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88話 『限界を超えた力』

 颯太の黒髪は黒いオーラが上がるたびに少しずつ白髪の部分が広がっていた。


 先ほどまでは手を抜いていたレオメタルの速度にさえ追いついていなかったのに、今では本気を出したレオメタルの速度に完璧についていけている。


「チッ! こいつなかなかやる!」


 レオメタルは切り落とされた腕を再生させて32本の大剣で颯太に連続で斬撃を飛ばした。


「その程度の斬撃、よけるまでもないわあ‼‼」


 颯太は無数に飛んでくる斬撃をたったひと振りで消し飛ばしてしまった。


「すごい! あれが颯太の限界を超えた姿!?」


「でも大丈夫かしら? 彼、あの状態をいつまで持たせられるのかしら? 彼はあの姿になると体力を一気に消耗してしまうのでしょ!」


 感心しているリーナに対してソマリは不安な顔をしていた。


 ズドン‼‼‼ ズガン‼‼‼ バキン‼‼‼


 颯太とレオメタルの戦闘は激しさを増していった。

 しかしレオメタルの斬撃を颯太がよけてしまってその斬撃はルリたちの方へ飛んできた。


「民を守れなくて何が王女だ‼‼ 私だってこんなもの、‶サンダーランス〟‼‼‼」


 リーナはレイピアに雷をまとわせて槍型の雷を飛ばした。

 リーナの魔法は日々進化していて、颯太と決闘していたころの‶サンダーランス〟に比べたらその威力は一目瞭然である。

 そしてリーナはレオメタルの斬撃のおこぼれを相殺することができた。


「やっぱりあいつと一緒にいるだけで私もどんどん強くなっていっているのか!」


 リーナは自分が強くなっていることに喜びをかみしめていた。


「レオメタル、どうやら形勢逆転したようだな! ‶漆黒(ベスティア・)(ピストーラ・デル・)魔獣砲(シュヴァルツ)〟‼‼‼‼」


 颯太はレオメタルにそう言って煽ると左手のひらから黒い閃光を発射した。

 しかしレオメタルは32本の大剣で黒い閃光を防いでいた。


「グォォォ‼‼‼‼‼ こんなもの切り裂いてくれるわぁ‼‼‼」


 ズドーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 レオメタルは黒い閃光に完全に押されていてすぐに黒い閃光に呑み込まれてしまった。

 そしてレオメタルの腕のほとんどが黒い閃光の熱によって溶かされてしまった。


「明らかに黒い‶魔獣砲〟の威力が上がっている!? ほかの技よりもはるかに威力が上がっている!?」


 溶かされてしまった腕を再生させたレオメタルはそう言って焦っていた。

 しかし颯太の魔力は全く減っておらず、息も切らしていなかった。



 ――マリアネス王国から少し離れた大森林


 雨宮颯太に強烈な一撃をくらわされて倒れていたタイショーウルフが目を覚ました。


「ハァ……ハァ……俺はどのくらいの間眠っていたのか?」


 すると凄まじい魔力と漆黒のオーラはタイショーウルフのところまで伝わってきた。


「この魔力はレオメタル様のだ! そしたらあの黒いオーラは‶龍斬り〟のだな!」


 タイショーウルフはそう言って颯太に砕かれた顎を触っていた。


「俺はここで‶龍斬り〟と戦っていて確信していた。あいつはレオメタル様に確実に殺されるとな! だが結果は違った。レオメタル様は覚醒した雨宮颯太に完全に押されていた。全くあいつはとんでもない野郎だぜ! ただの人間風情が‶(リーイン・)(カーネーション)に近いことをしやがって! まれにいるもんだな、天才っていうものは!」


