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42.ついに国境へ到着

本日2話目です!

 馬車は前回と同じ幌馬車だけど二台で移動している。ギルド職員が降りて代わりに”星の輝き(スターブライト)”が乗ったため人数的には増えた。しかし御者の一人の都合が合わなかったため二台となったのだ。そのため少し窮屈に感じるが半日も関わず着く予定なのでそこは我慢する。先頭は”永遠の旅(エターナルジャーニー)”と”星の輝き”が乗っている。




「エーガたちの予想ではニンヘルダンジョンは全何階層あると思う?」

「難しい質問やなぁ……わい自身は20階層くらいやと思うな」

「となるとCかBランクのダンジョンか。11階層以降はどんな景色が広がってるんだろうな」

「そればっかりは分からんなぁ。ただ下に行くほど攻略は大変になる傾向があるから一筋縄ではいかんやろうな」


 俺とエーガはニンヘルダンジョンについてあれこれ考えている。未知のダンジョンなので圧倒的に情報がない。何処にセーフティエリアがあるのか、どんな魔物が出現するのか、ダンジョンボスはどんな魔物なのか、挙げればきりがない。手探りで見つけながらの攻略になり、恐らく低階層には転移ポイントがないだろうから、こまめに地上へ戻るのか10階層の転移ポイントまで攻略を進めるかも決めなければならない。果たして他の人たちはどうやって攻略をするのか気になる所ではある。


「エーガたちはSランクパーティーだからSランクダンジョンを制覇したってことだろ?どれくらいで制覇できたんだ?」

「確か……数か月はかかったなぁ。でも制覇済みダンジョンやったからまだましやったで。もし未制覇ならもっとかかるはずや」

「やっぱそれくらいかかるよなぁ…」


 制覇済みのダンジョンでそれ程かかるのなら、未制覇ダンジョンは一体どれ程かかるのか。考えるだけで鬱屈になるため話を変えるべき違うことを聞く。


「帝国ってどんな国か知ってるか?」

「わいらは獣人やから行ったことはないで。冒険者から聞いた話では、実力と人類至上主義を掲げているらしい。平民だろうが実力があれば騎士にだってなれるとか。ただしわいらみたいな獣人は差別の対象で宿屋に泊まるのや食事を取るのですら困難とか。本当かどうか分からんけど帝都はそもそも獣人が入れないとか。まぁ真実はどうか分からんから今度行ってみたらどうや?従魔も差別対象やけど、擬人化やったか?それがあれば大丈夫やろうしな」

「暮らしにくそうなとこだな」


 誰にでも成り上がるチャンスがあるのはいい点だけど他がな。行く機会があればそんときにでもちゃんと調べてみよう。


 道中魔物の襲撃はあったものの、ハルトの言っていた通り弱い魔物しか遭遇しなかったので予定通りに進み国境が見えてきた。




 ズラッーと壁が並んでいて終わりが見えない。目測5mは越えていそうな壁でその向こうが帝国領なのだろう。目の前には聳えるそれは王都の冒険者ギルドよりもでかく、例えるならば要塞だろうか。木造でなく石造りのため余計にそう感じられる。

 ここが国境警備隊の本部か。近くで見るとより迫力がある。砦の前には一人の男性騎士が立っていて、全身甲冑を纏いヘルムは左脇に抱えている。背筋をピンと伸ばし騎士のお手本の様な人物だ。


 御者と"星の輝き"に別れを告げ彼の元へ近づく。するとビシッと敬礼をし先に声をかけてきた。


「私は国境警備隊の副隊長、名をカールと申す。貴殿らの案内係を任されている。早速で申し訳ないが隊長がお待ちの部屋までご一緒願う」


 騎士ってもっと傲慢な奴だと思っていたけど、どうやら勘違いの様だった。見た目は30代前半くらいで俺よりも少し高いから180cm程か、爽やかなイケメンだ。


「お出迎えありがとうございます。では案内の方お願いします」


 砦の中に入ると騎士たちが行き来していて、みな精悍な面構えで真面目に職務に励んでいるのが窺える。カールさんに着いて歩くと行き止まりの所で立ち止まった。


「この床は魔道具になっており4階にある隊長の執務室前まで一瞬で行けるのです。詳しい原理はお答えできませんが、多少浮遊感を感じますが危険はないため暫しご勘弁願いします」

「ほぉー瞬時に上へ行けるとは便利ですね」


 キースの言う通り便利な魔道具だな。毎回4階まで階段で上がるのはしんどいからな。言われた浮遊感に襲われるけど一瞬だったので何ともなかった。そして十数秒で目的地の階まで上がった。


 重厚そうな扉をカールさんがノックをする。中から威厳を感じさせる低い声で入室許可がおりた。


 エーガ、キース、俺のパーティー順で中へと入り、パーティーリーダーの三人が一歩前へ出る。

 部屋の中央にある執務机の左右には書類の山が築かれていて、髭を蓄えた強面の男性が座っていた。俺たちを一瞥する鋭い眼光と一瞬目が合い冷や汗が流れた。隊長とは名ばかりでなく相当な実力者の持ち主だと窺えた。俺たちから見て左側には女性騎士が佇んでおり、右側にはカールさんが佇む。


「よくぞ参った。俺は国境警備隊の隊長を務めているゴルだ。こっちにいるのはマーサ、まぁ秘書みたいなもんだ。適当にソファにでも座ってくれ。人数の関係上悪いがここから喋らせてもらう」


 執務机に対し垂直に置かれた対面する二つのソファは、俺たち13人が何とか座れる大きさだ。キースは左側から座り、何故かエーガも左側に座ったため俺は右側の最前列に座るはめになった。

 マーサさんがテキパキと人数分の紅茶を用意してくれた。どうやら手短な話ではないようだ。


「初めて会ったのだから自己紹介からといきたい所だが、生憎と俺の元へは資料が送られて来てるから割愛する。本題へと入る前に何やら道中襲撃があったとか?詳しく教えてもらえるか?」

「では私が説明します」


 即座にキースがこたえ経緯を話し始める。その間紅茶を飲みながら室内を見渡す。両サイドには本棚が置かれていてビッシリと本やら資料らしき物で埋め尽くされている。飾り気がなくシンプルな部屋だが清掃は行き届いているらしくとても綺麗だ。


「――――――と言う訳でようやく辿り着いた次第です」

「……成る程な。ほぼ間違いなく帝国の仕業だろうよ。俺の方にも陛下から帝国について聞かされている。帝国の狙いも大方予想も出来ている。まぁ俺から言えることは帝国よりも先に制覇してくれってことだな」


 隊長って肩書きを持っていて威厳溢れる風貌なのに言葉が軽い。帝国だけでなく誰よりも先に制覇したいと思っているから、今さら言われるまでもないことだけど。

 しかし帝国の狙いに見当がついているとは一体どういった理由なのか気になる所だ。

果たして帝国の狙いとは!?

長くなりそうだったのでここで区切らせてもらいました。

気になる所ではありますが、次回もしかしたら閑話を挟むかもです。

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