表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/680

85話 『追憶のレオメタル 【2】』

 当時の冒険者は魔獣と一緒に魔獣討伐をするのが流行っていた。

 そしてレオメタルはレームと一緒に冒険者として世界中を旅することになった。

 レームはレオメタルと行動を共にすることになってから数多くの功績を残すようになった。



 そしてあれから3年の月日が流れたころ、レームは‶ブロンズランク冒険者〟から‶ゴールドランク冒険者〟になっていた。

 レオメタルも以前より見違えるほどに強くなって、体もレームと同じくらいになった。


「僕と一緒に旅をしてくれてありがとう、レオメタル! 僕がここまで名を上げることができたのは君のおかげだよ!」


「いやいや! 礼を言うのはむしろこちらの方であるぞ! おぬしが俺のもとにやってきてくれなかたら俺は今もずっと一人ぼっちであった!」


 そしてレームは誰もが知るなのある冒険者になったときにレオメタルを襲う悲劇が起きた。

 レームが名のある冒険者になったと同時にレオメタルの存在と強さが世界中に知れ渡ってしまっていたのだ。

 3年たっても国同士の争いは終わらず、未だに魔獣を戦争の道具に使っていた。


 この日、レームととレオメタルは依頼を完了してすぐさま宿屋で体を休めることにした。

 レオメタルはかなり疲れがたまっていて自分たちの部屋に着いた瞬間、すぐに転寝をした。

 そして夜中になってレオメタルはおなかの虫がなって、目を覚ますと、レームの姿が見当たらなかった。


「レーム……いったいどこへ行ったのであるか?」


 レオメタルは部屋一体をきょろきょろしていた時、


「お前がレオメタルだな?」


という知らない男の声が聞こえた。

 そしてレオメタルの前に5人の男がやってきた。

「俺がレオメタルであるが、おぬしらは誰であるか?」


「我々はヨドンサムス王国魔獣管理責任者ルービックだ! 今日われわれがここへ来た理由はレーム様からお前を白金貨30枚で買い取ったから引き取りに来た」


「買い取る……それはいったいどういうことであるか?」


 ルービックの衝撃的な一言にレオメタルは一瞬耳を疑ってしまった。


「だからお前を買ったんだよ!」


「嘘である‼‼‼ レームがそんなことするはずがないのである‼‼‼」


「本当のことだ‼ ここにちゃんと領収書もある‼‼‼」


 その領収書にはレームの血判状が押してあった。


「レーム様はお前を白金貨30枚で買うと言ったら大喜びで取引を行ったぞ! 所詮お前はあの人の商売道具でしかなかったんだな!」


 レオメタルはあまりのショックで跪いてたちあがることができなかった。

 ルービックが隷属の首輪をつける時もレオメタルは何も抵抗することがなかった。



 それからレオメタルは魔獣収容所に入れられて馬車馬のように働かされた。

 魔獣収容所は今でいう危険度が1桁の魔獣もいれば20を超える魔獣もいた。

 この収容所内での労働は過酷で不満を持つ魔獣もいたのだが、隷属の首輪をつけられているため反抗することができなかった。命令されたこと以外のことをすると、致死量の電気が走る仕組みになっている。

