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10.クロキスダンジョン

 休憩を一度だけ挟み、クロキスダンジョンがある場所へと着いた。Cランクダンジョンで旨味が少ないので、ダンジョンの入口付近には騎士の駐屯所があるだけだった。

 ダンジョン内での戦利品は、残念ながら王都まで戻って換金する必要があり、帰りの負担を考慮して運ぶ量を考えないといけないがアイテムボックスのおかけでその必要はない。


 一言で言えば過疎ってるダンジョンだがダンジョン内に誰もいないわけではない。移動中にサフィもドラゴン形態となっていて、俺が抱える形でノワールの上に乗っている。王都のように入場待ちすることもなく、入口に佇んでいる騎士に冒険者証を見せて中に入った。


『ダンジョン内にいると外の時間が分からないから、疲労を感じたら早めに言ってくれ』

『は~い』

『サフィは周囲の警戒を頼む。ノワールは多少スピードをおとしながら、曲がり角や障害物から現れる魔物に気をつけてくれ』

『承知した』

『りょうかい!』


 クロキスダンジョン内は遺跡風で朽ちかけた建物や、よく分からない形をした建物など様々だ。複雑な道などはなく地図があれば楽に進める。


 10の倍数か最終階層にはボスモンスターが待ち受けるボス部屋()()が存在する。転移ポイントを獲得するにはボス討伐が要求され、階層毎にセーフティエリアがあったりなかったりする。その場所には魔物が入ってこれずゆっくり休めるが稀に冒険者を襲う冒険者がいるので注意が必要で、特に高難易度ダンジョンは要注意だ。


『このまま真っ直ぐ進んで冒険者がいたら止まってくれ。ノワールを魔物と勘違いされて襲われたくないからな』

『わかった!でもこの階層に人はいないよ』

『匂いで分かるのか?』

『うん!覚醒の恩恵なのか嗅覚で色々分かるようになったの!』

『すごいな!でも過信はするなよ』

『うん!』


 ノワールの成長幅が大きいけどサフィも急成長してるのか?

 1階層は冒険者はおろか魔物にも遭遇せず階段を見つけここを降りれば2階層だ。


『妾の出番がないの…』

『もしもの時に体力温存をしといてくれ。俺だってサフィが調べてくれた地図をノワールに伝えてるだけだからな』

『ふふん!ダンジョン内では私のターンだよ!』

『なんだそれ?』


 よく分からないがまだまだ元気そうでこのまま順調に進み続け、現在6階層のセーフティエリアにいる。腹時計が正確ならそろそろ日が暮れる頃合いで無理をする必要もなくここで休むことにした。


「それじゃあ今日はここで休むか。誰もいないから好きな方でご飯を食べていいぞ」

「…ならば人の姿で食べるぞ」

「私も!」


 アイテムボックスから桶と水をだし手を洗い皿ごと買った料理を並べておく。いつも通りノワールは多めにしておく。


「セーフティエリアだけど、いつ冒険者が来るか分からないから俺とサフィで見張りをする」

「ならば先に妾がしよう。時間は適当でよいか?」

「ええっと…あった!この砂時計の砂が全部落ちるまで4時間かかるからそれを目安に交代しよう。ノワールは布団を出しておくからそこで休んでくれ。すまないが一緒には寝れないから約束は制覇後に頼む」

「…わかった」


 さすがに風呂までは準備出来ないので、食後に濡れたタオルで体の汚れを落としておく。


「さてと俺とノワールは先に休むから、見張りを頼む」

「承知した」


 このままのペースで行けば明日は15階層くらいまではいけそうだな。


「今日はお疲れ様。明日も頼むな」


 一晩中一緒に寝られないかわりに頭を撫でる。ノワールにはこっちの方が喜ぶと思うし俺も撫でて気持ちいい。


「うん!明日も頑張るね!」


 撫で続けていたら寝息が聞こえてきて案外疲れていたみたいだな…俺も休める時に休んでおく――。




 体を揺さぶられ眠い目を擦りながら起きる。もう交代の時間か。


「主よ交代の時間じゃ。何も異常はなく冒険者も来なかったぞ」

「お疲れ様。サフィもゆっくり休んでくれ」

「おやすみじゃ」


 見張りと言ってもほとんどの時間は暇だ。ただボーッとしてても眠くなるので、7階層以降の地図を再確認しておく。10階層まではずっと遺跡風なのでこれといった障害はなく、出てくる魔物はゴブリンで多くても同時に5体程なので冷静に対応すれば苦ではない。ゴブリンを倒しても欠片程の魔石しかドロップせず、価値はほぼ0に等しい。


 10階層のボスはゴブリンキングだ。キングとも成れば強そうに思えるがCランクだ。もし数百のゴブリンを従えたゴブリンキングだったらBランク程だが今回は1体なのでこちらも問題ない。一人でも時間をかければ倒せる実力はあるが、本当にすごい人は瞬殺だ。ドロップ品は子どもの拳くらいの魔石だ。

 魔物のランクは脅威度の目安で冒険者の様にランクが高いほど危険な魔物であり、Sランクの魔物はもはや災害と遜色ない程に理不尽な強さをもっている。


 11階層からはガラリと変わり森林になる。森林と言っても木々は少なく視界は良好で魔物はウルフやオークが出現し、ウルフは基本的に群れで、オークは単体で現れることが多い。ウルフは素早い動きで巧みに連携をとってくるが、攻撃力は然程高くない。逆にオークは動きが遅いかわりに攻撃力は高くどちらもランクDに分類される。


 最終階層である20階層のボスはオークキングでCランクだ。ゴブリンキングよりも攻撃力は高めだが、やはり素早さに欠ける。皮膚は硬く(なまくら)だと傷すらつかない。

 ドロップはゴブリンキングよりも一回り大きい魔石と稀にオークの睾丸がドロップして、貴族が高値が買うらしい。


 魔物についてのお復習(さらい)は済んだので、残りはルート確認をしておく。森だと迷いそうなイメージがあるが、道はちゃんとあるが一直線でなく別れ道だけど。

 他にもアイテムボックスの中身の確認と整理をして、時間を潰した。結局魔物も冒険者も姿を見せなかった。


 砂が落ちきり2日目の攻略を開始するへぐ起こしかかるが、二人は同じ布団で仲良く寝ていてまるで姉妹のようだ。


「…もう朝か――」

「…おはよう」

「おはよう」


 食べすぎて動くのに支障がでると困るので朝は軽めにして攻略を再開する。


「それじゃあ昨日と同じでノワールは移動をメインで、俺とサフィは周囲の警戒だ。下の階層に行くと冒険者もいると思うから、より注意をしてくれ」

「任せておくのじゃ」

「今日もがんばるよ!」


 ダンジョンでは慣れからの慢心が命取りとなるので、緊張感を切らさず攻略にあたる。

 9階層を攻略中に初めて冒険者と出くわしたが……彼らを追いかける魔物のおまけ付きでだ。今日のダンジョン攻略は波乱の幕開けだな。

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