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神様は眠らない

アマノリリスさんは純粋培養された女神様となっております。

※ 下手な知識は受け継いでいないため。

 

 「ほら、立て。家を案内してやる」


 「よろしくお願います」


 アマノリリスが立ち上がると俺は居間から歩き出した。

 トイレ、風呂、台所と主要な場所を案内した後、客室がある二階へと上がる。


 「お二階なんですね」


 「一階にも部屋はあるが、カカクゥさんが使っているのと定期的に来る客用だからな。空いているのが二階しかない」


  階段を上がりきったすぐの角部屋へ入ると中は20畳ほどの和室になっている。押入れと障子窓以外は何もない殺風景な部屋だが、寝泊まりするには十分広い。押入れと障子窓以外は何もない殺風景な部屋だが、寝泊まりするには十分広い。


 「ここを使ってくれ。布団は押入れの中にあるから自分で敷いてくれ」


 「おしいれ?」

 

 「微妙に伝わらないか……」


 文化の違いなので仕方ない。アマノリリスの世界は箸はあっても押入れはない世界なのか。いや、押入れに類するものはあって、それを押入れとは呼んでいないだけだろう。


 「ここだ。この中に布団がある」


 襖を空けて押入れの中を見せるとアマノリリスは少し驚いた表情をした。


 「そんなところに収納棚があるんですね。壁かと思ってました」


 「収納棚……確かにそっちの方が世界的に通じるか」


 押入れとは日本的すぎる呼び方だったようだ。


 「布団で大丈夫か? ベッドはないんだが」


 「大丈夫です。私、寝る必要はないので雨風が防げる場所があれば充分ですから」


 「……神様の体質というか特質として寝なくていい神様がいるというは聞くが本当なのか? 眠くならないのか?」


 「寝ようと思えば寝れますよ。でも格好だけですね。意識は常にあるので」


 「羨ましい気もするがきつい気もするな」

 

 「どうなんでしょうか。私としてはこれが普通なので」


 人と神様の感性を同じにしてはいけないのだろう。


 「問題がないならいい。ちなみの俺の部屋はここから見て三つ目の部屋だ。ネームプレートもかかっているから間違えないだろう。他の部屋は兄さん達と姉さんの部屋だから入るなよ。俺の部屋には何か困ったことがあれば来てもいい。大抵のことはサリーで解決できるとは思うが」


 『いえ、私ができるのは情報提供のみですので乾斗様の助力は必要かと思われます』


 「そうか?」


 『Will do。例えば人肌が恋しいと言われた場合、私ではどうしようもありません』


 「ひ、人肌!?」


 アマノリリスは純粋十代女子のような反応をした。いや、精神年齢はそれくらいなんだろうが、その反応はなんだ? 


 「そんな時は暖房機能がある抱き枕でも通販で買ってやれ。経費で落ちるだろ」


 『Will do。人型抱き枕で評価が高いメーカーに依頼します』


 「そうしてくれ」


 「人型抱き枕!?」


 さっきから反応が大げさだな。アマノリリスの世界には抱き枕はないのか。


 「好みがあれば植物型でも動物型でも種類はあると思うぞ」


 『Will do。少々サーチしました所、様々な趣味趣向に対応できるように数万種が用意されているようです』

  

 「だそうだ。必要ならサリーに依頼してくれ」


 「ひ、必要ないと思うから大丈夫……です」


 何を考えているのかアマノリリスはひどく動揺している。


 「説明は一通りしたが何か家の事で聞きたいことはあるか」


 「充分お聞きしましたので大丈夫です。もう今日は部屋で休ませてもらいます」


 「そうか、ならまた明日。ちなみに朝食は8時だ。起きれるか? というか寝ないんだったな」


 「はい、でも時間の感覚が分からないのですが……」


 『時間については私がお知らせしますのでご心配は及びません』


 「ありがとう。サリーさん」


 『いえ、それが仕事ですので』


 「じゃあ、ゆっくり体を休めてくれ。神とはいえ疲れは感じるだろうしな」


 「はい、暁さんも今日は本当にありがとうございました」


 部屋を出ようとして聞きたいことを思い出して足を止める。


 「実は気になっていたことがあるんだがいいか?」


 「なんでしょうか?」


 「その服装はなんだ?」


 女神が修道服を着ていることにずっと違和感があったが今までタイミングが掴めず聞けずにいた。


 「この服ですか。この世界では神に近しい者が着ると書いてあったで着ているのですけど」


 「誰に聞いたんだよ」


 「例の本ですけど……ひょっとして間違ってました? 実はとても変な恰好だとか!?」


 「いや、変じゃない。一般人が着る服ではないだけだ。それは神を信仰する人達、修道士が着る服なんだ。だから神自身が着ているのは少々違和感があってな」


 「そうなんですね。結構カワイイと思って気に入っているんですけど別のにした方がいいですか?」


 アマノリリスは改めて自分の着ている服を眺める。


 「気に入ってるならそのままでも構わない。着ていけない服ではないし」


 「ならこのままにします」


 「話はそれだけ。じゃあ、今度こそおやすみだ。寝ないとは思うが形式的に言っておく」


 「はい、おやすみなさい」


 深く頭を下げるアマノリリスに見送られながら部屋を出た。

 アマノリリスの部屋を出た後、俺は自分の部屋には戻らず一階へ降りた。居間を通りかかると片づけを終えたカカクゥさんがお茶を飲んでいるところだった。


 「乾斗君も飲みますか? 近所の小森さんが良い茶葉を譲ってくれまして。なんでも親戚が茶農家だとか」


 「これから食後の運動に外を走ってきますから遠慮させていただきます」


 「では水分補給用のドリンクでも用意しておきましょう」


 「ありがとうございます」


 カカクゥさんに礼を言って家を出ると日課のトレーニングへ出かけた。


この世界は異世界からの移住者も沢山いるためAma〇on倉庫が大変なことになっております。

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