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36.移動の再開

昨日は更新できずに申し訳ないです。

 捕まえた人物が自害したのか何らかの方法で殺されたのかは不明だが、死人に口なしのため結局何も情報が得られなかった。分かっていることとすれば、間違いなく後ろで手を引いている輩がいると言うことだけだ。

 念のため襲って来た人物の持ち物を漁ってみるもののやはり手がかりは何も残っていなかった。せめてもの情けで彼らを埋葬し、特にこれといった被害を受けなかったのでナトヘンへと歩を進める。隊列は同じまま行くことになりその後は順調に森を抜けることができた。


「ふぅーようやく森を抜けれたな。鬱蒼としている所為でこちらの気分まで鬱になる」

「じゃがまだ油断はできんぞ。国境まではまだ道のりがある故襲撃するタイミングはいくらでもあるのじゃ」

「その通りなんだけど、サフィの意見としては新ダンジョン―――ニンヘルダンジョンにはどんな魅力があると思う?」

「難しい質問じゃな…。妾の考えとしては武器や防具の素材がドロップする、あるいは制覇の証である魔石が欲しいのかじゃな」

「俺としては単に王国の利になるのを阻止していると思ったんだけどな」


 考えても分からないけど時間つぶしにはなるため、あーでもないこーでもないと考えを巡らせてみたものの案の定答えは出なかった。まぁ正解があったとしてもそれを判断する人がいないのだからな。

 街へ入る前に一度休憩を取ってこれからの予定を告げられる。


「現状わいらは何者かの襲撃を受けているが予定通りに進んでいる。しかしいつどこで襲ってくるかも分らんから街への宿泊はなしにしてそのまま進むことに決めた」

「しかし昨夜のゴブリンの件は本当に異変が起きていた可能性も有り得るため、私とカリンが冒険者ギルドまで報告へ行って来ます。その間貴方達はこのままで休憩をしていて下さい。さすがに街の近くにいれば早々襲われる事はないでしょう」


 エーガとキースの意見に反対の述べる者はいなかったが、こういう状況に慣れていないギルド職員と御者は精神的にきついとは思ってしまう。だからと言ってどうこう出来ないので彼らが休める様に俺たち冒険者がしっかりと警戒に当たる。


「取り敢えず軽食でも食べ―――」

「食べる!!」


 俺たちのパーティーとルミアは固まって休んでいて夕食にはまだ早いけど少しお腹が空いていたので、みんなにもどうかと思い聞いたのだが、被せるようにしてノワールが即答した。二人もノワール程の主張はなかったが小腹は空いているようだ。


「じゃあこれを食べようか。本当はお店で食べる方がいいんだけど、ピクニックみたいで少しは気も楽になるだろうからな」

「美味しいそうじゃな」

「わ~い!」

「これは…」


 どうやらルミアは気づいた様―――まぁ何たってルミアに連れられて行ったお店のサンドイッチだからな。


「見た目通り美味しいの!」

「うんうん!パンも柔らかいし中の具材も美味しい!」

「気に入って頂けたようで私も嬉しいです。わざわざ買い込んでいたのですね」

「初めて食べた時凄く美味しかったからな。だから二人にも食べてもらおうと思って買っておいたんだよ。どうやら二人も気に入ったようで良かった」


 警戒しながらもコーヒーを飲みゆったりとした時間を過ごしていると、キースとカリンさんが街から戻ってきた。


「待たせて申し訳ない。それでは進める所まで進んで適当な場所で休むとしよう」


 聞けば以前来たことがあったのと高ランクのためすぐに上の者と連絡を取れたのと、門から近い所にギルドがあったため早く戻ってこれたらしい。


「最後尾を少し手厚くして夜襲に備えながら行きます。御者の皆さんには負担になると思いますが宜しくお願いします」


 俺たちの配置は変わることはなかったので手早く馬車へと乗り込む。もうすぐ夕陽が沈むとあっという間に暗くなるので早めに灯りの確保をしておく。夜道を進む一行は他にいなかったので、トラブルなく進み街道から少し離れた見晴らしのいい所を夜営場所と決めた。

 何回かやっている作業のため手慣れた手つきで進んだ。食事を終えたら昨夜同様に各パーティーリーダーが集まり見張りの順番などを決め今回は時間帯をずらして、俺→キース→エーガのパーティー順に行うことになりその報告のためテントへと戻る。


「というわけで俺たちは最初に見張りを担当するから食後で眠いとは思うがしっかり頼むぞ」

「どうして私を見ながら言うのかな?」

「…ノワールが一番心配だからだよ」

「うぅ~ご主人様がひどいよぉ」

「まぁなんじゃ、日頃の行いぞ」

「サフィちゃんまで!?」


 縋るようにルミアの方へ視線を移すが彼女は見張りを頼む側なので、強くは言えないためノワールの擁護へと回った。


「いつもシャキッとしていれば頼りがいがあるんだけどな」

「なにノワールも場を和ますためにやっておるのじゃろ」


 そうは言うがルミアに泣きつくようにして甘えている彼女を見ても説得力に欠けるのだが。言った本人も同じことを感じたのか苦笑いを浮かべている。

 さすがにこのままの状態では任せられないので、何とかご機嫌を取り三方向に別れて見張りを行う。


 今夜は雲がなく月明かりと星々の輝きのおかげで夜目がなくても周囲が見える。だからといって暇なのは変わりないので、起きているかの確認も踏まえ意思疎通で連絡を取ったり、見張り時間が速く終わらないかと砂時計の落ちる砂を見つめたりしていた。遠目にはまだナトヘンの城壁の灯りが見えるおかげかは分からないけど、俺たちの見張り時には襲われることはなかった。


 キースと見張りを交代してルミアが寝ているテントへと入る。他の冒険者と寝ないのかと聞いたのだが俺たちと寝る方が良かったと言われ無粋なことを聞いてしまったのを思い出す。寝ている彼女を起こさないように寝顔を見つめ、俺たちも眠りについた。

果たしてこのまま無事に辿りつけるのか!?

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