閑話:ルミアの暴露!?①
ルミアと冒険者の話の予定でしたが、出番が少なかったので多く書こうとしたわ肝心のシーンまで辿りつきませんでした……。
クレト君たちはエミリーさんからの依頼で王国と帝国の間に現われたダンジョンへと行くことになりました。ギルマスから直々の依頼なんて冒険者として凄いことなのですが、私個人としては会えなくなるのがとても辛いです。
しかしエミリーさんの計らいによって私もクレト君たちと共に新ダンジョンへと行けることになりました!……えぇ勿論ちゃんと仕事はしますとも。
そうして"獣の魂"、"永遠の旅"さらにはクレト君たち"蒼黒の絆"の三パーティーと私を含めた三人のギルド職員と御者を乗せて新ダンジョン―――ニンヘルへと出発しました。
私はクレト君のパーティーと同じ馬車に乗ることができ久しぶりにみんなでおしゃべりをしています。サフィさんの意外な一面が見れたり甘えたりと、馬車に乗っているのを忘れるほどでした。しかし唐突に現実へと引き戻されました。
大量のゴブリンが街道を塞ぎこちらに襲いかかってきたのです。でもこの一団にはSとAランクパーティー、それに頼れるクレト君がいます。でもクレト君の勇姿は見ることご叶わず先程皆でからかい過ぎたのが良くなかったのでしょう、サフィさんが苛立ちとともにブレスを吐きほぼ一掃してしまいました。
普段はクールで大人の女性って印象を受けますが、彼女は魔物の中でも上位に君臨する蒼龍。その凄さを垣間見ました。
ギルド職員の端くれである私は様々な場所の情報を耳にしますが、どうしてこれ程までのゴブリンが出現したのかが分かりません。数が多ければギルドへ報告がされるはずなのですが、もしかしたら冒険者はやられて―――ダメダメそんなことを考えてはいけません。
考え事をしている間に辺りの偵察を終えた様で、さすがは高ランク冒険者です。偵察内容から周囲に異変は感じられなかったらしくゴブリンの処理だけして移動を続けることになりました。
その後は順調に進み予定していた夜営ポイントまで進むことができました。冒険者の方々は私たちのために見張りをしてくれて、クレト君たちも例外ではありませんが見張りの時間までは一緒にいられます。
「俺たちは最後の見張りになったから早めに寝るぞ。夜中見張りのためにごそごそして起こしてしまう可能性があるけど、ルミアは気にせず寝ててくれな」
「わかりました。見張りの方よろしくお願いします」
「ゴブリン共のせいで主からの褒めが後回しになったのじゃから今夜は一緒に寝るぞ」
「もう片方はルミアちゃんに譲るよ!私は見張りの時にイチャイチャするから」
「では有り難く寝させてもらいますね」
いつも毒舌な……いえ意地悪な……じゃなくてドSな―――とにかくノワールさんがクレト君の隣を譲ってくれました!ノワールさんにお礼を言い早速布団の中へと入ります。宿屋と違ってお風呂には入れませんので臭いが気になる所ですけど、チャンスを無駄にはできません。
「昼間はからかいすぎて悪かったな。明日からも頼りにしているよ。ルミアは慣れない移動だったけど疲れてないか?まだ国境までは日数がかかるから何か心配事が合ったら早めに言ってくれな」
「寛大な妾は見ずに流してやる」
「私には皆さんがついてますので安心です。多少お尻や腰が痛くなりましたが慣れれば我慢はできます」
クレト君は昼間のことをサフィさんに謝っていましたが私もあとで謝っておきます。ドラゴンの逆鱗に触れたら私なんて一溜りもありません―――まぁサフィさんはそういう人…ドラゴンではありませんけど。
謝罪変わりにキスをしていましたので、私もおねだりして彼からしてもらいました。好きな人からしてもらうのは同じキスでも格別です!幸せを嚙みしめたまま眠りにつきました。
何やら慌ただしいのですがこれは夢でしょうか?誰かに揺すられていますがクレト君でしょうか。
「ルミアよ起きるのじゃ。何やらきな臭いことが起きておる」
「……サフィさんですか。それよりも何が起こっているのですか?」
自分で言うのもあれですが私は寝起きはいい方なので、すぐにサフィさんの言葉を受け頭を働かせます。
「サフィとノワールは外に出て状況の確認を―――」
「クレト起きてるかっ!多分盗賊の襲撃だがどうも様子がおかしいから外に出てきてくれぇ」
クレト君が指示を出しているのが聞こえ私も布団から起き上がり外へとでます。冒険者の皆さんは既に集まっていて深夜にも関わらず慌ただしく不安になります。
「悪いんだが上空から見てもらえるか?出来れば大雑把な数と潜んでいる方角も頼む」
「承知した」
サフィさんは情報を掴むために飛び立ってしまい、クレト君は他のパーティーリーダーたちとの話し合いのため近くにはいません。
「大丈夫だよ!いざって時はご主人様が助けてくれるし、私もいるからね」
「ありがとうございます。少し落ち着きました」
「でも私もか弱いアピールをしてご主人様に甘えるのもありかな?」
決して私はアピールではなく正真正銘か弱い乙女です。黒狼である彼女がか弱かったらここにいる全員貧弱になってしまいますよ。それにそう言ったことを私の前で言うものではありませんけど、緊張を解くために―――あの表情を見るからにそうではなさそうですね。見た目は可愛らしい女性なのですが少し子どもっぽいというか何と言うか不思議な人です。頼れる人ではあるのですがね。
サフィさんが戻ってきて早々話し合いに加わっていますがこちらまでは聞こえてきません。どうやら意見が纏まったのかサフィさんはこちらへと来て私たち――ギルド職員の護衛についてくれます。残念ながらノワールさんはクレト君と”獣の魂”のリーダーであるエーガさんと、この先に待ち受けている人たちの所へ行くそうです。あ、クレト君に甘えようとしていますが一蹴されています。自信満々に引き受けておいてからアピールしても逆効果にしかならないのに…。やはり彼女はどこかズレている様に感じます。
「三人で大丈夫ですか?」
「なに心配はいらん。主がついておるしいざって時はノワールが黙っておらん。エーガとやらも腕前は確かじゃ」
ギルド職員をしていても実際に冒険者の戦いを見ることは滅多にありません。まぁ誰とは言いませんがギルド内で揉め事を起こす様な人もいて喧嘩に発展するパターンも珍しくはありませんが、全力ではないので彼女が認めるエーガさんは相当の実力者なのでしょう。私もクレト君を信じて待つことにします。勿論ノワールさんも信じていますよ。
閑話は②で終わって本編に戻る―――予定です。