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49 エンその子、誰?

「任せて!」


 ライラは膝を地面につけ、手を組み祈りの姿になった。


「『シュはワレワレをミていてくださいます。』」


 ん?日本語?


「『シュはワレワレをアザワラい、ミクダしていらっしゃいます。しかし、ヒカリのカミはワレワレにジヒをおアタえになります。ヒカリのカミにエイコウをシュはジゴクにオちろ!』」


 なんだ。この呪われそうな言葉はそれもライラが笑顔で言っているから余計に怖い。これを日本語で教えた奴は誰だ!神に呪いの言葉を吐くようなことをどれだけされたんだ?

 しかし、教会で聞いた声の(ぬし)がシュのことを指しているのであれば、納得できるかもしれない。

 きっとこいつは光の神に救われたのだろうな。


「『ヒカリのカミ。ルーチェさま。このモノにジヒをおアタえください。』」


 ライラの手から光が発せられたかと思ったら、ライラの背後に金色の美しい女性が立っていた。俺が言葉を出そうとしたら、目が合い人差し指を口元に持っていった。話すなと言うことか。

 ライラの手から光が止めば背後の女性も消えていた。多分、光の神ルーチェなんだろう。しかし、ライラはすごいな。神まで降臨させるなんて。

 しかし、心なしか体が軽くなった気がする。


「ライラ、凄いな。光の魔術が使えるようになったんだな。」


「んー。これはちょっと違うんだけどね。書庫の中に埋もれていた魔術書の端に書かれていた呪文で、試しに唱えてみたらちょっと回復することができる呪文みたい。大きな怪我には効かなかったからね。」


 まぁ。光の神への慈悲を願うものだから、回復とは違うんだろうな。


「それじゃ、お礼はこれな。」


 チョコレートを渡した。


「溶けるから、早く食べるといいよ。」


 そう言えばライラは直ぐに口の中にチョコレートを入れた。


「お、美味しい。教会だとこんな美味しいもの出てこないのに、エンはずるいな。」


 ライラ。俺は毟り取られている側だ。確かに普通では食べられないものだな。ライラに金平糖を渡す。


「あ、甘いお星さま。」


 ライラは笑顔で金平糖を受け取る。

 星?まあ、星に見えなくもないが、甘い星か。


「エンのくれるこの甘いお星さま大好きなの。これを食べると頑張ろうって思えてくる。」


「そうか、じゃぁ・・ぐふ。」


 いきなり背後から衝撃を受けた。後ろを振り返ると、白に青が混じった髪が見える。ヴィーネ!何しに来た!


「ヴィーネ!勢いよく突進してくるな!」


「エンが浮気している。ヴィーネがいるのに」


 お前らそのネタ好きだな。昼ドラはやめろ。ヴィーネの頭をガシリと掴み、引き離す。


「で、何の用だ。俺が休みの日まで付き纏うきか?」


「エンが休みなら、ヴィーネと遊ぶべき!」


「意味がわからん。いい加減に帰れ。」


「エン。」


 ライラに呼ばわ振り返ると、能面のライラがいた。え、何があった?すっごく怖いのだが。


「その子、誰?」


「ああ、氷の精霊のヴィーネだ。助けてから付きまとわれている。」


「付きまとっていないの。エンのところに住み着いているの。」


 確かに、なぜか商会の宿舎に住み着いているな。ジェームズの了承を得ているのだろうか。


「そう。」


 返事をしたライラの雰囲気が禍々しいものを感じるのは気のせいだろう。ライラは一人言を呟き出した。やっぱり離れなければ良かっただとか。でも、光の魔術は必要だとか。どうしたんだ?


「エン。私、頑張るから。だから、待っていてよね。」


 そう言ってライラは森の奥に走って行ってしまった。何を待つんだ?


 そして、俺は肩に手を置いて浮遊しているヴィーネを連れてフィーディス商会に戻っていった。本当はプラプラするつもりだったが、背中に精霊を引き連れた俺は人の目を集め、居心地が悪すぎたのだ。


 フィーディス商会に戻るとソルが俺を待ち構えており、荷物の様に抱えられ連行された。おい、俺は休みだと言っただろ。

 冒険者ギルドのルギアの執務室に連れて行かれ・・・冬になる前にあれだけ片付けたのに元に戻っていないか?


「ルギアに聞いたがうまい肉があるらしいじゃないか」


 また、食い物の話か、その前にこの部屋を何とかしろ。取り敢えず、ここを片付けてから肉の話をしろ。大人2人に指示を出し、散乱した書類の片付けをさせた。半年も経たずに書類がここまで溜まるのはなぜだ。


 昼食を食べに来る時間があるなら、一枚でも処理をしろ!


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