 そしてその隷属の首輪は自分から外すことができないようになっている。


 レオメタルが収容所に入れられてから1年が経過したころ、レオメタルは戦争に駆り出されることになった。

 ヨドンサムス王国は昔から隣国のヴァーム王国といがみ合って争いが絶えなかった。


「今年こそは長年にわたる戦争を終わらせることができるぞ‼ 私が育て上げた魔獣(しもべ)たちと最強の兵器であの国を徹底的にぶっ潰してやる‼‼‼」


 ルービックはそう言って喜びの舞をしていた。

 ヴァーム王国はヨドンサムス王国の10倍の人口で兵力にもかなりの差ができていた。

 そこでヨドンサムス王国は魔獣兵器を採用して何とか兵力の差を埋めていたのである。


 そして戦争がはじまり、ヴァーム王国がヨドンサムス王国に攻め込んでいた。

 ルービックは不敵な笑みを浮かべて、


「全魔獣、出撃だ‼‼‼‼」


とスピーカー越しで叫んで収容所にいた魔獣を全部戦場に解き放った。

 そしてヴァーム軍とヨドンサムス王国の魔獣軍団は激しい戦いを始めた。

 やはり魔獣と人間では実力差があって戦況は完全にヨドンサムス王国に傾いた。


 そして魔獣を戦場に解き放ってから2日経過したころ、魔獣たちは長時間の戦闘によって体力と魔力がかなり消耗していた。

 ルービックはその戦況を見て、


「さすがに魔獣たちだけでは限界があったか!」


と言って、指令室のドクロマークのボタンを強く押した。

 すると、ヨドンサムス軍本部から巨大な大砲が出現して、その大砲から巨大な青白い閃光が発射された。


 ヒューーーー…………パァーーーーン…………ズドドドドドドォーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼


 巨大な青白い閃光は複数の青白い閃光に分離して、流星のごとく戦場に降り注がれた。

 その青白い閃光は敵味方関係なくすべてのものを破壊尽くした。


「フハハハハハ‼‼‼ どうだ、この威力‼‼‼ 収容所の中の魔獣から少しずつ魔力を収集して作り出した兵器だ‼‼‼ さあ! あの忌まわしきヴァーム王国を消し飛ばせ‼‼‼」


 ルービックはその青白い閃光があまりの威力で机をバンバン叩いてろ込んでいた。

 そして青白い閃光はレオメタルのすぐ近くにも降ってきた。

 その閃光によってレオメタルが収容所で仲良くなった魔獣たちみんな犠牲になった。


「やめろーーーーーーーーー‼‼‼‼‼‼」


 レオメタルの声は当然聞こえることなく、レオメタルにも青白い閃光が直撃した。

 レオメタルは瀕死状態になってうつぶせの状態で倒れた。

 レオメタルが仲間の魔獣を見ると、仲間の魔獣と目が合って仲間の魔獣は涙を流して息を引き取った。

 レオメタルは怒りがこみあがってきて、


「許さなん許さん許さん許さん許さん許さん……許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉ‼‼‼ 人間がぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼‼」


と戦場に響き渡るほどに発狂した。

 そのとき、レオメタルの体が光り始めてレオメタルの体はどんどん巨大化していった。

 そう、レオメタルは‶(リーイン・)(カーネーション)〟を始めたのだ。

 さらにレオメタルは爆発的な負の感情によって覚醒して‶王格の魔獣(ロイヤルビースト)〟になった。


 GAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 レオメタルの雄叫びはすさまじい魔力を放って青白い閃光の雨をかき消した。


「素晴らしい‼‼‼ これが魔獣の本当の力ですか‼‼‼ さあ! その力でヴァーム王国を滅ぼせ‼‼‼」


 ルービックはそう言って命令したのだが、レオメタルはその命令を無視した


「人間は全員俺の手で滅ぼしてやる‼‼‼」


 レオメタルはそう言うと、口からワインレッドの閃光を生成し始めた。


「まずはこの国たちを滅ぼしやるか、

 ‶紅王(ベスティア・)(ピストーラ・デル・)魔獣砲(ロート・カイザー)〟」


 そう言ってレオメタルは無表情のままワインレッドの閃光を発射した。


 ズッドォーーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 ワインレッドの閃光はヨドンサムス王国とヴァーム王国を血に染めた。

 そしてその2つの国は地図上から抹消されたのである。


(俺はもう人間を信じない‼ 再び俺がこの世界にやってきたときが貴様ら人間界の最後だと思うのである‼‼)


 レオメタルはそう言って、空間をこじ開けて人間界から姿を消した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