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到着、東京支社

三話です。二話の区切りをミスったことを三話投稿しようとして気付きました。

なのでちょっと始まりおかしい。

 

 『見事な手際です、乾斗様。手慣れていますね』


 「荷物の積み下ろしはよくやっているからな。人型を積み込んだのは初めてだったが……」


 車の後部座席では自称女神がまだ痙攣を続けていた。仕方ない事情とはいえ、女性、しかも修道服姿の女性を気絶させて車に押し込む行動に若干の背徳感を感じてしまう。


 「おい、サリー。大丈夫なんだろうな。スタンが強すぎたんじゃないか?」


 『性別、体格、体調等を考慮して対象の行動を奪いつつ、生命活動に危険がないギリギリを責めました。我ながらに見事です。50サリーポイント追加ですね』


 「サリー、お前が支給されてから常々思っていることがあるんだが、言ってもいいか?」


 『もちろんです。私は乾斗様の専用AI。全ての事柄にお答えいたします』


 「お前は本当にAIか? 時々行動や言動に人間味がありすぎるぞ」


 『私は日々学習し成長しております。人間味があるということは私がそれだけ成長している証であると受け取ります。つまり今、私は褒められましたね。300サリーポイント追加です』


 日が経つにつれてサリーとの会話で生じる精神的疲労が増えている気がする。もう気にするのはやめにしよう。


 「……自称女神を支社に連れて行くぞ。運転は任せた」


 『Will do』




 車が支社のある東京都内に入った辺りで自称女神が目を覚ました。AIが運転しているので運転席に座る必要のない俺は自称女神の向かい側の座席に座ってずっと監視していた。サリーに手伝ってもらい、自称女神が寝ている間に調査をした結果、俺が見ているこの姿は魔法などで本来の姿を変化させているわけではないということが分かった。もし触手などを隠し持っていた場合、不意を突かれる心配があったがそれはないようで多少警戒度を下げている。


 「ん……あれ、私は、ここは」


 「目覚めたか。どうせなら支社に着くまで寝ていてほしかったが」


 起きて騒がれたら面倒だ。しかし、起きてしまったものはしょうがないだろう。もう一度電撃で気絶されるわけにはいかない。サリーがもう一度やりますかと聞いてくるがやらなくてもいいと断っておく。


 「!? 私いったいどうしたの!? ここはどこ!? 狭い!」


 「説明してやるから落ち着け。とりあえず水でも飲め」


 俺がペットボトルの蓋を開けて渡すと自称女神は用心深く臭いを嗅いだ後、少しだけ水を口に含んだ。


 「毒とか警戒してるのか?」


 「だってさっき私を何かでビリビリってしたし、それで気を失ってたし。水にも何かしてるかもって」


 「用心深いのは別にいいがこぼすなよ。ここら辺は工事中の道が多くて結構揺れる」


 「わっ!」


 言っている間に車が舗装中の道路に入ったらしく激しく揺れた。その衝撃で自称女神の手からペットボトルが抜け落ちて俺の方へと向かってきた。ほぼ満タンに入った飲み口を向けて。

 状況を打開しようと手を伸ばしたが間に合わず、ペットボトルの水は俺の顔から上半身にかけてぶちまけられた。


 「……えっと、ごめんなさい」


 自称女神が頭を下げてくる。


 「謝ることはない。こっちの不注意でもある。サリー、着替えを用意してくれるよう支社に連絡をしておいてくれ」


 『Will do』


 「支社? 確かさっきも言っていたけど、その支社って場所に向かってるの?」


 俺がサイドバックから取り出したタオルで顔を拭いていると自称女神が移動する外の風景を見ながら聞いてきた。


 「そうだ。後5分ほどで着くだろう。着いたら取り調べだ。自分の世界が危機だというならそこで話せ。拉致未遂罪で裁かれることになるだろうが、それとは別に助けが本当に必要だというのなら力になってくれるはずだ」


 「本当に! 本当に助けてくれるの!?」


 明らかに自称女神の声が明るくなった。


 「異世界へのあらゆる対応をするのが世界異世界対策機関だ。違法行為をする異世界人の逮捕もするが、自分達の世界を救ってほしい、助けてほしいというのなら協力するのがウチの機関だ」


 「あなたも助けてくれるの?」


 「いや……俺は」


 答えを迷っていると助けるかのようにサリーが話し始めた。


 『いえ、乾斗様が異世界へ行くことはできません。異世界へ行き、異世界の事象を解決する資格があるのはS、Aランク、またはBランク上位の方々となっています。3か月前にBランクへ上がったばかりの乾斗様の可能な任務は現世界での異世界事件に対する警備、治安維持となっています』


