スカートにご注意
数年前のことです。
駅までの道をてくてくと歩いていました。
反対側の車線をこちらに向かって走ってくる、自転車のお姉さんをなんの気なしに見ていると…。
ぎゅっと音がして、突然、自転車が止まったのです。
急ブレーキがビタッと効いた感じです。
その衝撃でお姉さんは自転車と一緒に車道に倒れかけましたが、なんとか踏みとどまりました。
? どうしたのかな? 危ないな。
お姉さんは自転車から降りようとしても、降りられない様子。
よく、見ると。
お姉さんのはいていたマキシ丈のふわふわスカートが、自転車の後輪の軸に絡み付いていたのです。
スカートは完全にぐるぐると巻き込まれていて、自転車は動きません。
お姉さんもまったく動けません。
ちょうど歩いているのは冬野だけです。
これは……見て見ぬフリはできない状況です。
わりとギリギリで家を出たので電車の時間は気になりますが、ここでスルーしたら人としてどうなの? というレベルです。罪悪感に苛まれること必死です。
車道の車が切れたのを確認して道路を渡りました。
お姉さんに声をかけて自転車を支えます。
お姉さんはなんとかサドルから降りることに成功。
しかし、それからが問題です。
冬野は自転車を支えるだけで精一杯。
お姉さんは動けません。
スカートを後輪から外すためには、できればもう一人の手が必要です。
どうしよう……?
お姉さんと冬野は顔を見合わせました。
しかし、やるしかしかありません。
持ち上げるとなると自転車は意外と重い。
お姉さんが自転車を支えて、冬野はなんとか後輪を持ち上げると、車輪を逆回転させます。
するりとスカートが外れました。
おお! やった!
その後、お姉さんは冬野にペコリとお辞儀をすると、颯爽と自転車に乗って去って行きました。
そのスカートで。
まあ、街中でスカートを脱ぐわけにもいかないし。
脱いだら捕まっちゃうし。
仕方がないのですが。
その後、間に合った電車の中でも、お姉さんのスカートが再び巻き込まれていないか心配でした。
サドルの後ろに傘を差して走るのは危ない、という認識はありましたが(傘が後輪に巻き込まれる可能性があるため)、スカートが巻き込まれることは考えたこともありませんでした。
冬野もびっくりしましたが、お姉さんもさぞ驚いたに違いありません。
長いスカートをはいて自転車に乗るときや、長いものを身につけているときは(←ってなんだ? マフラーとか?)、皆さまもぜひお気をつけくださいませ。
m(_ _)m
スカートはめったにはかないのですが、ミニスカートをはける脚になりたい( *´・ω)/(;д; )




