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閑話:紅の進撃④

書き直したりしていたため投稿が遅くなってしまい申し訳ないです。

久しぶりに彼らの登場です!三人称視点でのお話となります。

 クレトたちがニンヘルダンジョンを攻略している一方で、時は少し遡りヴォルフたち"紅の進撃"はと言うと――――


「なぁーあとどれくらいで借金はなくなるんだ?」

「……えぇーっとですね、今のペースですとまだ半年はかかるかと…」


 借金返済のため日々ダンジョンに潜りお金を稼ぎ、いつもの場所で食事をしていた。そしてこの日はアルフレッドが溜まっていた疑問というなの愚痴を吐き、彼に答える人がいなかった――正確には答えられなかった――ためサラが現状を踏まえ述べた。


「嘘だろ!?まだそんなにかかるのかよっ!」

「ですが、アイテムバックのおかげで魔石やドロップ品は多く回収できてます」

「おいおいそもそもの原因がそれなんだから、全然嬉かねぇよ。むしろマイナスだろっ」


 アルフレッドがそれと指差した物は借金の原因となったアイテムバックである。盗賊であるサラは新入りなのも相まって、買い出しやらポーションなどの管理を押し付けられている。そのためヴォルフが買ったもののサラが所持して使っているのだ。


 最初は高価なそれを他人に持たせるのを渋った彼だが、パーティーメンバーからはそれを持っているなら買い出しなどの雑務を任せると言われ、それをしたくない彼はサラに任せたのだ。元々サラを勧誘したのは彼なので、彼女が信用ならんなど言える立場ではなかったのもあった。


 しかし彼の心配をよそに、サラはお金の管理もしっかりとしていて今では信用している程だ。だが当の本人は―――


(はぁ…まだまだお金が貯まりませんね。アイテムバックを私が持つまでは良かったのですが、全くお金が増えないとは―――)


 いつ持ち逃げするかを企んでいた。サラはヴォルフたちの常識の無さに呆れ早々にパーティーを抜けようとしたが、理由もなしに抜けると自分までも無能だと思われてしまうと考えた。さらにどうせならAランクパーティーを存分にいかそうとも考えた。


 その結果アイテムバックを奪い中身の物とお金を奪う算段を思いついた。呆気なくアイテムバックは持てたものの肝心のお金が貯まっていない。物の価値を知らない彼らを騙すのは簡単で、買い出しの度にお金をちょろまかしていたが、彼女が満足できる額には達していなかった。このままアイテムバックだけを盗むのも考えたが、欲の深い彼女は何とか思い止まっているのが現状だ。


(これの所為でヴォルフはリーダーとしての立場が弱まりアルフレッドが仕切っていますが、このままだと無駄に時間が過ぎるだけです。何かいい方法がないのでしょうか…)


 いつもの場所は多くの冒険者で賑わっていたが、サラの半年以上かかる発言を受け"紅の進撃"のいるテーブルだけはお通夜の様に静まり返っていた。 だがそのおかげでとある情報を耳にすることになる。


「なぁ知ってるか?何でも王国と帝国の国境場所にダンジョンが現れたそうだ!」

「そいつは本当かっ!?新ダンジョンなんていつぶりだよ!こいつは儲けるチャンスじゃねぇか!!」

「それが残念なことに帝国との国境に出来た所為で、ダンジョンへの攻略には制限が設けられるそうだ」

「おいおいそれゃないだろ…。どうやったら選ばれるんだ?」

「あくまで噂だけどよ、王都のギルマスが決めるんだとさ。他にも王様が決めるって話もあるぜ」


 金欠な彼らにとってこれはチャンスだ。新ダンジョンってことは宝箱があったり未知の魔道具が見つかるかもしれない。それに制覇の証である魔石が存在するのだ。つまり制覇してしまえば目の上のたんこぶである問題が解消され、その上彼らの名が知れ渡ることになる。

