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130 遂にレイスが現れた






 


 さあてと、先へ進まないといけない。

 夜には戻る約束だからな。

 分岐はそれほど多くない。

 ただ壁が石造りのせいか、ひんやり冷たい空気が漂っていて、不気味な感じはする。


 右往左往しながら進んで行くと、階段に行き着いた。

 登りの螺旋らせん階段だ。


 円筒形の造りで塔の内部みたいな所で、壁伝いに階段が螺旋らせん状に上へと伸びている。

 相当上まで続いている。


「登るしかないな。ハピ、先頭を頼む」


 翼のあるハピなら、階段が崩れても大丈夫だ。

 階段落としのトラップも、ハピならかわせる。

 

 ハピを先頭に、少し離れて俺達は進む。


 階段の幅も二人並べない程に狭い。

 バランスを崩して落ちて、床の染みにはなりたくない。


 ゆっくりと確実に階段を登っていく。


 だいぶ上って来た所で、突如ハピの前にスケルトンが一体現れた。

 壁から湧き出た感じだ。


 明らかに今までのスケルトンとは、雰囲気も違うし武器装備も違う。

 上半身を隠せるほどの円盾と剣を持ち、リングメイルアーマーを着込んで金属製のヘルムを被る。

 言ってみれば重装歩兵だ。


 しかも普通の人間よりも大きい。


 そんなスケルトンが剣を振り下ろす。

 ハピがそれを避けると、空を切った剣が階段に食い込み破片を飛ばす。


 かなり重い一撃だ。

 喰らったら致命傷になるな。


 ハピは翼を羽ばたかせ、空中からハルバートを振るう。

 

 スケルトンが円盾でそれを阻むと、ガキンッと激しい音が響く。


 ハピはそのまま階段のない空中へ移動する。


 なるほど、良い戦法だ。


 ハピのハルバートは間合いが遠く、スケルトンの剣では届かない。

 剣を届かせようとするなら、階段から足を踏み外すことになる。

 そうなれば真っ逆さまで地面に激突だ。


 スケルトンが剣を必死に振るうが、全て空振りに終わる。

 こうなるとハピの一方的な攻撃だ。

 ハピのハルバートが徐々にスケルトンの鎧を削っていく。


「ほ〜ほっほっほ。その剣は飾りですの!」


 その言葉に挑発されたのか、スケルトンが一歩前に出た。


 無論、そこには床はない。


 無言で落下していくスケルトン。

 意外と間抜けだな。

 そして遥か下の床に激突して煙と化した。

 

「あら、何か出ましたわ」


 ハピが確認の為、急降下して行く。


 俺も下をのぞいてみると、スケルトンが消えた所に何か残っている。


 ハピがそれを拾い上げ、上昇して来た。


「ライさん、ドロップアイテムですわよ」


 そう言ってハピに手渡された。


「これってロウソクだよな」


 渡されたのは、使いかけのロウソクだった。


 ダイが念話で伝えてくる。


『一応はドロップアイテムだからな。仕舞っておけ』


「そうだな。持って帰って調べれば良いか」


 実は凄い値打ちの魔道具かもしれない。

 ゴミアイテムかもしれないがな。


 さて、先を急ぐか。


 階段を登り切ると、そこは何もない真っ暗な空間が広がっていた。

 

 暗闇に弱いハピは後ろへ下がらせて、俺は魔道具のワンドを使ってライトの魔法を発動させた。


 部屋なのか?


 しかし壁が見えないな。

 ライトの灯りが届かないくらい広いのか。

 もしくは部屋でなく、単なる空間なのかもしれない。

 今までは松明たいまつで明るかったが、ここへ来て灯りがないのも変だ。


「皆、気を付けろ。何か変だ」


 俺がそう言った直後だった。


 ライトの明かりでかろうじて届く所に、薄ぼんやりと何かが現れた。


 青白く浮き出るように揺らめく、人型の上半身の様な形。


 アオがつぶやく。


「お化け」


 どうやらレイスが現れた様だ。

 全部で三体。


「アオ、やれるか?」


 俺がそう聞くとアオは黙ってうなずき、一人で前に出た。


 そして例の魔法の短剣と小剣を胸の前で交差させ、短い詠唱。


 アオの短剣から白い光が放たれる。


 その瞬間だった。


 レイスが避けた!


 思わずアオが言葉を漏らす。


「ずるい」


 アオのその魔法は連射が出来ないらしく、直ぐに短剣をしまい、代わりに別の短剣を取り出した。


 その短剣、ライトの光に銀色に輝きを放つ。


 あの輝きは聖銀製の短剣だな。


 ライカンスロープに効果のある材質でもある。


 かなり高価なはずだ。

 小剣は買えなかったから短剣なんだろうとは思うが、俺達は短剣さえ買えない。

 俺達は食費が凄いからな!


「アオを援護する!」


 俺が叫ぶと、ハピがマジックミサイルの弓を取り出し、ラミがポイゾン・ボールの魔法を発動する。


 俺は槍の穂先に聖水をかけた。


 ハピの弓は魔法の弓だから効果があるはずで、ラミのポイゾン・ボールも魔法だから、もしかしたら効果があるかもしれないと、事前に作戦をたてていた。


 俺の聖水も少しは効果があるはずで、ないよりまし程度だ。


 そしてダイはというと……


 ちょこんと座り込んで念話を送ってきた。


『がんばれ〜』


 なんか一番楽をしているよな。

 何も出来ないのは分かってるのだが、その可愛い仕草が何か腹立つ。


 レイスが三方に別れる。


 そう言えばレイスって、どんな攻撃をしてくるんだ?


 レイスがアオに迫る。


 それをハピがマジック・ミサイルで迎撃する。


 マジック・ミサイルが命中すると、レイスは苦しそうに身体をよじる。


 効いている!


 そこへアオの聖銀の短剣が突き刺さった。


 レイスは、言葉にならない叫び声を上げて消えていった。


 残り二体!


 レイスがラミに迫る。


 しかしラミの周囲に浮いた緑色の球が、その迫りくるレイスに襲い掛かった。


 だが効いているのか良く分からないな。


 ちょっとひるんだ様には見えたが、そのままラミに襲い掛かった。

 だが、明らかに動きが遅い。


 少しは効いているってところか。


 ラミが盾で防御するが、レイスはその盾を通り抜け、さらにはラミの身体をも通り抜けた。


 通り抜けた所で、俺の槍がレイスの胸に突き刺さる。


 手応えはある。


 直ぐにそのレイスは離れて行くが、フラフラと動きが変だ。


 そこへ俺は聖水を投げ付けた。


 聖水を浴びたレイスは、瞬く間に煙と化して消えていった。


 残り一体!










引き続き「いいね」のご協力をよろしくお願い致します。


 

ここでストック切れです。

書き溜めしますので、しばらくお待ちを!








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