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俺にとってこの異世界は理不尽すぎるのでは?~孤児からの成り上がり人生とは~  作者: 白雲八鈴


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53/122

53 お前の頭はどうなっているんだ

「エン。言い過ぎ。」


 アイスを抱え込んだままのヴィーネに言われた。


「そこまでは、その子は関係ないの。エルフ族は王族が絶対。王族に繋がる者から命令されたら、白者は従うしかないの。」


 白者?エルフの少女を見るが薄い紫の色の髪だ。そう言えばソルが言っていたな、濃い色を持つエルフには気をつけろと。


「まあいい。だが、魔物を人にけしかけるのは止めろ。」


「そ、そんなつもりじゃ。」


「じゃ、俺は行くから家に帰れ。」


 そう言って俺は歩き出す。来るときに気になったところに行く為だ。

 俺の横にはアイスを抱え込んだヴィーネが浮遊している。


「エン。あの子、帰るところないと思うの。」


「は?帰るところがない?今まで何処にいたんだ?」


「囮のエルフは王への生贄。死ぬ為にいるの。」


 なんだそれは。死ぬ為にいるって。


「白者は魔力がとても少ないの。他国の祭司にもなれないの。そんなエルフはエルフとして存在できないの。」


 俺は踵を返し、エルフの少女の元へ戻ると、彼女は離れたときのまま俯き立っていた。


「おい、帰るところがないのか?」


 俺のその言葉にエルフの少女は頷く。


「一緒に来るか?働く気があるなら、働ける様に頼んでやる。そうじゃないのなら、自分で生きる道を探せ。」


 エルフの少女は顔を上げ、俺を見る。


「働きます。お願いします。」


 そう言って少女は頭を下げた。その姿に俺は驚いた。話に聞くエルフとも教会にいるエルフとも違うからだ。あのプライドが高く傲慢なエルフが人族に頭を下げたなんて、驚き以外の何ものでもない。


「分かった。」


 俺は再び気になったところへ足を進める。その横にはアイスを食べ終わったヴィーネと後ろからはエルフの少女が付いてきた。彼女の名前を聞くと


「西の56番です。」


「住所の番地か?」


「名前です。」


 マジかー。番号制って囚人じゃないんだぞ。


「アイリスだ。」


「え?」


「名前だ。番号じゃなくてこれからはアイリスって名乗ればいい。」


 確か、薄い紫の色の名前だった気がする。


「アイリス」


 エルフの少女は、アイリスは、呟くように名前を声に出す。


「えー。いいなー。ヴィーネもエンに可愛い名前を付けて欲しいの。」


 何を言っているんだ。名前があるのにわざわざ付けないだろ。


「ヴィーネはヴィーネだ。」


 そんな事を言っているうちに目的の場所にたどりついた。そこは丸い円状にぽっかりと穴が空き、空を写したような青い水がなみなみと満たしていた。

 上空から見ていたが、本当に不自然なほどまんまるの円状の泉だった。泉の中をのぞき込んで見る。深い。とてつもなく深い穴が空いている。それも何か生物がいるわけではなく、植物は生えているわけでもなく、泉の中を水が満たしているだけ。あまりにも不自然だった。


 近くに来てみれば何かわかるかと思ったが、穴の深さとその深さがわかるほど透き通った水が存在していることがわかっただけだった。あとで、ゼルトかソルに聞いてみよう。



「あ?街の近くの穴か?それはエルフの王と暴君レイアルティス王が殺りやった跡の一つだ。」


 ソルに尋ねれば直ぐに答えを得ることができた。マジか、王同士の戦いであんな穴が空くのか。それも、まだ他にもあると言っている。


「エン。それより言うことがあるんじゃないのか?」


「ああ、ただいま。」


「違う!そのエルフだ!エルフには気をつけろと言っただろ!お前の頭はどうなっているんだ。」


 ソルが俺の頭を拳でグリグリしながら聞いてくる。それ、マジで痛いから、やめてほしい。


「ホワイトウルフに追われていて、そのホワイトウルフを押し付けられたんだ。」


「あ?この嬢ちゃんはそんな事をしでかしたのか?」


 ソルがアイリスを威嚇するように睨み付ける。その視線に耐えきれなかったのかアイリスは俺の後ろに隠れてしまった。


「ホワイトフェニックスの卵を取るための囮にされたんだと。王が誕生したとか何とかで、卵が必要で、王のための生贄だったのを俺が助けてしまって居場所がないらしい。ジェームズに言って雇ってもらえないか頼んでみようと思ったんだ。」


「エン。言っておくが、獣人はエルフ族にいい印象は持っていない。流石のジェームズでもダメだと思うぞ。」


「じゃこれならどうだ。」


 そう言って、アイリスに耳まで隠れる帽子を被せる。エルフ族の特徴と言えばその長い耳だそれさえ隠せば色が薄い髪だから人族に見えるはずだ。


「うーん。いけるのか?わからんから、直接ジェームズに聞いてみろ。しかし、王が誕生したか。エルフ共の動きが活発になりそうだな。」


「そう言えば気になったんだが、何で、エルフの王なんだ?シャーレン精霊王国の王はエルフじゃないよな。」


「ふん。そんなことか、シャーレン精霊王国は精霊が王として存在しているが実質国を動かしているのはエルフ族だ。レイアルティス王の手前、精霊を王に掲げたに過ぎない。」


 え。それって傀儡の王ってことか。



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