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6.新パーティーの結成

皆様のおかげでユニーク数が1000を越えました!

なので感謝として22時にももう一話投稿します。

これからも頑張って執筆していきますので応援のほどよろしくお願いします。



 



 俺の住んでいた村は貧しい村でギルドおろか教会もなかった。洗礼式のために教会のある街へ赴き、その後ヴォルフと二人で移り住んだ。両親には反対されず頑張ってこいとさえ言われた。

 俺たちが冒険者になろうとしたきっかけは単純にお金だ。貧しい村のせいで毎日生きるのに必死だった。たまに訪れる商人の旅の話が唯一の娯楽で、何度も聴いた冒険者がダンジョンを制覇して王女様と結婚する物語にはひどく憧れた。たぶんこの頃からだろう、冒険者になりたいと思うようになったのは。


 だが現実は厳しく俺の職業はFランクと最弱だった。しかし同時に才能もあることが分かった。決して俺の夢が、夢物語で終わらないと理解した時の喜びは筆舌に尽くしがたい。ヴォルフは俺と違って最初からすごくて村では勇者誕生だと持て囃す者も多くいた。そして俺たちの関係が徐々に崩れだしたのもこの頃からだ。



 ヴォルフに置いていかれないよう必死に頑張ってテイマー職なのにも関わらず、剣の素振りや対人格闘も行った。冒険者予備校に通ってからもそれは変わらなかった。

 当時その冒険者ギルドの職員として働いていたのがルミアさんだ。俺たちが田舎者にも関わらず優しく接してくれ、色々なことを教わった。まるで本当のお姉ちゃんかの様に慕っていた。


 でも彼女は数ヶ月後に突如として姿を消した。最初はただの休暇かと思ったが、何日も顔を見せないのを不審に思い他の職員に聞いたら急な人事異動だと告げられた。どこに行ったのかも知らされてないらしく探しようがなかった。


 だけど彼女が職員として働き続けていて、俺が冒険者として活動していればいつか出会えると―――しかし本当に会えるとは思ってもいなかった。


「…お久しぶりですルミアさん」

「えぇ、クレト君はだいぶ成長されましたね」


 数年ぶりの再会で嬉しい反面、何を話していいのか分からなかったが、予想外の所から助け船がだされた。


「ご主人様とはどんな関係なの…?」


 あれ?助け船じゃなくて火に油を注がれた。別に(やま)しい関係じゃないけど浮気を咎められてる気分だ。


「え?ご主人様?……そういう関係ですか?」


 この国にも奴隷制度は存在するが、ルミアさんの思っているような関係ではない!…なんか必死に言い訳してるみたいだな。


「ルミアさんそれは誤解で彼女たちは仲間です。ちょっと俺の呼び方が特殊で恰好もあれですが――」

「そうですか…分かりました。クレト君も男の子ですもんね」


 いやいや、絶対わかってないよね!?恥じらいながら言われると余計誤解を生むから!そこの職員さん違いますからね。


「ルミアさん今夜時間ありますか?」

「ぇ?そんな急には…まだ心の準備が――」

「ご主人様……?」

「誤解だから!!決して変な意味じゃない!純粋に久しぶりの再会で、ゆっくり話そうと思っただけだから」

「ノワールもその辺にするのじゃ。ルミアと言ったか?妾たちのの冒険者登録をしてもらえるか?」

「あ…申し訳ございません。すぐに準備致します」


 サフィのおかけで助かったけどどこかで時間を見つけて俺の名誉のためにも誤解を解消しよう。


「順序がおかしくなったけど二人にも紹介しておくよ。彼女はルミアさん。俺が冒険者予備校の時にお世話になった人だ」

「妾たちよりも前の知り合いじゃったか。道理で知らんわけじゃ」

「むむむ…手強いライバル登場」

「ええと…冒険者登録を始めます。とは言ってもこちらの水晶に手を翳すだけ終わります」


 水晶に翳すと勝手に情報を読み取り、冒険者証が出来上がりこれが身分証となる。俺の持っているステータスカードは洗礼式の時に貰える特別なもので、冒険者証にしか冒険者としての記録は残らない。なぜなら管理している水晶などの魔道具はダンジョン産の物で、未だに解明が進んでいないからだ。

 二人の冒険者証はこんな感じでついでに俺のも見せておこう。



 名前:クレト(Cランク冒険者)

 Aランクダンジョン制覇数:1

 Cランクダンジョン制覇数:1



 名前:サフィ(Fランク冒険者)



 名前:ノワール(Fランク冒険者)



 とまぁ雑に見えるが、ダンジョン産なだけあって不正は不可能で、本人以外が触れると何故か何も表示されない仕組みとなっている。


「はい。これで二人の登録が完了しました。三人はパーティーを組まれますか?」

「登録のことばかりで、名前を決めてなかったな」


 パーティー結成には2つの条件があり、メンバーが2人~6人であることとパーティー名を決めることだ。前者の理由としては人数無制限だとパーティー内でダンジョンの独占を行うといった行為が、過去に起こりギルドが制限を設けたのだ。後者は単純に分かりやすくするためだ。


「はいはい!じゃあ"蒼黒(そうこく)の絆"なんてどお?」

「…意外といいかもな。サフィは?」

「悪くない」

「本当!ならルミアちゃんこれで決定ね!」

「わ、分かりました。ではクレト君、サフィさん、ノワールさんの三人でパーティーを結成し、パーティー名は蒼黒の絆として登録します」


 なかなかに悪くない名前だと思う。にしてもルミアちゃんって……彼女の方が歳上だろ。…いや待てよ、魔物であるノワールの方が長生きしてる可能性があって、見た目の割にけっこう歳う――


「それ以上はダメだよ?」

「…はい、すみません」


 …怖ぇよ。もしかして気にして「ご主人様?」…そんなにも表情に出てるのか……これ以上は考えないようにしよう。うん、そうしよう。


「登録が終わったから、夕食まで買い物でもするか!」

「良い案じゃ!」

「王都の名物料理を制覇するの!」

「俺たちは木漏れ日亭に宿泊してますので、お時間があれば夜ご飯でもどうですか?」

「そうですね…では今夜ご一緒させてもらいます」

「今夜楽しみに待ってます!」


 ふぅー、今度は誤解を招くことなく誘うことができた。二人にもちゃんと説明するとして、出来れば仲良くなってほしい。


「どこから巡るのじゃ?」

「うーん、俺も久しぶりに来たから適当でいいんじゃないか?しばらくは王都を拠点として活動するんだし」

「買い食いだね!」

「ほどほどにな。ルミアさん何処か女性服のお店を教えてもらえませんか?」

「いいですよ。紙に地図を書くのでちょっと待ってください」


 女性服は女性に聞くのが一番だ。すぐに書き終わったみたいで…なるほど思ったよりも近場にあったわけか。


「ありがとうございます!よし行くか」

「楽しみじゃな」

「は~い!」


 時間があれば食料の調達なんかもしたいな。あとは消耗品の補充とかもダンジョン攻略前にはやらないとな。やることが多いが、まぁ今日中に終わるだろう。



 …だがこの時の俺は見誤っていた。女性の買い物がすぐに終わるわけもなく――。

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