12.サフィとの…?
閑話である紅の進撃は書き直して③が大きく変更しました。そしてその後の展開も少し修正する必要がなるので明日の投稿はお休みにさせてもらい、月曜日に投稿いたします。大変勝手ではありますがご理解いただけますと幸いです。
今回の話はまったりイチャイチャです。
クロキスダンジョンを制覇した俺たちは王都へと戻っていた。冒険者証を見たらちゃんと制覇数が増えていて、これでBランクダンジョンへの攻略資格が手に入った。一歩ずつ着実に目標へと近づいている。
ギルドに出向きルミアさんへ報告しに行く。相変わらず人は多いが受付は混雑していなかったので、彼女の元へはすんなり行けた。
「ただいまルミアさん。無事に制覇できましたよ!」
「お帰りなさい。そしておめでとうございます」
「今晩にまた木漏れ日亭で食事でもどうですか?」
「是非ご一緒させてもらいます。仕事が19時頃に終わりますが、それでもよろしいですか?」
「えぇ待ってます!」
予定が空いていて良かった。それからダンジョンで手に入れた魔石を売却しておいた。
今は昼過ぎなので夜まではふかふかのベッドでゆっくり休みたい。
「二人は夜までどうする?」
「妾は風呂にでも入ってゆっくりするぞ」
「私もサフィちゃんとお風呂入る!」
さすがにダンジョン内では疲れたのか、満場一致で宿屋で休むことにした。たった二泊とはいえ気の抜けない生活は、知らず知らずの内に疲労が溜まっているもので部屋に着くなりすぐさまベッドにダイブした。
「あぁー疲れた…」
「爺臭いぞ…」
「やめてくれ!まだそんな歳じゃない」
「じゃあ私たちはお風呂入ってくるから覗かないでね?」
「あれー無視ですか?」
抗議はあっさりと受け流され彼女たちはお風呂に直行した。気にしたら負けだ…。横になってると睡魔が押し寄せてきて、そのまま身を委ねようとしたら――
「サフィちゃん前よりも大きくなった…?」
「そうか?人の姿の時は動くのに邪魔ぞ?」
「……」
「これやめんか!どこを触っておる!?」
「うぅー捥げればいいのに…」
「恐ろしいことを言うでない!」
風呂場から艶かしい声が聞こえてくる。さっきまでの睡魔が煩悩へと書き変わっていきまるで全神経が声を聞き逃さまいとしているみたいだ。
「私も大きくなるかな?」
「うむ…妾たちは魔物だからの、さっぱりじゃ」
「たくさん食べたら栄養がいくよね!」
「少し違うのではないか?さて妾はもう上がるぞ」
「私はまだ入ってるね」
まずい!ここは寝たふりでもして布団をかぶって顔を隠けばいけるだろ。
「もう寝ておるのか?」
「…zZ」
「最近妾にはかまってくれないの…」
「………」
「無視はよくないぞ」
まさかばれてる!?顔隠してるのにどうやってわかるのさ……きっとただの独り言だ。
「強情じゃな…これでどうじゃ?」
まるで起きているかのように会話を続けてくる。諦めて起きようとしたら布団を捲られ、起きるに起きられない。さてどうしたものかと考えていたら背中に柔らかいものを感じる。
「本当は起きてるのじゃろ?素直に白状するのじゃ」
徐々に押し付ける圧が強まってくる…これ以上はまずいと思い素直に白旗を上げる。
「悪かった、起きてるから離れてくれ」
「む…妾に冷たくないか?最近はノワールばかりで妾は寂しいぞ…」
「…平等に接してるつもりだ」
「本当かえ?証拠を見せるのじゃ」
さらに雲行きが怪しくなってきた。意外な一面を知れたが、このまま引き下がってはくれないらしくどうしたものか。
「俺にどうして欲しいと?」
「主が考えることではないか?」
分からない時は素直に聞くのがベストだと思ったが、質問を質問で返され困り果てる。早くしないとノワールにこの状況を見られたら間違いなく混沌になる……ええいままよ男は度胸!勢いのまま振り返りサフィを抱き締める。
「…!!」
「これでいいか…?」
「…頭も撫でるのじゃ」
くっなんて表情をしやがる、かわいいすぎてやばい。だがここで恥ずかしがっては余計に意識してしまうので、心を落ち着かせて無心で撫でる。しかしそう上手くはいかず、風呂上がりのせいでいい匂いがするし温もりが全身に伝わってくる。無心を貫くつもりが煩悩に塗り潰される。
「これ以上はさすがにまずい…」
「残念じゃが…最後にこれで我慢してやるのじゃ」
「ッ!!」
不意打ちは卑怯だ。唇に柔かいものが触れ一気に体が火照り、サフィも恥ずかしいのか風呂上がりにしては顔が赤すぎる。視線が合いそっとサフィが目を閉じた……まさかこれはおねだりか!?背中には手が回されていて退路はなく、ダンジョンボスよりも厳しい戦いを強いられるとは思ってもいなかった。俺も男だ!ここまでされて引けるわけもなくいざ行かんと決意し――。
「私を除け者にするなんてひどくない?」
「「……」」
ラスボス登場ってどんな状況だよ!しかも上がったばかりなのか、髪はまだ濡れてるしタオルで隠しているだけで服を着ていない。
「……服を着たらどうだ?」
「そんなことでは誤魔化されないよ?静かだから怪しいと思って来てみればこれだよ!」
「ノワールよタイミングが悪いぞ。せっかくの雰囲気が台無しじゃ」
「私だってまだなのに…」
「なに今夜はノワールが一緒に寝るじゃろ?ならばその時でよいではないか。ということでさっきの続きぞ」
「何がということでだよ!さらっと流れを戻すな」
ますます逃げ道がなくなってきた……別に嫌というわけではなく、むしろご褒美に近いがこういったことに疎いので、どうしていいのか分からない。だからそんな顔で見つめないでほしい…。
「今回はこれで我慢しくてれ。ノワールも夜までは待ってほしい」
さすがに唇は恥ずかしいのでおでこに唇を落とす。なんだかいけないことをしてる様に思えてきたが、きっと気のせいだろう……と思う。
「…主は存外ヘタレじゃな。次は期待しておくぞ?」
「うぅ…夜まで我慢は辛いな…」
「へ、ヘタレじゃないぞ!俺は夜まで寝るからな!」
布団で顔を隠しシャットアウトする。部屋で疲れをとるつもりがさらに疲れてしまい俺はこの先どうなるのか…未来の俺よどうしたらいい?
しかし体は睡眠を欲しているのか、なかば現実逃避気味に夢の中へと旅立った。
「サフィちゃん真っ赤だよ?」
「たわけっ!風呂上がりのせいじゃ!!」