137 巨大な毒球を放った
投稿失敗してました!
改めて投降します。
本日中にもう一本投稿します。
荒れ大陸の最奥地。
人間が入り込んだ事がない未知の土地。
そこには荒れ大陸の中でも、凶悪といわれる魔物が闊歩する場所だった。
そんな中でも集落はある。
知能のある魔物や亜人が住まう村や街である。
当然のことながらそこに住む者達は、周囲の魔物を跳ね除けるだけの実力があった。
その中でも突出しているのが魔人種族だ。
体格に恵まれ魔力も人間の比ではない。
その豊富な魔力と力で、過去に魔王になった者が幾人もいる。
ただしその総人口は少ない。
ここはその魔人が住む村のひとつ。
そこでは近隣の村の代表三人が集まり、緊急会議が開かれていた。
「何っ、翼の無い鳥連合会が降伏したじゃと!」
報告を聞いた赤肌の魔人が大声を上げたのだ。
一見若々しく見えるが、彼らの寿命は数百年あり、二十代に見える彼も二百歳を超えている。
「そうなんさ。オーク族の大部隊が連合会の本部を襲ったさ。ダック族やゴブリン族もいたみたいさね」
そう答えたのは青肌の魔人。
「待て、会長のドナ・ルードが同盟を結ぶ作戦に出たと聞いたのじゃが」
「ああ、同盟を結んで安心させてさ、反旗を翻すって作戦さね」
「いったい、どういう事じゃ」
「同盟を申し入れて直ぐにさ、オーク族が部隊を差し向けたさね。会長の作戦が読まれてたってことさね」
そこでずっと黙っていた緑肌の魔人が口を開いた。
「奴らはこの荒れ大陸を支配しようとしているとしか思えんよ。うかうかしていたら我々の村にも侵攻して来るんよ」
そこで赤肌の魔人。
「それでオーク族を率いているのは誰なんじゃ」
「そ、それが、魔王を名乗っているらしいさね」
「魔王じゃと!」
「魔王かんね!」
「それでさね。我々は魔人種族としてさ、どういう態度をとるさね?」
そこで緑肌の魔人が申し訳なさそうに言った。
「あの、実はなんよ。うちの若いもんが魔王になるといって村を出て行ったんよ……」
「何っ、それはいつの事さね!」
「数ヶ月前になるんよ……」
「まさか、魔王軍に戦いを挑んだりしてないだろうさね」
「……」
「……」
「これは早急に魔王軍に使者を送る必要があるさね。それと魔王がどういう者なのかさ、そして我々魔人種族をどうするつもりなのかさ探る必要があるさね」
そこで緑肌の魔人が立ち上がる。
「すまん、うちの若いもんのせいなんよ。だからうちの部族から使者を出すんよ。直ぐに村に帰って準備するんよ!」
「そうか、頼むのじゃ!」
「任せたさね!」
◇ ◇ ◇
今回のダンジョン依頼は長期になる為、定期的な報告としてギルドには伝書カラスで情報を送っていた。
もちろんオーク族が管理している事も伝えている。
今のところそれに関しては、一切干渉しなくても良いらしい。
エルドラの街としても、オーク族とは良い関係でいたいかららしい。
だがこの間に来たオリハルコン級の冒険者、“悪逆のゾエ”に関してなのだが、冒険者ギルドに問い合わせたのだが、冒険者ギルドの依頼とは関係ないらしい。
つまり考えられるのは、個人依頼か独断行動だ。
どっちも考えられるな。
丁度、定期報告の伝書カラスを飛ばしていた時だった。
オーク兵が俺の所へ駆け込んで来た。
「魔人、出た!」
また登ってきたか。
地獄の裂け目に落ちて、どやって生き延びてるんだか。
魔人種族恐るべしだな。
地獄の裂け目の吊り橋には、今じゃ沢山のオーク兵が吊り橋の管理と監視にあたっている。
それで地獄の裂け目を魔人が登って来たら、直ぐに報告が入ることになっているのだ。
「おい、ラミ、ハピ、行くぞ」
登って来たらまた落とすだけの仕事だが、最近では落ちながら魔法を放ってくるようになった。
しかしこっちは裂け目の上だ。
頭を引っ込めるだけで事足りる。
こっちからも攻撃したことがあるのだが、ハルトのあの一撃を喰らっても、また平気な顔して登って来やがった。
それ以来、ただ落とすだけの仕事になった。
今回は俺達の番だ。
吊り橋に到着してみると、そこは修羅場になっていた。
緑色の肌を露わにした魔人が、オーク兵相手に大暴れをしている最中だった。
吊り橋の管理をしていたオーク兵が、次々に吹っ飛ばされていく。
弓矢はことごとく障壁の様なものに阻まれる。
オーク兵が真後ろに回り込み、背後から攻撃しても同じだった。
鉄壁な防御だ。
前に戦った時とそれは変わらなかった。
だが攻撃は初めて見るが、大したことない。
殴る蹴るの打撃の他には、魔法がエアバレットのみ。
エアバレット魔法は単弾、複数弾とバリエーションはあるが、魔法自体はその一種類のみだ。
まずは動きを止めるところからだな。
「ラミ、お前にもう一度チャンスをやっても良いが、やってみるか?」
前回の戦いでは毒球が全く効かずに、ラミは悔しい思いをしたからな。
ラミにとってはリベンジのチャンスだ。
ラミは笑みを浮かべながら言った。
「私の全力を見せてやる」
ラミの頭の上に毒球がひとつだけ出現する。
その毒球は次第に大きさを増していく。
それに合わせて俺は声を張る。
「オーク兵、そこから退避しろ!」
すると一斉に魔人から距離をおくオーク兵達。
魔人が俺達を睨む。
着ていた服は既にボロボロで、緑色の肌の殆んどが剥き出しになっている。
魔人が叫びながら走って来た。
「貴様〜、覚えているぞ!」
多分こいつ脳筋だ。
「ラミ、やれ!」
ラミの巨大に膨れ上がったポイゾン・ボールが放たれた。
巨大毒球がうねりを上げて魔人へと飛んでいく。
魔人はその巨大毒球を避けることなく、真っ直ぐこちらに向かって来る。
だがその走る早さ、おそろしく遅い。
おかげで巨大毒球をまともに受けた。
「へっ、ざまあねえな!」
ラミが勝ち誇る。
魔人にぶつかった毒球は弾け、緑色の霧状の靄が立ち込める。
その靄の中からニュッと顔を出す魔人。
一瞬足を止めるも、再び走り出した。
こいつは一筋縄ではいかないな。
ラミがガックリしているのを横目に、次はハピの番だと声を上げる。
「ハピ、タンバリンだ!」
前回の戦いで、タンバリンが効く事は分かっている。
ハピが不敵な笑みを浮かべ、タンバリンを持って前に出た。
「地獄のタンバリンを受けてみるのですわ!」
本当は情熱のタンバリンなんだがな。
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