閑話:ルミアの暴露!?③
本日3話目です。
本当はこの内容を書きたかったのですが長くなってしまいました。
朝目を覚ますと隣にいたイリーカは既に起きていたようでそこにはいませんでした。身支度を整えたり着替えをしていると他の方々も起きだしたので、一緒にテントの片付けを手伝います。
片付けが終わる頃には出発の準備も終えていましたが、まだ道を塞いでいる人たちがいるみたいで、迂回のために森の中を抜けるそうです。そのため隊列を変えることとなり、私たち非戦闘員は真ん中に集められこれまた女性冒険者が守ってくれることになりました。
イリーカはいち早く危険を察知するために先頭の馬車へ乗っているため、今回は”獣の魂”のメンバーである猫獣人のオリガさんと”永遠の旅”のメンバーである人族のケイリーさんが護衛についてくれます。馬車が進み特にやることもないため、暇つぶしにガールズトークとなった訳ですが―――
「にゃにゃイリーカから聞いたんだけどルミアちゃんは恋人がいるんだってにゃ?」
「あらあらそうなのー?若いっていいわねぇー?」
情報が伝わるの早くないですか!?それにケイリーさんもまだ十分にお若いのとは思いますが、年齢を聞くのが憚られる雰囲気を感じるため口にはしませんけど。ギルド職員として働いていると人の表情から察せられるようになるものです。
「今回同行している”蒼黒の絆”のリーダーであるクレト君とお付き合いしていますよ」
「いいなぁ、あちしも彼氏欲しいにゃ」
「でもでも冒険者をしていると彼氏とデートする時間はなくないですかー?」
どうやらお二人はお付き合いしている人がいないみたいです。かく言う私も最近お付き合いしたばかりですけど。何やら白熱した内容になっており口を挟むタイミングがなく、ぼーっとしていると話題に出ていたクレト君から連絡がきました。
『ルミアは退屈じゃないか?』
『退屈ではありますが馬車での移動はこんな感じではないですか?私以外のギルド職員は男性なので気を利かせてくれたのか、こちらには女性の冒険者がいますので大丈夫です』
『想定外のことばかり起きてルミアとは中々一緒にはいられず申し訳ないとは思っているが、そっちも冒険者とうまくやれているようで良かったよ』
『仕方のないことです。クレト君は私が一緒にいられないからといって我儘を言う人だと思っているのですか?こうしてお話できるだけで十分ですよ』
『そんな風には思ってないけど…』
『ふふっ少しからかっただけで―――』
「あらあら顔がにやけていますけど大丈夫ですかぁー?」
「ルミアちゃん聞いてるにゃ?」
『どうしたルミア!?』
『―――何でもありませんけどまた後で連絡します』
つい話に夢中になってしまいお二人のことを忘れていました。それに意思疎通は便利ですけど周りには聞こえていないため、急ににやけて変な人だと思われてしまいました。
「ごめんなさい。少し考え事をしていました」
「それにしてはにやにやしていましたけどー、彼のことでも考えていたのですかー?」
「もしかしてルミアちゃんは妄想して一人で楽しむむっつりさんにゃ!?」
「なっ!?違いますよ!!」
確かににやけていたのでおかしいのは認めますがむっつりだなんて失礼です。しかし彼女たちは意思疎通のスキルを知らないので誤解しても仕方ありませんが―――むっつりは言い過ぎだと思います。このままでは私がむっつりとして広められてしまうため、スキルについて教えるしかないのですが、勝手に教える訳にはいかないので―――
「ちょっと待ってくださいね」
『先程はごめんなさい。オリガさんから話かけられて、同時に二人と話すのは無理だったので…。彼女たちにスキルのことを教えても大丈夫ですか?このままだと私はおかしな人扱いされそうで……』
『教えるのは構わないけどルミアが従魔だと思われるのは免れないけど大丈夫か?』
『その点は私が説明します。ではまた何かありましたら連絡ください』
『あぁ分かった』
お二人に断りを入れてから再度クレト君に連絡をとり、スキルを教えてもいいか聞くと承諾してくれました。
「お二人は従魔と主人が意思を疎通できることをご存知ですか?」
「……確かテイマーにはそんなスキルがあると聞いたことがあるにゃ」
「でもーそれってある程度でしかわからないって聞きましたよぉー?」
「大まかにはその通りですが、クレト君ははっきりと従魔と話すことができるのです。しかも念話みたいに頭の中で会話が可能です」
テイマー職は下位職とされ詳しく知らない人が多い中、お二人はよく知っている方です。しかしクレト君のスキルは魔物でも人と遜色なく会話ができ、従魔間にしか聞こえない秘密の回路で繋がって話すことができる素晴らしいものです。
「にゃ!?まさかルミアも魔物にゃ?」
「でもでもルミアちゃんはギルド職員ですよねぇー?」
「ふふっ実は私――――人間なんです」
「にゃにゃ!人間だってぇー!!にゃ?人間……?」
「あらあらそんな名前の魔物いたかしらー?」
冗談が通じないのでしょうか。何だか私を異様な者を見るみたいな目で見てきますけどただの一般人ですよ。
「ですから私は人です。どこにでもいる人間です」
「でも従魔じゃないとスキルが使えないにゃ?」
「私にも詳しくはわかりませんが、何故か私とクレト君は従魔契約が結べたのです。それによってクレト君、サフィさん、ノワールさんと会話が可能になりました」
「まぁまぁ凄いスキルですねぇー。でもどうして従魔契約をしたのかしら?」
クレト君が誉められているみたいで嬉しくなります。ですが何故契約したかと言われればそれは―――
「私だけ仲間外れなのが嫌だったからです。それに彼と繋がっているのが羨ましいとも思ったからです」
「にゃールミアの愛が伝わるにゃ!」
「それはそれは束縛系女子ですねぇー。でもでも自ら縛られたいってルミアちゃんはドMなのかしらー?」
「そこは愛情表現の一種とか、愛の結晶とかあるでしょう!どうして変な方向に考えるのですか!?」
その後彼女たちの誤解を解くのに時間がかかり、スキルのことを教えたのは間違いだったのかと自問自答するはめになりました。
次話は本編に戻ります。
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