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3.新しい目標

ダンジョン攻略をダンジョン制覇に変えました。そのためダンジョンに潜るという意味で、ダンジョンを攻略するという風に変更しました。。

急な変更ですがご理解頂けると幸いです。

 目が覚めると見覚えの……ある天井だった。そういえば昨日は話の途中で寝てしまったな。

 ん!?体に違和感がありがばっと毛布を捲るとサフィとノワールに抱き締められていた。しかもベッドは一人用で三人で寝るには狭いため、それはもうピッタリと胸の形が崩れるほどの密着具合だ。朝から理性と格闘するはめになるとは思ってもいなかった。このままだとさすがにやばいので、二人を起こそう。


「二人とも朝だぞ。早く起きてくれ」

「…もう朝か。主よおはようじゃ」

「う~ん。まだ眠いよぉ~」


 サフィは起きてくれたが、ノワールはまだ寝ると言わんばかりにくっついてくる。ますますやばい……こうなったらサフィに助けてもらうしかない。


「起こすのを手伝ってくれないか?」

「む、仕方ないの。ノワールよ早く起きるのじゃ。主に迷惑をかけるでない」

「…わかった。ご主人様、サフィちゃんおはよう」


 聞き分けのいい従魔で主人は嬉しいぞ!


「おはよう二人とも」


 各々起き出して顔を洗ったら机の上に朝食を並べておく。


「待たせたの。そういえば主よ今日の予定は決まっておるのか?」

「ごはん~ごはん~。いただきます!」


 サフィに指摘され今日の予定を考えてみる。だがパーティーを追放された身なので、特にこれといった予定がない。あいつらと同じ街にいると、顔を合わせる可能性があるから別の街に行くのもいいかも知れない。


「言ってなかったけど昨日パーティーを追放されたんだ…。だから特にこれといった予定がない」

「それであんなにも泣いておったのか。だが安心するのじゃ!妾たちが主を支えていくぞ!」

「ご主人様を追放するなんて、信じられない!」


 何故追放されたのかは聞いてこなかった。薄々気づいているのかも知れないが、あえて聞いてこないのかもしれない。二人の優しさにはいつも救われる。


「それならば王都に行くのはどうじゃ?主がSランクになったことだし、Sランクダンジョンに挑むのも悪くないぞ」

「賛成!私もダンジョンに行きたい」


 たしかにいい案かもしれない。今いるレッドリオは王都からけっこう離れている。紅の進撃はSランクパーティーになるために、ダンジョン制覇に力をいれていてSランク認定されるには、Sランクダンジョンを2つ制覇する必要がある。俺たちはまだSランクダンジョンをクリアしておらず、どこから制覇するかを悩んでいた。同じSランクダンジョンでも難易度が異なるため、制覇者がいるスペーイドダンジョンに挑むことが決まりこの街を拠点としていた。

 まだ攻略途中で簡単には制覇できそうにはないため当分ここにいるはずだ。


「悪くない、むしろいい。俺たちだけでSランクダンジョンを制覇するのは難しいが、拠点を王都に移すのはありだな」

「決まりじゃな!そうと決まればすぐに向かうぞ」

「王都の料理も美味しいのかなぁ?今から楽しみ!」

「すぐには無理だ。日用品や食料なんかの買い出しをしないといけない」


 予定としては昼から買い物に出掛けて、明日の早朝にここを出発するのがベストだな。それにしてもノワールはいつから食いしん坊キャラになったんだ?従魔の頃からよく食べるとは思っていたけど、まさかここまでとは――。


「昨日は俺が寝てしまったから、まだ話の途中だったよな?」

「言われてみればそうじゃな」

「気になることでもあるの?」

「ある。ものすごい気になっていることがある。ずばりそれは……メイド服を着ていることだ!!」


 昨日から気にはなっていたが聞くタイミングがなかった。朝起きてもメイド服のままだったから、聞くなら今しかないと思った。


「妾たちは従魔だからの、主に使える者はメイド服を着る決まりだと神様から言われたぞ」

「私もそう聞いたよ」

「……」


 神様はそういう趣味を持っているのか、それとも神様のいる場所はそれが当たり前なのだろうか。結論がでないけど……ナイスチョイスだ!!


「まぁ神様が決めたことなら従おう。朝食もすんだことだし、早速買い出しに出かけるか」

「どこから行くのじゃ?」

「食料を買い揃えてから、服や雑貨を見に行こうか」

「はーい!ご主人様と買い物できるのは嬉しいね」


 従魔を連れて店の中に入れないから、言われてみれば初めて一緒に買い物することになるな。いつもは一人だっから不思議な感じだ。


 宿屋を出てからいつも通ってるお店へと出かける。普段歩いている道なのに今日はやけに視線を感じるように思えたが、サフィとノワールかいるからだろうな。二人とも超がつくほどの美女と美少女でノワールなんか俺の腕に抱きついてる。歩きにくいから離れるように言ったら悲しい顔をされたため、そのままの状態で歩いているが妬みの視線が半端ない。


「そこのかわいい彼女たち。俺たちも一緒に遊ばないか?そんな冴えない男よりも、俺たちの方が色々と楽しめるぜ!」


 これはあれか、ナンパというやつか。見るからにこっちは三人で出かけてるのにそれが見えないのか?この場をどうやり過ごすか考えていたら先に彼女たちが動いた。


「なんじゃお主らは?妾たちは主とのデートで忙しいのじゃ。とっととそこを退くのじゃ」

「ご主人様のことを悪く言うやつは許さない」


 サフィは買い出しをデートと思ってくれてるのか、見かけによらず中身は(うぶ)なのかも知れない。それよりもいつも天真爛漫で明るいノワールからは、想像もできない低い声で背中がゾクリとした。これは怒らせるとやばいやつだ、そう感じだのは俺だけではなかったようで――


「あ、いやすまない…俺たち用事を思い出したんだ。さっきのは忘れてくれ」


 一目散に逃げていったが普段のノワールを知っていたらもっと怖かっただろうな。


「結局あやつらは何だったのじゃ?デートの時間が減ってしまったぞ」

「それより買い出しの続きをしようぜ。ノワールも機嫌をなおしてくれ」


 よしよしと撫でてあげると、幸せそうな顔になりいつものノワールに戻りほっとしたのも束の間、こちらを羨ましそうに見つめるサフィと目があった。心なしか機嫌が悪くなっているような…。


「サフィだけ一人で歩くと迷子になるかもしれないから、手を繋ぐか?」

「!!!全く妾よりも主が迷子になったら困るからな!」


 素直じゃないなと思いながら手を握ると一瞬ビクッとしたが、ちゃんと握り返してくれた。左手はサフィ、右腕はノワールの温かさを感じる。人の温もりを感じたのはいつ以来だっただろうか、幸せを噛み締めている。


「主よ?何だか顔がだらしないぞ?」

「そういうサフィは熱でもあるんじゃないか?顔が赤いぞ」

「たわけ!気のせいじゃ!」

「ご主人様!もっと頭撫でて!」


 パーティーにいた頃には味わえなかった穏やかな時間。必死になって【覚醒】の条件を探し続ける傍らで、パーティーのために情報収集を行ったり必要な物を買ったりと、自分や従魔たちとの時間がほとんどなかった。それでも俺を見捨てることなく、付き添ってくれた二人にはどんな言葉をかけていいのか分からない。

 でももう縛られるものはなくなった。これから先、過去の時間を取り戻す意味も含めて、家族(じゅうま)との時間を何よりも大切にしていこうと思った。二人の主人に相応しい人間になろうと固く誓った。

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