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122/204

122 魔王城に入った







 

 オーク兵が連れて来たオグル兵の捕虜は、全部で三人だった。

 正確には生き残ったのが三人で、他は斬り捨てられたらしい。


「直ぐに尋問しろ」


 俺の指示で捕虜は、別の場所へ連れて行かれた。


 するとそれを見ていたハルト。


「なんかライって、軍隊の隊長みたいだな」


 いや、軍団長なんだが。


「ライ、それより〜、今度一緒に食事―――――」

 

 近くでヒマリが何か言ってる?

 しかしハルトが話を続ける。


「あの兵士、千人位いるんだろ、凄いよな」


 いや、三千人以上居るんだが。


「ハルト、からかうのはやめてくれよ。俺は単にオーク族の客人だよ。はは、ははは」


「ライは会うたびに偉くなっていくよな。次に会う時は魔王になってるんじゃないか、ハハハハ」


 それは笑えねえ……


「私の話聞いてるっ!!」


 突然怒鳴り出すヒマリ。


 もしかしてずっと俺に話掛けていたのか?

 それはマズいな。


「すまん、ヒマリ、もう一度言ってくれるか」


「もう、いい!」


 怒らせてしまったようだ。

 これだから人間は分からん。


 皆で適当に腰を下ろしてくつろいでいると、魔王城の中を探索した結果を知らせに、オーク士官が俺の所に現れた。

 あの口が達者なインテリオーク士官だ。


「ライ様、魔王城の探索が終了しました」


 かなり探索が早い。

 まああれだけの人数が居れば早いか。


「それで何が見つかったんだ」


「はい、ダンジョンです」


 へ?


 まさかのダンジョン!


 俺は居ても立っても居られず、「見に行く」と言って歩き出した。


 他の皆もついて来る。


 魔王城の中に入ると、普通の城の中に見える。

 だがそこは紛れもなくダンジョンだった。

 目の前で魔物が湧いたのだ。


 それはゾンビだった。


 まあ、瞬殺だがな。


 つまりアンデッドの湧くダンジョンだ。


 インテリオークが、捕虜のオグルから聞き出した話を説明してくれた。


 それによると、このダンジョンから湧き出したエルダーリッチが、近くに居たオグル族を支配下に置き、ダンジョンの上に城を建てる命令を出したという。

 つまり魔王城は城として造ったのもあるかもしれないが、偽装の為に造ったとも考えられる。

 するとしばらくして、ダンジョンと城が同化したらしい。


 そこで俺が疑問を投げ掛けた。


「そんな事有り得るのか?」


 その疑問に片耳ルールが答えてくれた。


「過去に似たような実例があります。帝国で見つかった遺跡ダンジョンです」


 俺も聞いた事はある。

 西方にある国、つまり帝国で見つかったダンジョンだ。

 

「俺も聞いた事だけはあるが、詳しくは知らないな」


 俺がそう言うと、片耳ルールが説明を続けてくれた。


「通常のダンジョンは洞窟型ですけど、見つかったのは内部の造りが遺跡のダンジョンだったんです。ドロップアイテムも遺跡に関係する物が出る時もあるそうです。研究者によると、ダンジョンが発生した所に、たまたま遺跡があったのではないかと言われていますね」


 それは分かった。

 それで城型ダンジョンなんだな。

 だが、なぜアンデッドなんだ。


「魔物がアンデッドというのは、関係しているのか?」


 すると片耳ルール。


「その辺は解りません。もしかしたら、近くに墓地があったか、沢山の遺体が埋められてたのかもしれませんね」


 成る程ねえ。


 そういえば俺の自宅のダンジョンが見つかった時は、領主の物となるとか言ってたが、ここはグースの領地だよな。

 グースの物は俺の物。

 言い換えれば俺の領地じゃねえか。


 そんな事を考えていると、片耳ルールが話を続けていく。


「このダンジョンは、かなり珍しいタイプのものですね。きっと研究者が殺到しますよ」


 そこで俺は疑問を口にした。


「ちょっといいか、質問だ」


「何です?」


「このダンジョンの所有権はどうなる」


 すると片耳ルールが腕を組んで悩み始める。


「う〜ん、そう言えば、人間の領地以外でダンジョンが見つかった場合は、どうなるんですかね。荒れ大陸でダンジョンが見つかったのは、始めてですからね〜」


「片耳ルール、一応だが、ここの土地にも領主がいるぞ」


「それって荒れ大陸に住む亜人ですよね」


「ああ、そうだが。まさかそれだと認められないと言うのか」


 申し訳なさそうにうなずく片耳ルール。


「人間達は、荒れ大陸の亜人領は認めていませんから。恐らくですが、このダンジョンが知られると、冒険者や研究者が殺到するかと……」


 ここは荒れ大陸だから、冒険者が来るとしたら金等級以上だよな。


 防ぎ切れねえ〜


 ダメ元で言ってみる。


「実はだな、ここの領主と知り合いなんだ」


 勇者パーティー全員が、一斉に凄い形相で俺を見た。


 そしてハルトが口を開く。


「まさか、この荒れ大陸でも客人とか言うのか……」


 いや、俺の領地なんだが。

 

「ま、まあ、客人みたいなところだな。ええっと、オーク族長のオウドールとここの領主と関係があってな。そ、それでオークの鉱山調査隊が来てたんだよ」


 するとハルトはこともあろうか、インテリオークに話を振りやがった。


「へ〜、オークの隊長、そうなんだね。では、ここの領主ってどんな人物なんだ?」


 インテリオークが俺をチラッと見た。

 俺は上手く話を合わせろと、ウインクで合図した。


 するとインテリオークは、ニコリと笑顔を見せてから話し出す。

 理解してくれた様で助かった。

 さすがインテリだな。


「ここの領主は以前、ダック族のグースと名乗る者でした」


 そこでハルトの突っ込みが入る。


「以前って事は、今は違うのか?」


 ヤバイ、インテリオーク頑張れ!

 

「はい、その通りです。今は違うからですね」


 大丈夫だよな?

 余計な事言わないよな?


 ハルトは興味津々《きょうみしんしん》のようだ。


「それじゃあ今は誰なんだ」


「表向きはダックのグース……ですが〜」


 俺はインテリオークに向かって、必死に威圧感を送る。

 それとは裏腹に、ハルトは話に食い付く。


「うん、うん、それで?」


 インテリオークが、やっと俺の威圧感に気が付いたようだ。

 再び笑顔で話し出した。


「表向きはダックのグースですが、裏で糸引く者が居るんです」


 その糸でしばいたろか!


「うん、うん。だからさ、それは誰なんだよ」


 そこでインテリオークが眼鏡をクイッと上げて言った。


「はい、その方は謎なんですね。いずれはこの荒れ大陸を統一するお方ですので、その時になればお姿を現すのではないでしょうか」


 遠回しに俺が魔王だって言ってるだろ!








引き続き「いいね」のご協力をよろしくお願い致します。




少し書き溜めします。

しばし時間をくだせえ〜









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― 新着の感想 ―
[一言] インテリオークに外堀からどんどん埋められてるなw
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