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87話 『リーナの覚悟と勇気』

 颯太の渾身を込めた一撃でさえ粉砕することができなかったレオメタルの体は芯まで冷やすことによっていとも簡単に粉砕することができた。

 しかしソマリはレオメタルを凍らせるために全魔力を消費させてしまったので‶魔導神装〟も強制的に解除されて膝をついてしまった。


「ハァ……ハァ……、何とか倒すことができたみたいね!」


「私ももう腕が完全に動かなくなってしまったよ~!」


 ソマリと静香は颯太たちが現れる前からレオメタルと死闘を繰り広げていたので、魔力をほとんど感じなかった。


「でも本当に倒したのか? あんなに簡単に倒せたら颯太も苦労しなかったぞ!」


 リーナがそう言うと、2人は急に黙り込んだ。

 するとバラバラになったレオメタルの残骸の中から赤く光るものがあった。

 何だろうとリーナがレオメタルの残骸に近づくと、残骸の中から赤色の弾が宙に浮いてきた。


「何だ!? あれは……」


 リーナはやばいと感じてレイピアを構えた。

 すると宙に浮いている玉が急にしゃべり始めた。


「メッタッタッター! やるじゃねえか、てめえら! だが俺はこの核を破壊しなければ倒すことはできない! この核は体の形を変えるために高温状態になれるんだ! それであの女に凍らされることはなかった」


「なるほどね! でもあんたはその核を守る鋼の体はなくなっんだ! そして次の私の攻撃であんたはもうおしまいだ! ‶サンダーポーク〟‼‼‼」


 ガキ---------ン‼‼‼‼‼‼


 リーナは雷を帯びたレイピアで赤い核と呼ばれる玉を一突きにしようとしたのだが、玉には傷一つ入らなかった。


「だったらこれならどうだ! ‶サンダーポーク・マシンガン〟‼‼‼」


 ガキキキキキキキーーーン‼‼‼‼


 さらにリーナが連続突きをしてもいい音がするだけで傷つかなかった。


「なんて硬さなの!? これ」


「メッタッタッター! 残念だったな、第三王女! 確かに俺は核を破壊されたら死ぬ。だが誰がこの核は脆い(もろい)と言った? この核は俺の鋼の体よりも倍は硬いぜ!」


 リーナはその言葉に絶望してやけくそに‶サンダーランス〟を撃ちこんでいた。

 しかし全く核にダメージは入らず、核は赤く光りだして玉の周りに鋼で肉付けされていった。

 そしてその玉はどんどん大きくなっていって巨大な鋼の塊になった。

 鋼の塊は形を変えてやがてソマリが凍らせる前の姿に戻った。


「メッタッタッター! どうやら万事休すのようだな、第三王女‼‼ 所詮、王族はただ高見の見物をしているだけで、いざと言うときには誰よりも安全な場所に避難をする! 滑稽な話だなあ! はっきりと言ってやろうか! お前なんかにこの国は守れねえ!」


 復活したレオメタルの言葉がリーナの心にグサッと刺さった。

 それはレオメタルの言葉が正しくて何も言い返すことができなかったからだ。



 リーナには2人の姉がいる。

 その2人の姉はとても優秀で、父親である国王や国民たちからとても愛されていた。

 そしてリーナはその2人に劣っていて貴族の連中らや国民からもよく姉たちと比べられていた。

 リーナはそれが悔しくてただひたすら自分磨きに没頭していた。

 誰よりも強く大衆から認められる王女になるために。




 しかしリーナはそれが間違っていたということに気づかされてしまった。敵であるレオメタルに。


(そうよね……ただ強いだけの王女が国民に認められるわけないわよね! どうやら私は守るべきものを見失っていたようね! いつの間にか民を守ることから民に支持される自分を守っていた! 確かにそんな奴が強くなれるわけないんだ! 会長も学長もフリック先生も、そして颯太も……みんな誰かを守るという信念を持っているから強いんだ!……馬鹿だな……私は……)


 リーナはレオメタルの言葉によって何かが吹っ切れたような顔になって、


「あんたの言葉で目が覚めたわ! お願い‼‼ 私の首だけで勘弁してください! 私の首を持っていくだけである程度の手柄は立てられるわ! それで国民には手を出さないでください!」


と言って深々と土下座をした。

 それにソマリと静香は驚愕して声も出なかった。


「メッタッタッター! これはやべえな‼ 笑えてくるぜ! 王女が土下座!? 初めて見るぜ!」


 リーナは大きな声で嘲笑するレオメタルが悔しかったが、必死にこらえていた。


(悔しいけど今の私にはあいつに勝てない……だからこれしかない! でもいつか颯太があいつを倒してくれる!)


