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90話 『エピローグ:真実と償い』

 ――ガラガラガッシャーン‼‼‼


 レオメタルの体は空中で崩壊し始めて地面に落下した。

 核を壊されたためレオメタルの体は再生することはなかった。

 颯太は黒いオーラを解除して無言でレオメタルの方へ近づいた。


「ハァ……ハァ……‶龍斬り〟、俺の負けであるな」


「お前……結局人間は嫌いなままか?」


「そうであるなぁ……最後のあの攻撃にはたくさんの人間の思いがこもっていた。人間の中にもいい奴はたくさんいたんだということに気づいたのである!」


「お前はもうずいぶん前にそんな奴に会っているはずだ!」


「…………それはいったいどういうことであるか?」


「お前の人間の最初で最後の仲間……レームだよ!」


「あいつは俺を裏切ったのであるぞ!」


「本当にそうか? だったらこれを使ってみるか?」


 颯太がそう言って一つのオルゴールを取り出した。


「何であるか? そのオルゴール……」


「こいつは‶メモリアル・トゥルー・オルゴール〟。このオルゴールを聞けば自分の記憶の真実を知ることができる。俺には過去の記憶がないんだ。だからこれで過去の記憶を思い出すことができるのだが、どうやらその過去にすげえトラウマを持っていて怖くて思い出せないでいるんだ。あとこれは一回流すと壊れてしまうんだ!」


「そんな大事なものを死にかけの俺に使うのであるか?」


「お前は死ぬ前に事実を確認しなければならない! そして真実とちゃんと向き合ってから死ね!」


 颯太はそう言ってオルゴールのねじを回した。

 オルゴールからは心地よいメロディーが聞こえてきた。

 レオメタルは静かに自分の過去を思い出し始めた。




 ――50年前


 レオメタルは宿屋でぐっすりと眠っている間にレームは出かける準備をしていた。


「レオメタル……今日は頑張っていたもんなあ! だから今日はおいしいご馳走を買ってやるぞー!」


 レームはそう言ってにこにこと宿屋を出て行った。

 レームがレオメタルの大好物のローストチキンを大量に購入してスキップしながら帰っていると、


「レーム様はあなたでよろしいでしょうか?」


と一人の男の声が聞こえた。


「はい、私がレームですけど……」


 レームは男の声に反応して立ち止まった。


「私はルービックと申します! 突然ですがあなたの飼っているペットのレオメタルを渡しに譲ってもらえないでしょうか?」


「何だと?」


 ルービックの発言にレームはかなりいらついていた。


「もちろんただとは言いません! レオメタルを白金貨幣30枚で譲ってくれないでしょうか?」


 ルービックの申し出にレームはしばらく黙り込んだ。

 そしてレームは、


「俺とレオメタルの関係を飼い主とペットとしか思っていないような奴にあいつを渡すわけにはいかねえな!」


「ほーう……ではいったいどんなお関係だと?」


「俺とレオメタルの関係は……仲間だ! それ以外の何でもねえ!」


 ルービックはレームの言葉に驚いてしばらく思考が停止していた。

 しかしその後に大笑いし始めた。


「何がおかしい?」


「いやーそりゃそうでしょ! 魔獣と人間は仲間? ぶわっふぁふぁふぁふぁふぁー! ありえなさすぎてマジで笑えるんですけどー‼‼‼」


「なんだと?」


 レームは怒りの頂点に達して魔力が一気に上がった。


「魔獣と仲間になることの何がおかしいっていうんだ!?」


「魔獣と人間は敵同士! そんな馬鹿な理屈がありますか?」


「お前だけにあいつは絶対に渡させねえ!」


「私もあなたみたいなバカに出す金はありませんねえ!」


 2人はそう言って腰に携えている剣を抜いて剣と剣がぶつかり合った。


「くくくく! 流石だな! ‶ゴールドランク冒険者〟は」


「黙れ! この腐った世の中の常識にしかとらわれていないやつが俺とレオメタルをバカにすんじゃねえ!」


「ふふふふ! 威勢がいいですね! ではこれならどうです?」


 ルービックがそう言って指をパチンと鳴らした。


 ドン! ドン! ドンドンドン!


