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27.ダンジョン出現

明けましておめでとうございます!

新年もどうぞよろしくお願いします。

 ロビーから3階の執務室へと場所を移すと、先に入っていたルミアが紅茶やお茶菓子などの準備を終えていた。


「ありがとうねルミアちゃん」

「いつものことですから…」


 ルミアの苦労が偲ばれる。ノワール、俺、サフィの順にソファに座り対面にはエミリーさんでその右隣にルミアが座り話し合いをすることとなった。


「それで俺たちを呼び寄せた理由は何ですか?」

「まずは急な呼び出しをしてしまってごめんなさい。そしてありがとう。私も詳しくは聞かされていないのだけど、どうも今回のダンジョンは厄介らしいのよ」

「厄介ですか…?」


 つまりは高難易度ってことか、それとも国家間にあるから厄介なのだろうか。


「順を追って説明するわね。新しいダンジョンが発見され各国は国境警備隊に調査を命じたわ。そしたら中は荒野だったそうなの」

「それの何処が厄介何ですか?」

「話はまだ途中よ。さすがに荒野を徒歩で調査するのは時間がかかると判断され警備隊の馬を使うことにしたのだけど、当初は出来立てのダンジョンだから入口が狭いのも仕方ないと思ってたらしいのよ。でも一向に広がる気配がなかったらしいわ」

「具体的は幅は分かりますか?」

「大体子どもの身長くらいで大人だと(かが)まないと無理らしく、横幅は一人入るのがやっとみたい」


 だから厄介なのか。調査隊は何よりも早く情報を集めることが求められる。仮に俺の様にテイマーが居たとしても入れなければ無意味ということわけか。


「現状はどういう感じですか?」

「各国が入口を見張り抜け駆けしないように目を凝らしているわ。あくまで名目はスタンピードが起きないかの警備だけどね」


 新規ダンジョンがいきなりスタンピード発生など聞いたことはないが、絶対ないとも言いきれない。でも1ヶ月ほど放置してても発生することはないと言われているけどな。


「俺たちはマッピングのお手伝いですか?」

「いいえ、あなたたちにはダンジョン制覇をお願いしたいの」


 予想の斜め上をいった。そもそも俺たちにできるのかは置いとくとして。


「あなたたちの他にも数組パーティーを派遣する予定よ。でも調査隊の報告を聞く限り求められるのは実力よりも速さ。制覇するためには実力も必要だけど、今回は帝国よりも先に制覇する必要があるわ」

「どうしてですか?」

「国家間にできたダンジョンを半分個になどできないわ。だから王国と帝国で一つの取り決めをしたのよ。先に制覇した側がダンジョンの全権を得るってね」


 思いきったことをするな。仲良く利益をわけることは無理だとしても全権を賭けるとは上の考えは理解できない。しかし折角のダンジョンを帝国に持ってかれるのも惜しいとは思ってしまう。


「ダンジョン発見から二週間後に攻略が開始されるわ。依頼料は支払うし、Sランクダンジョンへの攻略資格を報酬とする予定よ」

「本当ですか…?」

「私が嘘をつくとでも?でも報酬はあなたたちが制覇をしたらの話よ。違う人が制覇したら依頼料だけになるわ」

「もしかして俺たちのことを調べました?」

「あら何のことかしら?私は相応の報酬を提示してるだけよ」


 その顔は絶対しただろ!エミリーさんの思惑にのるような形にはなってしまうがこちら側のメリットは大きい。


「二人はどうだ?制覇できれば目標には近づくが、できなければまたBランクダンジョンからやり直しだ」

「ふむ…メリットデメリットは多いにあるが、妾たちの目標を鑑みれば受諾すべきじゃろ」

「ご主人様となら何処へでも着いていくよ!もちろんサフィちゃんともね!」


 俺の―――いや俺たちの目標はSランクダンジョンの制覇だ。そして四人で幸せに暮らす。決して手を伸ばせば届くようなものは夢や目標とは言えず近道なども存在しない。けれど近づけるチャンスがあれば掴みに行くべきだ。

 それが今であるのは明白だが、同時に遠のいてしまう可能性もある。


 俺はいつからこんなにも消極的に物事を考えるようになったのだろう。男なら己の道をただひた走るのに―――物語に出てきた勇者の名言がふと頭の中で繰り返される。


「そうだな…この依頼受けようと思います」

「あなたならそう言うと思ってたわ。後日他のパーティーとも顔合わせをしてもらうけど、今日の所はお開きにしましょうか。急に呼び出したから疲れているでしょ?日程はルミアちゃんに伝えておくわね」

「分かりました。ルミアはまだ仕事か?」


 顔合わせをここでするってことは急いで国境に向かう必要もないのか。まずはゆっくり休んで疲れを取りたいな。

 どうせならルミアも一緒に帰るかと思い聞いたのが、当の本人はエミリーさんに視線を向けている。


「残りは私がやっておくから帰ってもいいわよ」

「ありがとうございます」

「そうそう、急な進展とかがあるかもしれないからなるべく王都を離れるのは避けてほしいわ」

「当面は宿屋で休む予定ですので」

「それなら大丈夫そうね」


 執務室をでてこれからの予定を考える。このタイミングでサフィとノワールの正体を公にしたってことは新ダンジョンでは彼女たちに大いに活躍させるためだろう。となると顔合わせの時にでも擬人化を使うことになりそうだな。

 どんな思惑が絡んでるかは不明だが、帝国よりも―――例え王国のパーティーであっても俺たちがいち早く制覇する。

 考えを巡らせていたら宿屋へと着いき、まずはゆっくり休んで疲れをとるとしよう。


「ダンジョンについてやこれからのことは明日決めるとして、今日はすぐにでも寝て疲れをとろう」

「そうじゃな。ダンジョンから帰還してすぐに駆けつけて疲れたからの」

「私も走り続けて疲れた…それにお腹も膨れて眠い」


 一息つく暇もなかったからな。ノワールは執務室でバクバク食べていたからそれゃあお腹もいっぱいだろう。


「お疲れの様ですね。私としては久しぶりにクレト君と会えたので今日は一緒に寝たいです」

「それは聞き捨てならんの」

「隣は譲らない!」


 まるでぐるんと音が出そうな程に顔が向けられ、誰を選ぶのか求められてるのだろうが―――


「たまには一人で寝させて―――」

「「「却下です(じゃ)」」」


 どうやらすぐに休まることは無理そうだ――

次回の投稿は4,5日後になる予定です。

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