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09話 『龍斬りの雨宮』

「この魔力はいったい何なの? ていうかあれは本当に魔力なの?」


 リーナは颯太の凄まじい黒いオーラに戸惑っている。

 この黒いオーラは雨宮颯太が背中に背負っている黒刀を抜刀したときに突然出現したのだ。


「さあ、やろうぜ! 牛やろう‼」


 颯太はミノタウロスに手招きをして挑発をした。ミノタウロスは颯太の態度に怒りがさらに増し、


「ブモォー! 黒くなったところでなんだ! 俺をコケにしたこと、後悔させてやる!」


と言って、観客席から高く飛びあがり、斧で颯太に斬りかかった。その斬撃の速度は残像がハッキリと見えるくらいのものだった。

 しかし颯太は涼しい顔をしてタイミングよくミノタウロスの攻撃をかわした。


 ズバァーーーーーーン‼‼‼‼


 ミノタウロスの一振は地面を切り裂き、100メートルにかけて大地が割れた。


「ふぁー、すっげー威力! たがその攻撃は隙がありすぎるねえ!」


 颯太は超速移動をしてミノタウロスの背後に回り、黒刀でミノタウロスの首を切り落とすタイミングがあったのにも関わらずあえて角をスパンと切り落とした。


「ブモォー‼‼ よくも俺の大事な角を!」


 ミノタウロスは怒り狂って斧でひたすら颯太に切りかかった。

 だが颯太はミノタウロスの動きを読んでいるのか、最小限の動きでミノタウロスの攻撃をかわしている。

 黒いオーラをまとった颯太は身体能力だけではなく、情報処理能力が格段に上昇している。


「おのれー‼ ちょこまかとうぜえんだよ!」


 颯太はニッと笑うと、ミノタウロスの攻撃の隙をついて回し蹴りをいれた。するとミノタウロスは10メートルぐらい吹き飛ばされ、蹴られた腹を抑えて胃液を吐き出した。


「ぐ、グボボボボボボーー!」


「どうだ、俺の蹴りは? 俺はこの姿になると通常の10倍ぐらいは強くなるんだぜ! お前がリーナを弄んだ分、俺もお前をこの圧倒的な力で遊んでやるぜ!」


 この光景を見たレージス学長は、複数のゴブリンを殴り飛ばしながら、


「さすがじゃのー! 〝プラチナランク冒険者〟の〝龍斬りの雨宮〟‼」


と君ならこれくらい出来て当然だろとでも言いたそうな顔をして言った。

レージスの言葉にその場にいた全員が驚愕した。勿論ミノタウロスもである。


「けっ! じーさん! あんたもなかなかだと思うぜ! まったく、衰えというものを知らなさすぎるぜ! 〝巨神のレージス・ガンタック〟‼」


 颯太はレージスにそう言ったのだが、会場の人々は先程のレージスの発言の方に驚いており、誰も反応しなかった。


 1年前とある街に謎の空間が現れ、そこから10メートルを超える巨大なドラゴンが飛び出してきて、街を焼け野原にした。冒険者ギルドもすぐにそのドラゴン討伐依頼のランクを〝プラチナランク〟に引き上げた。そこでその依頼を受けて、ソロで巨大龍を討伐しに行ったのが雨宮颯太である。

 そして颯太はその巨大龍の首を切り落としたことで〝プラチナランク冒険者〟の称号を得たのである。


「そのドラゴンは俺の上司だったんだ。魔獣界の魔獣は自分よりも弱い魔獣を従わせることができるんだ。だからあのゴブリンは俺に従っている。ハァ……ハァ……だがお前があの〝龍斬りの雨宮〟だったとはなぁ。手間が省けたぜ! あの方の仇を討てるぜ!」


 ミノタウロスは腹を抑えながら立ち上がり息を切らしながらそう言った。


「でもそのドラゴンは俺が倒した。ということはお前じゃあ俺には勝てないということがハッキリと証明されたな」


 その話を聞いた颯太は腕を組みケラケラと笑いながらミノタウロスを挑発した。

 当然ミノタウロスは怒り、再び怒り任せに斧で斬りかかった。

 颯太は躱しながら自分にとっての弱攻撃を次々とおみまいさせた。

 その攻撃はミノタウロスにとってはかなり強烈だったのか、タコ殴りにされ続けてとうとうミノタウロスは跪いて攻撃をやめた。

 だがミノタウロスはまだ秘策があるような顔をしていた。


「さすがのお前もこれはよけられまい! くらえ! 〝魔獣砲〟‼‼‼」


 ミノタウロスは口から巨大な青白い閃光を発射した。

 この青白い閃光は魔獣界の魔獣だけが使える魔法で、体からそれを生成させてレーザー砲のように発射させる。

 この青白い閃光は一見光属性の魔法のように見えるが全くの別物である。その閃光は高温の熱を放っており、触れてしまえば火傷をするでは済まないほどの熱さである。

 颯太はこれをよけたらリーナがあの閃光に巻き込まれてしまうと思い、左手のひらをその青白い閃光の方へ向けた。


「フッ! こんなのよける必要なんてねーよ! 〝波動旋風〟‼‼‼」


 最初にミノタウロスを吹き飛ばした〝波動旋風〟よりも倍の大きさの真っ黒な旋風を巻き起こした。そしてその黒い旋風は、〝魔獣砲〟をかき消して、ミノタウロスを吹き飛ばし観客席にめり込ませた。


 颯太は黒刀に漆黒の風をまとわせて、黒刀を振り上げた。


「覚悟しな! 牛やろう!」


「お、おい! 話せばわか……」


「〝大鎌鼬〟‼‼‼‼」


 颯太は黒刀を振り下ろして、黒風の巨大な斬撃を放った。


 ズバババババババーーーーーン‼‼‼‼‼


 黒風の巨大な斬撃はミノタウロスを真っ二つにして、1キロメートル先まで大地を切り裂いた。


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