 タイショーウルフは巨大な魔力のする方向を見てそう言った。そしてひそかに颯太に言われたことを思い出していた。


「俺はちっぽけな野望しかもっていない奴なんかに負けねえよかぁ……。それじゃあ俺なんかが勝てるわけないか」


 タイショーウルフはそう微笑して言い、千鳥足でどこかへ立ち去って行った。




 ――マリアネス王国・中央広場


 颯太とレオメタル実力は拮抗していて、どちらが先に倒されてもおかしくないほどであった。

 颯太はレオメタルと戦いながら、徐々にリーナたちからレオメタルを遠ざけていた。


「‶龍斬り〟、分かっているぞ! てめえがあいつらから俺を引き離していることをな!」


「お前だって邪魔が入ったら面倒だろ?」


 レオメタルの言葉に颯太は涼しい顔して答えた。


「メッタッタッター! 確かにその通りだな! こんなに楽しいことはない! こんなに思う存分戦うのは久しぶりだからなぁ! ‶龍斬り〟‼‼ てめえは最っ高の敵だぜ‼‼」


 レオメタルはそう言って狂喜して颯太に連続で斬りかかった。


「レオメタル……お前は本当に人間を恨んでいるのか?」


「何……だと……?」


 颯太の問いかけにレオメタルは目の色を変えた。


「確かにお前を陥れたのは人間だ! だがお前と行動を共にしたレームっていう冒険者は本当にお前を陥れたのか?」


「当たり前だろ! 確かに俺はルービックっていうくず野郎にそう言われた! 俺を白金貨30枚で買ったとな! ‶無限豪鋼・獅子脅し(ししおどし)〟‼‼‼」


 レオメタルは颯太の説得にいら立って地面から数百体の鋼のライオンを生成させた。

 その数百体のライオンが一斉に体内を光らせて自爆しようとしたのだが、颯太は最高出力の‶波動旋風〟でその数百体のライオンを吹き飛ばして空中で自爆させた。


「お前はなぜそのルービックって野郎の言葉を信じたんだ!? なぜレームって言う冒険者を信じなかった!? お前はそいつと何年間も一緒に冒険してきたんだろう?」


「うるせえぇぇぇ‼‼‼‼ ‶獅子・鋼材雪崩〟‼‼‼」


 レオメタルは颯太に痛いところを突かれて発狂して上空から颯太に向けて鋼材の雨を凄まじい速度で降らした。

 颯太は降ってくる鋼材を一つずつ黒刀で切り裂いてその攻撃をかわしていった。

 しかし鋼材はどんどんと積み重なっていって、ゴミ山のような状態になっていた。


「てめえに何がわかるって言うんだよ! 何も知らねえくせに偉そうに言ってんじゃねえ‼‼ ‶獅子・大鋼流動〟‼‼‼」


 レオメタルはそう叫んで颯太の周りに積み重ねていた鋼材の山を一瞬で液体金属に変えた。

 颯太はその液体金属に流されても呼吸だけは確保するために液体金属から顔を出していた。

 しかしその液体金属はすぐに固まって颯太は身動きが取れないようになった。


「早いこと楽にしておいてやるぞ‼‼」


 レオメタルはそう言って今の自分の姿をもとの姿に戻した。

 すると、32本の腕や大剣、ライオンの形にしていた鋼をすべて一つの場所へ集めた。

 そうしたらレオメタルの右手には巨大な鋼の塊になっていた。


「俺はすべての人間を恨む‼ ‶獅子王・大鋼山崩し〟‼‼‼」


 レオメタルは自分よりはるかに巨大な鋼の塊をトゲのついた棍棒にした。


「しねえ‼‼‼‼ 人間がぁぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼‼」


 レオメタルはその棍棒を持って高く飛びあがった。

 レオメタルはそのまま颯太が埋まっている鋼の山にめがけて棍棒を振りかざした。


 ズッドーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 凄まじい爆発音がした。リーナたちもその爆風に吹き飛ばされそうになっていた。

 幸いリーナたちは颯太がレオメタルを遠くへ引き付けていたおかげで巻き込まれることはなかった。

 しかし颯太のいた半径数百メートル一体は底が見えないほどに陥没した。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] でも大丈夫かしら? 彼、あの状態をいつまでもたせられるのかしら? 彼はあの姿になると体力を一気に消耗してしまうのでしょ!」辺なんですが“いつまでもだせられるかしら”の『だ』じゃなくて『…
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