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32 頑張ります!

 話を聞くとミルクティーという物は存在しなかった。ミルクティーのミルクはどういうものがいいかと聞かれ、この紅茶をもっと美味しく淹れる方法は無いのかと聞かれ、俺は収納袋の依頼をしに来たのだが、何故か、紅茶販売員をしていた。


 フェーラプティスは蘭の香がする紅茶が気に入り2袋も買っていった。一袋6000円もするのだが、120万G(ガート)を払って満足をした顔をしている。

 だから、俺は収納袋の依頼をしに来たんだって!


「それで、俺は収納袋の改良を依頼しにきたのだが?」


「はっ。」


 え、もしかして忘れられていたのか。


「ええ、ええ、覚えていますよ。」


 目を泳がせていることから、紅茶に夢中になってしまって忘れていたのだろう。


「どのような、事でしょうか。精一杯、要望にお応えします。」


 俺は、フィーディス商会の商品として置いてあった収納袋を目の前にだした。これは、ジェームズに言って借りて来たものだ。


「フィーディス商会の商品の運送を見直したいのだ。この、収納袋は魔物を素材として扱うために作られたと聞いた。」


「ええ、そうです。持ち運びのしやすいよう袋状にしたと聞いています。」


「これだと袋ごと持ち去られる可能性が出てくる。なので、鞄形にして騎獣に固定できる物を作って欲しい。そうすれば、頭のいい騎獣は主人以外の者には付いていかないし、荷馬車で運行するより安全性が高まることになる。」


 フェーラプティスは目を輝かせ


「な、なんて素晴らしいのですか。収納袋が鞄に!そうすれば沢山の人に使ってもらえますよね。このダッサイ袋より!」


 ダッサイ袋って思っていたなら作ろうよ。前から思っていたがこの世界の人は向上心というものが無いのだろうか。欲が無いというのか、現状に満足しているというか、良いことではあると思うが変革を恐れているのか?


「1週間ください。それまでに、満足できる物を用意してみます。」


 あ、忘れていた。ジェームズから預かっていたものがあった。


「鞄にはこのワイバーンの革を使ってもらえないか。長時間の飛行に耐えるにはこの革がいいらしい。」


 因みにこれは俺が倒したワイバーンの革をジェームズが買い取ったものらしい。あまり出回らないのでゼルトのオッサンに言って即買い取ったようだ。


「ワ、ワイバーンの革。こんなものを使って作れるのですか!頑張ります!」


 フェーラプティスの意気込みを聞いて屋敷を後にした。


 帰り際、ゼルトのオッサンが俺をチラチラ見てくるのだが、気持ち悪い。


「さっきから何だ?オッサン。」


「あ、いや。その。」


 ハゲのオッサンがもじもじして気持ち悪い。


「はっきり言え。」


「あの、花の香の紅茶が欲しいんだ。」


「ああ、良いぞ。量り売か?それとも一缶か?」


「い、いいのか。1万G(ガート)分って、どれぐらいだ?」


 1万G(ガート)って100円分か、一回分ぐらいじゃないのか?しかし、オッサンが紅茶好きとは以外だった。蜥蜴と言えば肉食・・・いや、花や果実も食べるな。


「一回分だ。オッサンは果物とか花とかが好きなのか?」


「似合わねーって言いたいのだろ!分かっている。笑いたければ笑えばいい!」


 あ、拗ねてしまった。フレーバーティーが好きならもっと安い物があるはず。


「オッサンが拗ねても可愛くないぞ。フェーラプティスさんに出した茶葉は高級品の部類だ。もう少し、安い物もあるはずだから、少し時間をくれないか。」


「お、おう。」


 やっぱり、1000円を超えると高くなるよなぁ。しかし、おれは損はしたくない。売り方を変えるか若しくは・・・。


「オッサン、魔物の魔石となら、それなりの物と交換できるかもしれないぞ。魔石次第だが。」


「魔石か。商品の運搬で各地を回っているときには増えるんだが今は手持ちがないな。」


 うーん。地道で行くのも魔石を得るのには必要なのか。安全性も欲しいが魔石も欲しい。ジレンマだ。


 そんなことをうだうだと話ながらフィーディス商会に戻った。そう言えば、技術者ギルドの人が機嫌を損ねないようにと言っていたが、フェーラプティスのことだったのだろうか。



 この1週間はゼルトのオッサンに付いて商品の仕分け作業を教えてもらっていた。しかし、商品も多ければ店舗も多い。はぁ、ここの本店で全てやるからいけないんだ・・・いやいや、これを言い出すとまたやらされる事になる、俺は絶対に言わないぞ。


 1週間が経ち再び、フェーラプティスの屋敷の前まで来た。ドアノッカーをゼルトのオッサンに叩いてもらい少し待つと玄関扉が開いた・・・誰?



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