早く新しく買った武器や魔道具を使ってみたいんだよな〜。
こうなったら依頼なしで狩りにでも行くかな。
そう思って獣魔達を連れてどこか魔物のいる場所に行こうとしたんだが、街の近隣でそんな場所は思いつかない。
そんな場所があっても、駆け出しの冒険者がうようよいる。
骨騎士とか召喚してたら騒ぎになりそうだ。
そこで良いアイデアが思いつく。
「皆、街外れにある墓地へ行くぞ」
墓地ならアンデッドかいてもおかしくないからな。
そういう経緯で街外れにある墓地へとやって来た。
辺りはまだ薄暗く、墓地のいたるところで蠢く何かが、霧の中ボンヤリと見える。
ダイが念話を送ってきた。
『アンデッドがまだいるな』
ラッキー!
周囲には人はいないようだし。
「よし、まずは指輪の実験をする。お前らは手出しすんなよ」
俺は直ぐに指輪を介して骨騎士の召喚を試みた。
すると直ぐに地面に魔法陣が浮かび出し、その魔法陣からアンデッドが出現した。
ボーンウルフだった、
解り易く言えば骨の狼。
あれ?
そりゃおかしいだろ。
骨騎士じゃなかったのかよ!
何か変だ。
ラミが「もう突撃しても良いだろ」とうるさいので、戦闘許可を与える。
すると買ったばかりの武器を嬉しそうに振り上げ、墓地へと乱入した。
ハピはマジックミサイルの弓の練習をするようだ。
そしてダイはあくびをして、その場で丸まった……
ホネ狼だが、何が出来るか調べようとしてたら、召喚時間が切れたのか突然消えた。
使えん指輪だ!
だが俺の頭の中に、ある仮定が思い浮かんだ。
ホネ狼は俺がライカンスロープだから、そういう形で召喚したのではと。
魔道具屋の店員の説明では、骨騎士召喚の指輪だが、それは術者が人間の場合であって、魔物が使う事を想定していないだけなのでは。
つまりハピが使えばボーンハーピーが、ラミが使えばボーンラミアが召喚されるのではないか。
これは実験が必要だ。
しかし一日一回しか使えないから、試すのはまた後日となる。
ラミとハピがつまらなそうに戻って来た。
弱すぎて相手にならないそうだ。
墓地で出現するアンデッドは、武器を持たないというのもあるが、定期的に討伐されるからレベルも高くはならない。
結果弱い。
それにアンデッドに素材はないし、墓地に埋める時には棺に何も入れないルールだから、戦利品も無く金にもならない。
だから冒険者も余り現れないのだ。
仕方ない、ちょっと街から離れたとこで狩りするか。
新しい武器を試す為に歩き出した。
そして結局は翌日の夕方には、街に戻って来たのだが……
入り口門まで来たところで慌てた様子の門番に声を掛けられた。
「ライさん、大変なんですよ、街中がパニックになっていますよ!」
何を言ってるんだろうか。
「おい、落ち着いて話せ。何があったんだ」
話を聞くと昼過ぎくらいに、オーク兵部隊が正面門に現れたという。
オーク兵くらいなら日常茶飯事なんだが、その中にオーク族以外の多数の魔物が一緒だったという。
ダックや鳥系魔物だ。
それが結構大きな部隊で現れたから、大騒ぎになったそうだ。
さすがに門番はこのまま通して良いか判断できず、領主のレンドン子爵に連絡。
その中にはオークキングのオウドール族長がいたとの事で、結局はレンドン子爵の屋敷に部隊ごと招いたという。
そして門番には、俺が現れたらすぐに屋敷に来るように言われてたそうだ。
嫌な予感しかしない。
確かに俺は招集をかけた。
冒険者ギルドに説明させるためにだ。
それが何でそんな魔物の混成部隊で現れたんだよ。
オウドールかインテリオークが来れば話は済んだのにだ。
取りあえず俺は、馬車をレンドン子爵の屋敷へと向かわせた。
そしてレンドン子爵の屋敷の門が見えて来たのだが、何やら門の外には大勢の者が地面に座り込んでくつろいでいる。
オーク兵に加えてダック族の兵士やゴブリン兵もいるし、鳥系魔物の亜人も何種類かいるのが見える。
鳥系は羽がない奴らばかりのようだから、ツバッサー連合とかいう連中か。
しかしかなりの数だな。敷地内へ入り切れなかったのか、はたまた危険回避のために全部隊を入れなかったのか。
恐らく危険回避だろうな。
俺の馬車が門の前まで来ると、座り込んでいた各部族の兵士達が、誰かの合図で一斉に立ち上がって俺の乗る馬車を見る。
門番に話し掛けようと窓から顔を出すと……
「ライ殿に対し、敬礼~~!」
誰かが掛け声を掛けたらしく、俺に向けて一斉に敬礼をする。
胸の前で拳を作るあのやり方でだ。
良く訓練されているな……いやいや、駄目だ。
流されるな俺!
これではまるで、魔の国の王様じゃねえか!
人族の前ではそういうことさせない様に、オウドールにはきつく言っておかないといけないな。
取りあえず急ぎ、敷地内へと入って行った。
そして案内されるまま、獣魔三人と俺だけで屋敷内の広間に通された。
そこには大勢の種族の族長らしき者達が椅子に座ってワインを飲みながら雑談をしていた。
オウドールはもちろんのこと、ゴブリンの族長達やダックの族長達に加えて、ツバッサー連合の会長の“ドナ・ルード”までいるじゃねえか。
早い話、お偉いさん勢ぞろいって訳だ。
くそ、オウドールめ、なんで余計な者まで連れて来てんだよ!
こりゃ大騒ぎになるわ!
俺が広間に入ると突然ハピが声を張る。
「静まるのですわっ!」
そしてラミ。
「ライさんのお出ましだぞ。静かにしやがれ!」
すると急に慌ただしくなり、そこにいた族長達が次々に床に片膝を突き頭を垂れる。
俺は怒鳴りつけたい気持ちを押し殺し、ツカツカとオウドールの前まで来て止まる。
「オウドール、早く来れたのは褒めてやる。だがな、なんで族長達が全員ここにいるんだ?」
するとオウドール。
「ライ殿。至急集まれと連絡があったから、取り急ぎ直ぐに来れそうな者達を連れて来たんだが、何かまずかったか」
ん?
まてよ、オウドール個人に送った伝文だからな。俺はてっきりオウドールが側近と一緒に来る程度かと思ったんだが。
この感じだと、こいつはもっと一大事かと勘違いしたのか?
なんか有り得そうな気がしてきた。
引き続き「いいね」のご協力をよろしくお願い致します。
活動報告にも書きましたが、長らく入院生活をしていまして、先日やっと退院となりました。
術後が苦しく何も手に着かない日が続きまして、病院のベッドの上でひたすら天井を眺めているだけの精神的苦しさ。
スマホを見る余裕さえありませんでした。
退院後も直ぐに体調が戻らず、中々執筆に移れません。
体力が落ちているせいか、直ぐに熱が上がるんですよ。
取りあえず一話だけ書けたので放出しました。
次話は来年になりそうです。
という訳で、2023年の応援ありがとうございました。
どうぞ来年もよろしくお願いします。
<(_ _)>