 「Bランク?」


 『世界異世界対策機関<WDWC>の戦闘課職員としての実力によるクラス分けの一つです。上からS、A、B、C、Dとなります』


 「えっとBってことは真ん中? それほど強くないってこと?」


 「はっきりと言うな、自称女神。事実だが」


 「本当はSランクだけど、実力隠してBランクだったり?」


 「隠す必要などない」


 「使ったらとっても強い独自スキルや魔法があるけど認められてないだけとか?」


 「ない。正当な今の俺の実力の評価がBだ。というかさっきから実力隠してとか認められないとか、何を言ってるんだ?」


 「私が読んだ『異世界転移転生マニュアル』って本にそういうことをしている人が多いって書いてあったから」


 「その本、今も持っているか?」


 「ええ、こうして肌身離さず」


 自称女神が服の中から紐で纏められた紙の束を取り出した。


 「渡せ」


 取り出した本をこちらに渡すように手を出すが、自称女神は躊躇するかのように本を抱きしめて目を泳がせた。


 「わ、た、せっ」


 強めの口調でもう一度言うと自称女神は観念したように本を差し出してきた。本を受け取り表紙を確認する。が、異世界の文字で書かれていたため何と書いてあるか理解できなかった。


 「サリー、解読できるか」


 早々に自力での解読を諦め、車内カメラを通して本を見ているサリーに解読を依頼する。


 『類似文字体系として数十種類を確認。……解読完了しました。別世界の人物を異世界転移、または転生させる方法が書かれた書物のようです。類似書物は機関のライブラリに1万点以上保存されています。中身も解読しますか?』


 「いや、いい。ようは異世界で出回っているこの世界から人を拉致するための手順が書かれた本ってことだろ」


 「拉致って乱暴な言い方しなくても」


 「転生や転移だと言葉を変えてもやっていることは拉致、または誘拐だ。立派な犯罪だ。それともお前の世界では他人を無理やり連れ去ることは悪いことじゃないのか」


 「それは……悪いことだけど」


 「善悪の感覚は同じようで安心だ。完全にずれている異世界も存在するらしいからな。そういえば言葉がちゃんと通じているようだが、この世界の言葉も本で学んだのか?」


 「はい、連れていくのにちゃんと説明しないといけないと思ったので」


 「問答無用で殺そうとしたり、連れ去ろうとしたりしていたと思うが?」


 「ごめんなさい! いざとなったら焦って先に行動を……」


 「行き当たりばったりだな」


 雑談をしているうちに支社に着いたらしく車が止まった。


 『到着しました、乾斗様』


 「ご苦労、サリー。ほら降りるぞ」


 先に車から降りると自称女神に手を差し出す。自称女神は俺の手をじっと見つめてなにやら戸惑っている。


 「体がまだ痺れているだろうから手を貸してやろうとしているんだが?」


 「あ、ありがとう」


 俺の手を掴んだ自称女神はやはり痺れが残っているのか動きにくそうに車から降りた。車を降りた自称女神の視線の先には50階建ての高層ビル、世界異世界対策機関の東京支社ビルがそびえ立っていた。

 日本国内で一番大きく設備が整っている支社ビルだ。

 

 「大きい建物があるのは分かっていたけど、近くで見ると圧巻ですね」

 

 「さっさと行くぞ。観光で連れてきたわけじゃないんだ」


 「分かってます、そんなに引っ張らなくても歩きますから」


 自称女神の手を掴んだまま建物の中に入っていく。

 白いタイルが敷き詰められた広い一階ロビーは様々な人種と細いドラム缶型のAIロボがせわしなく動き回っていた。

 世界異世界対策機関のビルだけあって中で働いているのはこの世界の人間だけではない。二足歩行する人型の獣、耳が細長く美麗な顔立ちのエルフ、子供ほどの背丈で大人になるドワーフ、その他多種多様な種族が一つの視界の中で慌ただしく動き回っている。

 自称女神がその光景に驚き、足を止めていると細いドラム缶型の受付ロボがホバー移動しながら近づいてきた。


 『戦闘課Bランク職員、暁乾斗様ですね。報告は受けています。専門の職員が待機しておりますのでA5取調室までご案内します』


 「よろしく頼む」


 受付ロボに案内されて入ったA5取調室には情報課のバッチを付けた男女二人の職員が待ち構えていた。取調室の壁沿いを見ると俺と同じ戦闘課のバッチを付けたスーツ姿の男も立っていた。自称女神が暴れた時ように控えているのだろう。

 俺より随分と大人びた男の顔はなんとなく見覚えはあったが、名前までは思い出せない。


 「戦闘課職員、暁乾斗。容疑者を連れてきました」


 「暁職員、ご苦労様。何か特段報告がなければ後はこちらで引き継ごう」


 「では、後はよろしくお願いします」


  女性職員の言葉に従い、俺は自称女神を置いて取調室を出ていく。出ていく途中で自称女神が不安げに視線を送ってきた。


 「心配するな。おとなしくしていれば悪いようにはされない。それにさっきも言ったが自分の世界を本当に救いたかったらここで全部素直に話しておけ」


 「は、はい……」


 まだ不安そうな自称女神を残して今度こそ取調室を出た。取調室の扉越しに自己紹介が始まったのを背に俺は着替えるために戦闘課のフロアがある階へと向かった。

主人公、強くありません。ただし、上が凄すぎるだけな設定なんです。

この世界はAIが非常に発達している設定です。なので大抵のことはAIがやってくれます。


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