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84話 『追憶のレオメタル 【1】』

 ワインレッドの閃光を受けた颯太は気を失ったまま墜落していった。

 服も熱によって上半身はボロボロに焼け焦げていて、颯太自身も所々に軽いやけどを負っていた。


「しかしさすが‶プラチナランク冒険者〟であるな! 最強の‶魔獣砲〟を受けてもこの程度の傷だけで済むなんてな!」


 レオメタルはそう言いながら破壊された自分の体を修復していた。


「ではさっさと‶龍斬り〟にとどめでも刺すとするか! お前ら! 行くのである!」


 レオメタルは自身が生成した鋼のライオンたちに颯太の目の前で自爆するように命令した。

 そしてライオンたちが体内を光らせて颯太の方へ走っていったら、


「‶千年水晶(サウザンドクリスタル)〟‼‼‼」


と地面が凍り始めてライオンたちはその氷に呑み込まれて水晶のように輝きながら凍結した。


「何であるか!?」


 レオメタルはきょとんとしながら周囲を見渡した。

 そしたらソマリが地面に手を置いて地面を凍らせているのが分かった。


「お前であるか……‶雪姫〟。全くどいつもこいつもしぶといのである!」


「何度でも言いなさい! 私たちはこの国の戦士! あなたたちなんかにこの国を滅ぼされてたまりますか!」


 ソマリは体に付着した泥や砂をぱんぱんと払いながら言った。


「そ~いうことだよ~! ‶冒険者〟はしぶとくないとやっていけないからね~!」


 ソマリに続いて静香も立ち上がって言った。

 そしてリーナも、


「決して私達だけであんたを倒せるなんて思っていないさ! だが私は颯太が再び立ち上がってくれることを信じて戦う!」


とレオメタルに啖呵を切った。


「信じるだと……それがどれだけ愚かな行為なのか教えてやるのである‼‼‼ そしておぬしらが俺に勝負を挑んだことを後悔させてやるのである‼‼」


 レオメタルは今までにないほどに怒り狂って叫んだ!

 リーナたちはその光景にかなり驚愕していた。


(人間を信じるなんてみんな馬鹿なのである……)






 ――50年前


 当時は国同士の争いが絶えなかった。

 国は戦争のためにあらゆるものに手を付けてきた。

 召集令状、魔導兵器、さらには魔獣をも使役して兵器利用していたのである。


 とある山の中でひっそりと生活してた鋼の子ライオン……レオメタルは今日も自分よりも小さな魔獣を食らっていた。


「あ~おいしかった! 今日も平和であるな!」


 レオメタルは大きく深呼吸してその後に後ろ足で自分の顔を掻いていた。

 レオメタルは山の中で生活しているため、国同士の戦争のことなんて全く知らなかった。

 心の優しいレオメタルは捕まえた獲物を種族が違う仲間たちにも分け与えていた。

 レオメタルはそんな生活がこのままずっと続いてもいいなと思っていた。


 しかし事件はある日、突然やってきた。

 レオメタルはいつも通り食料を探していたら、上空から無数の火属性魔法が飛んできた。

 そしてレオメタルが暮らしていた山は一瞬で火の海となってしまった。


「な、何であるか!?」


 レオメタルがそう言った瞬間、大きな魔力を感じて危険を察知して、その場に隠れた。

 するとそこへ兵士と魔導士が歩いてきた。


「おい! この中に強そうな魔獣はいるか!?」


「いや、どれも大した事ねえな! もう人も住んでいねえこんな山さっさと焼き払うか!」


 兵士は手に持っていた魔獣の死骸をポイっと捨ててしゃべっていた。

 実はその魔獣の死骸はレオメタルが食料を分け与えていた仲間の魔獣だったのだ。


「ああ……ああああああああああああ‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


 レオメタルははらわたが煮えくり返って、この山を焼き払った兵士たちに襲い掛かった。

 レオメタルと兵士と魔導士の争いは一晩続いてレオメタルは兵士や魔導士たちを皆殺しにした。

 しかしレオメタルもその争いによってかなりの深手を負ってしまって死にかけていた。

 そこへ一人の冒険者がやってきた。


「だ……誰であるか? おぬしもあれの敵であるか……」


 レオメタルはかすれた声でそう言うとその冒険者は、


「君、人間の言葉が話せるの? すごい! そんな魔獣初めて見た!」


と言って大はしゃぎしていた。

 その光景を見ていたレオメタルはおかしくなって笑っていた。


(人間の中にもこんな奴がいるのであるな!)


 いつの間にかレオメタルはその冒険者に気を許していた。


「ねえ! 君、僕と一緒に冒険者やらない? 僕の名前はレーム! 君の名前は?」


「レオメタルである! 冒険者っていうのは楽しいのであるのか?」


「とっても楽しいよ! そして仲間と一緒に旅をするともっと楽しいよ!」


 レオメタルはその冒険者の無邪気な笑顔に惹かれていった。

 そしてレオメタルはたくさんの仲間を失った代わりに大切な仲間ができた。



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