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14 キャラメルの一粒は

 俺の言葉を聞いたジェームズは慌てたように


「ま、待ちたまえ。これからが交渉なんだ。先程商業ギルドに出した白い砂糖を毎月5袋を50万G(ガート)でどうだ?」


 ん?1袋10万G(ガート)なのか?200円が10万G(ガート)いいね。しかし、砂糖自体の価格を知らない俺がこの値段に頷いていいかわからないなぁ。


「1袋10万G(ガート)の根拠はなんだ?」


「くくく。根拠か。通常の砂糖の2倍の料金じゃ割には合わんというのか?」


 2倍なのか。それが本当かということもわからないが、原価率の3割だとして143000G(ガート)の販売価格か。いや。このオッサンならもっと上乗せしそうだな。


「ジェームズが白い砂糖に対しての価値観と俺の白い砂糖に対する価値観の違いと言うものだ。」


「そうか、それじゃ。100万G(ガート)でどうだ。」


 2倍になった!オッサンいくらで売るつもりだ!


「あ、ああ。わかった。」


 まじで、この価格で取引して儲けがでるのか?末端価格はすごい値段になりそうだな。


 契約書を作ってくるから、少し待つように言われ、部屋に一人にされた。


 一月100万の儲けって、1000円の砂糖が100万G(ガート)。この国で一番古いってことは、それなりに国内外にも店を持っているのだろう。ここで、多少赤を出しても問題が無いってってことか、まじで、1kg20万G(ガート)+利益で売るのか。別に俺が考えても仕方がないことだ。


 テーブルに置いてある、菓子に手をつける。見た目はクッキーのようだが、食べてみると・・・う、うん。まあ、あれだ。全粒粉の健康に良さそうな味だな。確か、妹が健康志向でそんな物を買って食べていたが、つまみ食いしたあれは、開発者が美味しく食べれる様に作ってあったんだな。


 ドアがノックされ、ジェームズが戻ってきた。そして、羊皮紙を手渡された。マジの羊皮紙を見るのは初めてだ。どうやら、契約事項が書かれているらしい。らしいってのは読めない文字が多かったからだ。孤児院で教えて貰った言葉では全然足りなかった。


「ジェームズ、悪いが俺には読めない言葉が多すぎる。誰かに読んでもらえないだろうか?」


「俺ではダメだって言いたいのか。」


「はっきり言えばそうだ。さっき会ったばかりの人を信用できるかと言えばできない。この契約だって、お互いがメリットがあるから契約する事になっただけだ。読めない契約書にそのままサインをするほど信頼性はない。」


「くくく。本当に君は12歳か?支店の1つを任せてみたら、さぞや面白いことになりそうだな。」


 そう言ってジェームズはテーブルの中央に置いてあるベルを鳴らした。直ぐにノックがされ水色の髪に青い目の見た感じが16歳ぐらいの少女が入って来た。背中には髪と同じ色の1対の羽が生えていた。


「お呼びでしょうか。ジェームズ様」


「キアナ。そこの少年が持っている契約書を読みなさい。」


「私がですか?」


 キアナという少女は眉を潜めながらも読み上げた。読み上げた後、羊皮紙をフルフルさせながら


「何ですかこの契約書は見習いの癖に一月100万の支払いなんてあり得ません。見習いは無給ではないのですか。」


 契約内容に問題は無さそうだ。キアナが契約書を破棄してしまわないうちに、契約書を取り上げ、代わりに紙に包まれたキャラメルを一粒手のひらに置いた。


 俺はテーブルに置いてあった羽ペンでサインをする。羊皮紙に初めて書くがペンが引っ掛かるなぁ。

 俺がサインをしている間、キアナは渡したキャラメルをじっと見ていた。


「読んでくれたお礼だ。外の紙を外せば食べらる。」


 キアナは恐る恐る外側の紙を外して口の中に入れる。ジェームズにサインをした契約書を渡そうとみれば、ジェームズはキアナをガン見していた。キアナを見てみれば口を両手押さえ、頬は赤く染まり、口許はモゴモゴしていた。あ、歯にくっつくから気を付ける様に言うのを忘れた。生キャラメルのほうがよかったかな?


 食べ終わったらしいキアナは手を差し出してきて


「無くなってしまったので、もう一つください。」


 は?お礼に渡しただけで、何故もう一つ請求されなければならないのだ?


「一つ1000G(ガート)です。」


 思いっきり吹っ掛けてやった。一粒10円程のキャラメルを1000G(ガート)でどうだ。そうすればキアナはポケットから巾着袋を取り出し、100G(ガート)硬貨を10枚出してきた。え?マジで買うのか?キアナにキャラメルを一粒渡し、1000G(ガート)を受けとる。すごく罪悪感に苛まれてしまった。



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