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白玉楼の業務体制

 次の日、朝起きると僕は外へ出た。そして、昨日の妖忌さんとの闘いを思い出しながら刀を振る。

 今はまだ分からないことだらけだけど、この先自分の身は自分で守れるようにしないといけない。昨日妖忌さんに教えてもらったのだが、この世界には、妖怪という存在がいるらしい。危険度が高いとやつだと問答無用で襲いかかってくるらしい。もしそんな存在と一人でいるときに出会ったとしてもすぐに対処できるようにしなくてはならない。


「少しでも長く、楽しく人生を歩みたいしね」


そんなことを考えながらゆっくりと刀を振って動きを身体に馴染ませていると


「お見事ですな」


 と言う声が聞こえ、妖忌さんが屋敷から出てきた。


「おはようございます、妖忌さん。でもまだまだですよ」


 そう答えると


「傲慢なのは論外ですが謙遜のしすぎもよくありませんよ。それよりも、そろそろ朝食の時間ですよ。ですがその前に汗を流した方が良さそうですな」


 と言われた。確かに今の僕は汗びっしょりだし、昨日から何も食べていない。意識するとお腹が空いてきた。


「わかりました」

 

 そう言って風呂場で軽く汗を流した後、食事の用意してある部屋へと行った。するとすでに幽々子さんがいて、机にスタンバイしていた。


「おはよう猫魔さん。それにしても遅かったわね。おかげでお腹がぺこぺこよ」


「アハハハ。すみません」


「まあ、構わないわよ。それより早く食べましょう?」


「はい」


 そんな感じで会話をしていると、妖忌さんが朝食を持ってきてくれた。持ってきてくれたのだが・・・


「妖忌さん、流石に多すぎやしませんかね?」


 妖忌さんいろんの手と半霊の上には十人前以上はあるであろう料理が並んでいる。


「いや、これでも足りないくらいですよ」


「え?」


 そんなことを話していると


「いただきまーす♪」


 の声と共に幽々子さんが食べ始めた。だがそのスピードが尋常じゃない。気づいたときには、すでに料理の三分の一が消えていた。


「うわー・・・これは某ピンクの悪魔も真っ青だろうなー。てかなんでこんなどうでもいいことは記憶に残っているのか・・・」


「何か言ったかしら?」


「いえ、なんでもありません」


 そんなことをしているうちにもう皿は半分以上空になっている。まあ、僕の分は別であるので問題ないのだが


「妖忌さん、幽々子さんの胃袋って一体どうなっているんですかね?」


「わしに聞かれても困る」


 幽々子さんの隣で妖忌さんがため息を吐く。まあ、普段からこれだけ食べるのなら食費は相当なものになりそうだ。


「それじゃあ僕も。いただきます」


 そして僕も朝食を食べる。簡素かつ素朴な味わいだが、心に染み渡ってくる。正直想像以上に美味しかった。


「妖忌さんって料理もできたんですね」


「まあわしも伊達に従者をしておらんからな。本業は剣術指南役と庭師じゃが、ここで幽々子様の世話をできるのはわしぐらいじゃからな・・・」


 妖忌さんも大変そうだなぁと思ったところでふと気になったことがあった。


「この白玉楼での炊事、洗濯、掃除って妖忌さん以外にやっている人っているんですか?」


「いや、今は、時々ここにいる幽霊たちが手伝ってくれるが基本わし一人でやっておるよ」


「マジですか?」


 ここは正直言ってかなり広い。掃除だけでもかなり時間がかかるだろう。そこからさらに炊事や洗濯をするだろうし、剣術の鍛錬も欠かしていないだろう。ブラック企業も真っ白になりそうな業務体制だ。


「妖忌さん、何か僕に手伝えることってありませんか?」


「どうしたんだい急に?」


「いやーただで居候させてもらうのもアレなので何かできることがあるのであれば手伝わせて欲しいなと。それにこのままだといつか妖忌さんが倒れてしまいそうなので」


 実際、白玉楼の業務はかなりの重労働だし、ここにいる幽霊も何かしているようだが、それでも妖忌さんの負担がかなり大きい。


「それならどんなことができる?」


「そうですねー・・・家事とかは一通りできますよ」


「それなら掃除を頼もうかしら。この屋敷はかなり広いし、庭もあるから人手がいくらあっても足りないのよね。だからお願いできるかしら?妖忌に任せるとムラが多いのよ」


 幽々子さん、妖忌さんも大変なんだからそんなこと言うのはあまりにも酷だと思います。


「わかりました。今日から早速取り掛かります」


「それでは任せたぞ」


「ふふっ期待しているわよ」


 さーて期待されたことだし、頑張りますか。

 あと妖忌さんの負担を軽くするためにも。

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