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41.国境へ出発

 翌朝何とか時間通りに目を覚ますことができた。あの後すぐに寝付けなかったから起きられるか心配だったけどちゃんと起きることができた。二人は俺よりも早く起きて身支度を整えている。朝の挨拶を済ませて俺も準備を始める。


 準備を終えたため一階に降りて朝食を取りに行く。人気の宿屋なのか朝から人が多いように感じられる。適当に空いているテーブルへと座り、これまた適当に朝食を頼む。運ばれてくるまでの間昨日のことをまだ話していなかったと思い出し二人にも伝えておく。他にも俺がいない間に何をしていたのかなどを話していると、キースたち”永遠の旅(エタノールジャーニー)”の面々が降りてきた。その後ろにはエーガたち”獣の魂(ビーストソウル)”の面々もいた。


「おはようございます。クレト達はお早いのですね。どうせなら全員でギルドまで向かいますか?」

「あぁおはよう。俺たちはそれでいいぞ。どうせ時間までここにいるつもりだったから」

「では我々も手早く食事を取る事にしましょう」


 そう言って近くのテーブルへと座り注文を始める。エーガとも挨拶をして、彼らもキース同様に席を確保して注文している。




「それではそろそろギルドへ行きましょうか」

「そうだなぁ行くとするか」

「分かった」


 各々席を立ちギルドへと向かう。いつの間に仲良くなったのかノワールはカリンさんとコリンさんとお喋りしている。決して人見知りではないものの意外だと感じてしまった。


「主が他の冒険者と仲良くなった様にノワールも妾たちがいない所で仲良くなったのじゃろう」

「そうだな……サフィも誰かと仲良くなったのか?」

「…妾はほとんど主と一緒にいたではないか」


 言われて見ればそうか。折角人の姿で人語が話せるようになったのだから友達を作るいい機会なのかもしれない。この依頼中話す機会も多くあるだろうからサフィも積極的に話しかけてもらいたい。俺もこれまでは友達と呼べる様な人がほとんどいなかったからな。


「私は受付でギルドマスターからの追加の伝言がないかの確認と、依頼を受けて下さった冒険者の方々と話をしてきます。よくよく考えたら全員で来る必要はありませんでしたが、このままここで待ちますか?それとも先に街の外へ行って御者の方と合流しますか?」

「馬車が襲われないとも限られないから二手に別れましょうか」

「それならキースたちのパーティーはここに残るとして、わいかクレトのどちらかが行くべきやけど――――ギルド内にメイド服を着た奴が居れば面倒事に巻き込まれるかもやから頼めるかぁ?」

「えぇ…分かりました」


 残念ながらルミアの姿は見られなかったのでここに残るメリットもないからいいんだけど、やっぱりメイド服って目立つよな。見慣れている所為でこれが当たり前だと感じている俺がおかしいのは分かってはいるものの、頑なに着替え用とはしないからね。王都のギルドで絡まれた前例があるため強く反論できないのも事実だ。


「さすがに三人ではどうかと思いますので、馬の扱いにも慣れているカリンとコリンも同行させましょう」

「それは助かる。それじゃあ一足先に外で待ってるよ」


 戦闘面でも頼りになる彼女たちがいるのは有難い。それにノワールとも仲がいいので気まずい思いをすることもない。

 しかし男一人で女が四人とは別の意味で面倒事になりそうだと、思ってしまうのはきっと間違ってはいないはずだ。現にひそひそとこちらを窺う通行人たち。加えて―――


「カリンちゃんとコリンちゃんは昨日(の訓練は)どうだったの?」

「…(模擬戦が)激しかった」

「…(疲労で)クタクタ」


 誤解に誤解を重ねる会話を繰り広げられている。色々と主語が抜けているのと、口数が少ないのが合わさって恐ろしいことになっている。いち早くこの場を立ち去るため足早に歩く。サフィは一人クスクス笑っている。


 事前に聞いていた場所へ行くと前回お世話になった御者さんたちがいた。馬の世話や馬車の点検など朝から精が出る。


「おはようございます!またお願いします」

「こちらこそお願いします」


 キースたちが来るまでは暇なので俺たちも手伝うことにした。とは言っても馬のブラッシングは素人がやると馬が暴れかねないため、経験者のカリンさんとコリンさんに任せ飼葉やら馬車に積み込む荷物なんかの運ぶ手伝いをする。どうせ国境に行くのならと国境警備隊に荷物を届ける依頼も受けたそうだ。

 そうこうしているとキースたちが来てその後ろには初めてみる人たち―護衛の冒険者だろう―がいた。


「彼らが今回の依頼を引き受けてくれた”星の輝き(スターブライト)”です。彼らは同じ村出身らしく仲の良いパーティーだと聞いています」

「僕がリーダーのハルトって言うっす。よろしくお願いしますっす」

「こちらこそよろしく頼む」


 男四人組でタドリングを拠点として活動しているBランクパーティーだそうで、何度が国境まで護衛依頼をしたことがあるそうだ。聞けば魔物は頻繁に現われることもなく強い魔物はいないみたいだ。順調に行けば昼過ぎには到着するだろう。


「改めて皆揃ったので確認をします。国境までは我々も護衛として加わり、帰りは”星の輝き”の皆さんにお任せする事になっています。特に何もなければ早速行きたいと思います」


 積み込み作業や馬車の点検も完了していて、異論は出なかったのですぐに国境へと出発した。

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