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12 ハウリングやってみた





 



「ライさん、良い標的を発見ですわ。余り美味しい肉じゃないですけど、オークが三匹ですわね」


『ライ、俺も不味い肉のオークが三匹を見つけたぞ』


 どうやら同じ標的を見つけたらしいな。

 オーク三匹なら丁度良い規模だ。

 だけど二人して不味い肉って言うか。

 贅沢ぜいたくは良くないぞ。

 

「良し、ならばその三匹のオークを狩るぞ」


 そしてハピが見つけたという場所へ行くと、確かに森の奥に三匹のオークがいた。

 しかし問題が発生。

 ダイが見つけたオーク三匹は別にいた。

 

「なんだよ、挟まれたじゃねえか!」


 ハピが見つけたオークに攻撃をしようとしたら、反対側にダイが見つけたオーク三匹がいたのだ。

 合計六匹。

 その間に俺達がいる。


 ちょっと実戦練習にしては数が多い。


「こっちの三匹は私がやりますわ。ライさん、私にお任せくださいですわ!」


 そう言ってハピが勝手に動き出す。


『ならば俺はこっちの三匹を倒すぞ!』


 ダイまで勝手に動き出す始末。

 これでは連携の練習にならないな。

 もちろん狩るという事には問題はないだろうが。


 ただそんな中でも良かった点がある。

 ハピが例のトルネード魔法で、オーク達をぶっ飛ばすのを見せてくれたからだ。

 

 感想を言わせてもらうならば、派手。

 小さいが威力が大きい竜巻が巻き起こり、オーク三匹を上空に巻き上げた。

 近くの石や枝も巻き上げて、竜巻の中でオークにそれらを打ち付ける。


 思わず「おお!」と感心してしまった。

 だが派手なのはここまで。


 魔法が終わると、巻き上げられていたオークは当然落下する。

 地面の岩の上に激突でもしてくれると、一発であの世行きなんだが、木の上に落ちたりしたら枝がクッションになって、地面に落ちてくる頃もまだ息があったりする。

 結果この魔法は、見た目ほど大した威力はないってことだ。


 現に、落下してきたオーク二匹はまだ息がある。

 しかもその内一匹は、立ち上がる余力まであるようだ。


「立ち上がるんじゃないですわ!」


 ハピが(とど)めを刺しにいった。


 逆にダイは地味だが、一匹づつ確実に仕留めていく。

 終わって見ると、ダイの方が倒すのが早かったな。


 まあこれはこれで、二人のことを知る機会だったと思えば、意味のある時間だったというべきだな。


 「よし、オークの持ってた装備は回収して、次いってみよう」


 そんな事をしていると、ハピが突然「ライさんのハウリングを見たいですわ」とか言ってきた。

 ダイも『そう言えば、見せてないのはお前だけだな』とか言ってきたので、やって見せる事になった。


 それならばと獲物を探すと、うまい具合に現れたのがゴブリンの一団。

 八匹ほどのグループだ。

 ちょうど良い標的だ。

 だがその前に……


「始めに言っとくけどな、耳はふさいでおかないと、お前らも硬直して動けなくなるからな。必ず耳はふさいでおけよ。それもかなり強く抑えろよな」


 二人ともウンウン(うなづ)きながら、耳をふさいでみせた。

 かなり久しぶりに使うけど、上手く出来るだろうか。


「よし、あのゴブリングループをヤるから見ておけ」


 そう言って二人が耳を塞ぐのを確認した所で、俺は首から上を狼に変身させ、ハウリングという遠吠えのような声を上げた。


「アオオオーーーー!」


 途端に周囲の木々や草が震えだし、地面までもが震動する。

 対象となったゴブリングループは、耳を手でふさぎながら倒れ込み、苦しそうにもがきは始めた。

 そして耳や目から血を流し、口からは泡を吹き出し始める。

 近くにいたのだろうか、鳥がボタボタ空から落ちて来る。


 あれ、おかしいな。

 硬直しないよな?


 ハウリングを止めて、ふと横を見る。


 なんかハピとダイも、地面を転げ回って苦しそうにもがいている。


 俺は慌てて変身を解き二人に駆け寄る。


「おい、しっかりしろ。だから耳はふさげって言ったんだよ―――って、二人とも初めからふさいでたよな……」


 そう言えばゴブリン達も、直ぐに耳をふさいでいたな。

 それであれか。

 俺のハウリング、こんなに強力だったか?


 訳が解らないが、とにかく二人を休ませないと。


 口から泡は吹いていないが、二人とも耳と鼻の穴からの出血が凄い。

 ハピなんかは「無理ですわ、無理」と連呼しているし。


 ダイが先に落ち着いた様なので聞いてみると。


『ありゃ耳をふさぐくらいじゃ無理だ。ここまで強力とは恐れ入ったよ。さすが生き残りのライカンスロープだけのことはある』


 俺、められたのか?


 しばらくすると、ハピも何とか正気を取り戻した。


「あれはどうにもならない時の最終手段ですわね。“死なばもろとも”ってやつですわね」


 俺は死なないがな。

 でも今まで使わなかった理由が「使いどころが難しい」ってことだったから、この結果をみるとそれはこれからも変わらない気がする。

 もしかして一生使えないワザかもしれない。

 使うとしたら、俺が一人で大勢の敵に囲まれた時くらいか。


「ハピも落ち着いた様だから、ゴブリンの角を回収して街に帰るぞ」


 今回は金儲けが目的じゃないから、オークからの戦利品と、ゴブリンの角が収入となる。

 今後は収入の事も考えないといけないな。

 それから宿だ。

 街の宿は人間用であって、魔物の姿をしたハピとダイは宿ではなく、獣舎に泊まっている。

 俺だけ宿に泊まるのは、気が引けるんだよな。


 だから収入を上げて、安くても良いから家を借りたい。

 その為には、冒険者の等級を上げなくてはいけないな。

 明日からは、地道に依頼をこなしていくつもりだ。













次回投稿は明日の昼頃の予定です。


追伸:

「いいね!」のお願いです。

どういった話の時が面白かったのか、読み手側の好みを知りたいのです。

面白かった話の最後には是非「いいね」ボタンをよろしくお願いします。

一話に着き一度押せます。

全部ではなく、面白かったところで押していただけると助かります。


「いいね」が貯まったら順位の発表をしたいと思います。







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