 リーナそう思っていたその時、


「リーナ様、そんなことしちゃダメ‼‼‼‼」


と叫ぶ子供の声が聞こえた。

 リーナは驚いてふと振り返ると、そこにはさきほど中央広場にいた女の子がいた。ロゼの妹、ルリちゃんだった。


「ダメだよリーナ様! そんなことをしたら。それにルリ知っているもん、リーナ様の優しさや正義感を! もしあの時、誘拐犯からルリを助けてくれなかったら私今頃どうなっていたか分かんないよ!」


 リーナはルリの言葉がうれしかった。しかし、


「ここは危険なんだ! 早く戻りなさい!」


ときつく言った。

 リーナはルリをとても大切に思っているからルリにまで犠牲になってほしくない。

 しかしルリは、


「やだ! ルリも戦う! 今度はルリがリーナ様を守る晩なんだ!」


と啖呵を切った。すると、


「ルリちゃんだけにカッコイイ顔はさせられないね!」


「俺らも命かけるぜ!」


「これ以上あんな奴に好き勝手させるかよ!」


「みんなでかかれば怖くないぜ!」


とぞろぞろと国民が中央広場に集まってきた。

 八百屋のおっちゃんや服屋のおばちゃん、武器屋のガタイのいいおじちゃんなど色々な人が武器をもってやってきていた。


「みんな……どうして?」


「なあに! わしらは毎度毎度リーナ様に、勇気もらっとるけんねえ!」


 リーナの質問に料亭のおっちゃんが笑いながら言った。


「そういうことだよ」


「!?」


 リーナの後ろからボロボロの颯太が立ち上がって言った。


「お前は自分が国民から認められていないと思っているだろうが、それは大間違いだ。お前が優秀な姉を超えるために努力していることやお前が何気なくしてきた優しさをこいつらはちゃんと見ているんだよ! そんなお前を認めない国民は絶対にこの国にはいねぇ! そうだよなあ?」


「「「「ウォォォォ!!!!!」」」」


 颯太の問いかけに国民は一斉に声を張り上げた。

 一致団結した国民全体の気迫にレオメタルも少し押されていた。


「だがあいつらは正直言って邪魔だ。リーナ、頼みがある。俺とレオメタルの戦いからあいつらを守ってやってくれ!」


「いいけど、あんたもう限界なんじゃないの?」


 リーナがそう言うと、颯太の目の色が変わった。


「限界? んなわけあるかよ! 限界なんて何度だって超えてやる! 冒険者の辞書に限界なんて文字はねえ!」


 颯太がそう叫ぶと、颯太から凄まじい黒いオーラが吹き出した。

 今までの姿とは少し異なり、右顔や右腕、右胸に黒色の模様が浮き出てきて、右前髪が部分的に白化した。


「さっきと様子が違うようだな! それで? 少しは楽しませてくれるのかな?」


「それはお互い様だろうが! 楽しませてくれるかだと? それはこれを受けても言えるのか?」


 スパーーーーーーーン!!!!!


 颯太がそう言って黒刀を軽く降ると、凄まじい速度で黒風の斬撃が飛んで、レオメタルの左腕5本を一気に切り落とした。


「お、俺の腕がァーーーーー!!!!! てめぇよくもぉーーー!!!!」


「人間、舐めんじゃねぇぞーーーーー!!!!!」


 レオメタルの叫びより颯太の気合いの方が圧倒的に勝っていた。


遅れてすみませんm(*_ _)m

明日、久しぶりに2回投稿しようと思います!

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