表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れっぽいので  作者: 冬野ほたる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/31

おみくじ

 あれは忘れもしない、中学三年生のお正月のこと。


 高校受験を控えていた冬野は、友達数人と合格祈願に行きました。

 電車に揺られること30分。近隣の有名なお寺まで。


 初詣も兼ねていました。

 皆でワイワイと楽しい雰囲気の中、おみくじを引こう! と、なりました。


 そのお寺のおみくじは、まず巫女さんから六角柱の木の箱を渡されます。その箱を振って、長方形の小さい口から出た棒に書かれている番号のおみくじを、巫女さんから渡してもらうというものでした。

 

 皆が引き終わるまで待って、全員で「せーの!」と、おみくじを開きます。


 「わたし中吉」

 「小吉」

 「やった! 大吉」


 きゃっきゃっと嬉しそうな声が上がります。


 「……」


 そんな中で冬野は無言です。

 なぜだか、おわかりだとは思いますが。


 そうです。

 冬野が引いたおみくじは「凶」だったのです。

 

 なんてこった! 

 合格祈願にきて引いたおみくじが「凶」とは!


 友達は慰めてくれましたが、縁起が良いとは思えません。

 その光景を見ていた巫女さんは不憫に思ったのでしょう。冬野に六角柱の箱を渡してくれました。


 「もう一回、引いていいよ」

 

 ありがとうございます!

 冬野は今度こそ! と、ガシャガシャと箱を振りました。


 確率的には「小吉」だの「末吉」だの、ただの「吉」だのと、「なんとか吉」が出る確率の方が高いのです。

 さっくりと「なんとか吉」を引き当て、スッキリと受験に臨みたいのです。


 出た棒を巫女さんに渡します。

 おみくじをもらい、皆が注視する中で開きました。

 

 「……」


 はい。

 その通りです。

 またしても「凶」。


 いや、あるんですね。こんなことって。


 一緒におみくじを覗き込んでいた友達と、思わず顔を見合わせてしまいました。

 もう笑うしかありません。


 「もう一回引く?」


 巫女さんは訊いてくれましたが、もういいです。と、伝えました。

 有名なお寺だったので、かなりの人出があり、おみくじも混んでいたのです。

 冬野たちの後ろにもかなりの人が並んでいました。


 二回も引かせてくれた巫女さんに感謝しつつ、おみくじをくくりつけました。

 「凶」を連続で引くなんて。

 そっちの方がすごいじゃん! なんて考えながら(無駄にポジティブ)。


 


 そして高校受験ですが……。


 第一志望校は、ものの見事に落ちました。


 まあ、これはおみくじで「凶」がどうというよりも、完全に冬野の努力不足です。

 (T^T)

 しょうがない。



 それにしても……おみくじって、内容は抽象的なのに、なんだか当たっているような気がするんですよね。


 解釈を自分の都合のいいように取るからだと思うのですが。



 

 神社仏閣巡りが好きなので、今でも訪れるたびに、懲りずにおみくじを引いています。

 (*´∀`)b

  

 あれ以来、ほとんど「凶」は引いておりません。

 






物事って、続くときは続くんですよね。

不思議です。

(°▽°)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点]  友達とおみくじひきにいけるリア充に、幸せを感じてください(笑)
[一言]  すみません、不謹慎とは思いつつ笑ってしまいました……。  あるのですね、そういうこと…。  巫女さんの優しさに触れて。  こうしてネタにもなって(違う)。  受験結果は…でしたが、滅…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