142 鑑定してもらった〜付録ランキング発表〜
店員は仮面を着けたまま鑑定品を受け取ると、それらをトレーに載せて立ち上がる。
「それでは裏で鑑定しますので、しばらくお待ち下さい」
そう言って、カーテンで仕切られた奥の部屋へと入っていった。
待つこと四半刻。
店員がトレーを持ってやってきた。
仮面を被っているからその表情は読めない。
「鑑定が終わりました」
そう言ってトレーをカウンターに置く。
鑑定に掛かった時間は、商業ギルドと余り変わらなかったな。
「ああ、早速説明してくれ」
「はい、そうですね、まずはこのロウソクからいきますか」
え?
「ちょっと待て、全部の鑑定が終ってるのか!」
首を傾げる店員。
早いなんてものじゃない。
商業ギルドや冒険者ギルドより、断然早い!
「ああ、何でも無い。続けてくれ」
店員は説明を続ける。
「まずはこのロウソクですね」
店員が言うには、火を着けても永遠に減らないロウソクとのこと。
微妙である。
しかし店員によると、予備が必要なくなるから荷物が減り、そこそこの需要があるらしい。
洞窟探索などで、灯りに予備が要らないというのは、意外と便利だという。
買取り金額、金貨四枚也。
微妙!
「次はこの柄杓といきましょうか」
この柄杓は今回のドロップ品の中でも、一番謎に包まれていたアイテムだ。
その鑑定結果は“砂の杓”といって、掬った液体を砂にするという魔道具だった。
大量の池の水でも、時間さえあれば全部を砂に出来る。
考えようによっては物凄い魔道具かもしれないが、俺にとってはハッキリ言ってゴミ!
買取り金額、金貨十八枚也。
意外と高い!
「それではこのブレードが赤い短剣の説明です」
この短剣は“斬魂のダガー”という。
相手の魂を斬るダガー。
つまり実体を持たない霊体にも効果がある武器だ。
もう少し大きな剣であれば人気が高いらしいが、短剣サイズだと微妙だそうだ。
それに見た目が豪華であれば高値が付くが、この短剣は安っぽく見える。
買取り金額、金貨三十八枚也。
意外と高値!
だけどこれは使える、売らないでおこう。
「そして次は獣に変身するというワンドですね」
ドナ・ルードが持っていたワンドだが、これも一応調べてもらった。
名称はそのまんまの“獣ワンド”だ。
ただこれは調べてもらって良かった。
対象生物を獣に変えるワンドだが、使う度に使用者の生命力が減ってしまう反作用があった。
呪い系の魔道具だ。
買い取り金額、金貨二十一枚也。
おお、悪く無いな。
「最後の品、ドクロのデザインの指輪の説明です」
これこそが呪い系の魔道具だと思っていたが、全く違った。
これは一日一回だけ、骨騎士一体を召喚出来る指輪らしい。
召喚持続時間はランダムらしいが、最長でも一日だろうと言っていた。
召喚した骨騎士の強さは毎回違うらしい。
スケルタル・ナイトの場合もあれば、単なるスケルトンの場合もあるというランダム召喚。
召喚して見ないと分からない。
しかし非常に珍しい魔道具で、レア・アイテムだという。
店員も是非引き取らせてくれと言ってきた。
買い取り金額、金貨七十二枚也。
大当たり!
これは売らないで俺が使ってみたいが、金貨七十二枚に目が眩む。
店員によると王都のオークションに出品すれば、さらに金額が上がるだろうという。
その店員が出品資格を持っているらしく、オークション出品も考えてみてはと提案までしてきた。
「だが断わる!」
こんな面白い魔道具、俺が使ってみたいではないか!
結局、この指輪と短剣以外は買い取って貰った。
金が出来たがいつもの流れだと、この後その金は食い物に消える。
そうなる前に武器屋へ行くつもりだ。
俺が出口へ向かうと、それを阻む者がいる。
「何だ、お前ら」
狭い店内で、獣魔達が一列縦隊で並んでいた。
先頭のラミが何か持っている。
「こ、これは相手の肉―――皮とか甲羅を柔らかくするポーションだ」
肉って言い掛けたな。
つまり魔物の硬い皮膚も柔らかくなるが、肉も柔らかくなって美味しく頂ける作戦できたか。
ラミめ、頭を使う様になったか!
「だが却下、次!」
「うへえ〜」
今度は次に並んでいたハピが、手にナイフの様な物を持って前に出た。
「等分のナイフですわ。魔物を同じ大きさで二等分出来るのですわ」
何だ、いつもどっちが大きいとかでラミと喧嘩するから、キッチリ等分出来るナイフが欲しいと言う事か。
魔物を等分ではなく、魔物の肉を等分ってことだな。
しかし贅沢になっちまったなあ。
人間みたいじゃねえか。
「はい、却下!」
「ひぇ〜、ですわ〜」
最後にはやはりダイがチョコンとお座りしていた。
口には骨を咥えている。
「クゥ〜ン」
店の骨を売っている棚を見れば、地竜の骨が無くなっている。
ダイが咥えているのがその骨か!
「お前は前回から学習してない、却下!」
「キャン!」
俺は店を出ると、意気揚々《いきようよう》と街中を歩いて行くのだが、俺の後ろの獣魔達は地面を見ながらトボトボ歩く。
その姿が変だったのか、行き交う人間がこちらをジロジロ見てくる。
今更人間の視線など気にするはずもなく、俺は真っ直ぐに武器屋を目指した。
そう言えば、護衛のオーク兵がエルドラの街に入ったら、二人だけになったな。
どうでも良いけど。
武器屋ではラミの剣を新しく買うつもりだ。
前に折れてしまったから、オーク兵から新たに貰った剣を使わせていたが、そろそろちやんとした剣を与えようと考えてのことだ。
エルドラの街で一番大きな武器屋へ行ったのだが、俺の記憶の景色と全く違う景色がそこにあった。
「なあ、確かあの武器屋の隣りは金物店だったよな?」
俺は獣魔達に聞いたのだが、三人とも俺と同じ記憶だった。
金物店があった場所には、新たな三階建ての建物が出来ており、看板に“究極武具屋”と書いてある。
嫌な予感しかしないのだが……
引き続き「いいね」のご協力をよろしくお願い致します。
突然ですが、久しぶりに「いいね」ランキングといきましょうか。
前回同様に区間ごとの順位です。
後半へいくほど「いいね」件数は減りますので。
まずは第1話〜30話のランキングです。
相変わらずの第1位
第1話 80票と圧倒的です。
第二位
第2話と第7話で54票。
7話はハピとの出会いの話です。
第三位
第3話で49票。
1、2、3話とランクインでした。
次に第31話〜80話までのランキングです。
第一位
第76話で31票獲得。
ワイバーンからタンバリンを貰う話ですね。このあたりにくると、30票超えは珍しいです。ただし、この話のあとがきでランキング発表もあったので、それで票が入ったのかもです。
第二位
第62話で28票獲得です。
ターナ伯爵から魔道具をせしめる話です。
第三位
第77話で26票獲得しました。
ハピがタンバリンを試す話です。
そして最後に81話〜までのランキング。
第一位
第86話で30票獲得。
弱い魔物が居なくなり強い魔物が現れて、本当はライのせいなのに魔王が現れたと思われる話。
第二位
第96話28票獲得。
魔王の情報を得ようと出掛けた先で待ち伏せに合う話。
第三位
第85話91話でそれぞれ26票獲得でした。
配下の部族が増えた話と、バンパイヤを倒す話でした。
ご協力ありがとうございました。
引き続きお願いします。