「ガハッ!?」


 レームは何回も鳴る銃声音とともに地面へと崩れ落ちた。


「やはり配置させといて良かったですね! ‶ゴールドランク冒険者〟はまあまあ厄介ですからねぇ!」


「ルービック所長、トドメを刺してよろしいでしょうか?」


「やめておきなさい。どの道もう長くありませんから」


 ルービックはそう言って手を上げた。

 その合図とともに部下たちはルービックとともにその場を立ち去った。

 レームは落としたロースチキンによろよろと匍匐前進(ほふくぜんしん)しながら近づいた。


「すまない……レオメタル! 俺はお前を救うことが出来なかった。お前はまた人間を恨むことになるだろう! だのむ! 人間にはいいやづがいっばいいるんだ! だがらにんげんをうらまないでぐれ!!!!!!!」


 レームはロースチキンを手に取って涙ながらに訴えた。

 そしてレームは雨の降る中ひっそりと息を引き取った。




 ――現在


 レオメタルは真実を知って大粒の涙を流していた。


「ぐす……ぐす……レーム! すまないのである! 俺はおぬしを何十年も疑い、そして恨んでいた! 俺はなんという愚かな魔獣なんだ!」


 レオメタルの涙を颯太はただじっと見つめていた。


「なあ‶龍斬り〟……俺は一体どうしたらよいのである?」


「だったら()()()へ行ってから謝ってきな! 『疑ってごめんなさい』って。それがお前の‶償い〟だよ!」


「俺の……償い」


 レオメタルその言葉を聞いて落ち着いた。


「お前は一体何者であるのか?」


「俺か……? 俺はただの‶最強冒険者〟だ!」


 レオメタルは颯太の返事を聞いて満足したのか、鋼の装甲が崩れて次第に消えていった。





「ふぅ、これでやっと全て終わったか!」


 颯太は安心したのか今までの疲れがどっと来てドスっと腰を下ろした。

 すると、


「「「おーい!」」」


とリーナ達がぞろぞろと颯太のいる方へ走ってきた。


「おー、お前ら! 何とか倒したぞ!」


 颯太がそう言ってもみんなの反応がなかった。それどころかみんなの様子が少しおかしかった。


「ねーそうた?『俺は……みんなのことが好きなんだー!』ってどういうこと?」


「え?」


 リーナの言葉に颯太はつい聞き返した。


「え? じゃないよ! それは誰に対しての告白だったの?」


 ロゼはとぼける颯太に追い打ちをかけた。


「それはもちろん、私に言ったんだよね〜!」


「違う!」


 照れている静香に颯太は全力で否定した。


「べっ、別にお前に好きって言われても嬉しくないんだからね!」


「なぜツンデレ!?」


「お前、俺のこと好きなんだろ? だったら焼きそばパン買ってこいデフ!」


「なぜパシリ!?」


「雨宮くんよくそんな恥ずかしいこと言えたよね」


「ああ、俺はあいつを倒すときに必死になっていたからな! ってほっとけー!」


「ごめんなさい雨宮くん、私生徒会長とかの仕事とかで忙しいからあなたとは付き合えないわ」


「勝手に振るんじゃねえ!」


「これはわしも含まれているということでいいんじゃな?」


「あんたが一番ありえねえよ! 白髪ジジイ!」


 トム、ポトフ、キャシー、ソマリ、レージスは続けざまに颯太をいじり、颯太は全てツッコミをした。


 みんながニヤニヤしている中、リーナだけがイライラしていた。


「あの〜リーナさん?なんでそんなにおこなんでしょうか?」


「颯太の……」


「?」


「颯太の浮気者ーーーーーー!!!!!!」


「ギャーーーー!!!!」


 リーナは怒り狂って協力な電撃を颯太に浴びせた。

 颯太は身の危険を感じて一目散に走って逃げた。

 他の人達もリーナに便乗して一斉に颯太を追いかけ始めた。


「待てー!!! そうたーーーーーーー!!!!!!」


「やっぱお前ら嫌いだァァァァ!!!!!!」


 颯太の叫びは国全体に響き渡った。

これで第1章『学生生活満喫編』が終了しました。

次章もお楽しみにしてください(●︎´▽︎`●︎)

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