 しかし攻略には制限があると聞き地道に頑張るかと似合わない事を考えていたが、話には続きがあった。


「しかしよ、手に入れた情報では既に決定されてるみたいだ」

「かぁー俺にチャンスは巡ってこなかったか。……そんで運のいい野郎は誰なんだ?」

「SランクとAランクパーティーが1組ずつと、(にわか)に信じがたいが無名のパーティーの3組だ。情報をくれた奴はテイマーでよ、テイムした魔物を使って情報を届けてくれてるんだが、そいつ曰く無名パーティーのリーダーもテイマーだそうだ」

「何だそれ?お前さん嘘を掴まされてないか?」

「…やっぱりそう思うか?しかもよ、そのパーティーリーダーの男は蒼いドラゴンをテイムしてるんって言うんだぜ。ますます嘘臭いよな…」

「ドラゴンをテイムとはそいつはスゲェじゃねぇかっ!!……まぁそれが本当ならな」


 テイマーで蒼いドラゴンをテイムしていると聞き、彼の脳裏には一人の人物が思い浮かんだ。しかしそいつが攻略メンバーに選ばれるなど有り得ない。自分よりも弱いあいつが選ばれるのであれば、何故俺は選ばれていないのかと疑問に思っていた。


「今の話どう思った?」

「有り得ないわよ!何で私たちを選ばないわけ?ギルマスの目は節穴じゃないかしら?」


 ヴォルフはパーティーリーダーの男がクレトなのかと聞いたつもりだったが、ミランダは斜め上の答えを返してきた。だがよくよく考えれば、 ミランダの言ってる内容もその通りだと思えてきたヴォルフは一人思考を巡らせる。


「しかしよぉ蒼いドラゴンってどっかで見なかったか?」

「アルフレッドさんは忘れたのですか?前にいたテイマーの彼が従魔にしていたのがそれですよ。もしかしたら同一人物かもしれませんね」

「はぁぁぁあ!?あの役立たずが攻略メンバーに選ばれたって言うのか!?それこそ有り得ねぇだろ」

「……ですが蒼いドラゴン何てこれまで一度しか見たことが有りません。ほぼ間違いなく彼だとは思いますが、何故攻略メンバーに抜擢されたのかは私も疑問には思います」


 アルフレッドは本当に覚えていなかったのか、それとも既に忘れ去られた存在だったのか蒼いドラゴンことサフィについて問いかけた。リアは覚えていたのかすんなりとそのテイムされた魔物と主人について話し出すが、アルフレッドは納得がいかなかった。いや、彼だけなく他のメンバーも内心ではアルフレッドと同じことを思っていた。しかし、サラだけは―――


(やはりドラゴンをテイムしてるのはそれだけで十分な戦力ですね。加えて彼には黒狼もいたはずです。彼らの様に目が節穴でなければその凄さは理解できます)


 納得をしていた。ドラゴンの凄さは然ることながらそれをテイムしている彼も一定の評価は得られるだろうと。

 そして、一人考え込んでいた彼は―――


「それなら明日王都に行かないか?真相を確かめるついでに、俺達が新しく出来たダンジョンを制覇しに行こう。そうすれば金と名誉の両方が手に入る」

「そいつはいいねぇ!俺らの実力があれば制覇なんて余裕だろうしな」

「私も賛成よ!コツコツお金を稼ぐなんて私たちには合わないわ。ダンジョンは一攫千金を夢見る場所なんだから!!」

「ヴォルフさんの言う通りで、その方が早く借金返済ができそうです」

「罠があるダンジョンでしたら私の出番がありそうです」


 どうやら皆リーダーの意見には賛成のようだった。


(王都に行くのであれば早めに次の段階へ移るのもありですね。攻略メンバーにはSランクパーティーがいるそうなので、このパーティーでは到底追い抜けないでしょうに。どっからその自信が湧いてくるのか……。本当お目出度い人たちですよ)


 案の定と言うべきかサラだけは不穏な気配を漂わせていたが、新ダンジョンを制覇した()のことを考えている彼らには知る由もなかった。

 そして二度と交わることがないと思われていた"紅の進撃"とクレト、そしてかつての初恋相手との再開はすぐそこまで迫っている。

誤字報告助かっています!ありがとうございます!


次回も閑話が続きます!

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