83話 『龍斬りの秘策』
魔力を上げたレオメタルの移動速度はさらに上がり、颯太も超速移動でレオメタルを追いかけるのだが、背後をとられてレオメタルの一方的な攻撃を受けている。
しかし颯太も攻撃を受ける場所に‶鋼筋武装〟をしてダメージを最小限に抑えていた。
「あのライオン……タイショーウルフよりも速えな! 早いとこ奴の行動を読めるようにならないと……この応急処置があとどれくらい持つか?」
颯太はそう言って右わき腹の傷を抑えていた。
この傷はタイショーウルフと戦っていた時につけた傷でタイショーウルフとの戦闘後にリーナの電気魔法によって傷口の神経を麻痺らせて止血していたのだ。
しかしその麻痺が治ったら再び大量出血してしまい、勝ち目がなくなってしまう。
「メッタッタッター! おぬし、この感覚は久しぶりであるか? 自分が敗北の危機に陥っているということが」
「うるせえ‼‼ 俺はまだ負けてねえ! ‶鎌鼬・乱れ斬り〟‼‼‼」
颯太は自分の黒刀を目にもとまらぬ速さで振り続けて黒風の斬撃を連続で飛ばした。
この斬撃は大きさは普段の‶鎌鼬〟より小さいが、威力は変わらず、機関銃のごとく速く無数に発射できる。
颯太のこの技はまさしく‶斬撃のマシンガン〟と言っても過言ではない。
「フン! こんなもので俺を揺さぶれるとでも思ったのであるか? 甘い‼‼」
レオメタルは超速移動を行って斬撃のマシンガンをかわして自身も大剣を大降りして巨大な斬撃を飛ばした。
「やはりそう来たか! 俺の読みは正しかったぜ!」
颯太は不敵な笑みを浮かべてレオメタルの巨大な斬撃をひらりとかわし、超速移動でどこかへ行ってしまった。
「どこ行ったのである? 早く出てこい! さもないとこの国を破壊してしまうのである!」
レオメタルはそう言って‶魔獣砲〟の構えをとっていたら、
「俺はここだ! レオメタル‼‼」
とレオメタルからかなり離れたところから黒刀に巨大な旋風をまとわせた颯太が叫んだ。
「何であるか!? それは」
「俺はお前が俺の‶鎌鼬・乱れ斬り〟を必ずかわすと読んだ。だからお前に気づかれないようにかわされた斬撃を一つの場所に集めておいてお前の攻撃をかわすふりをしてそこへ行ってその斬撃を俺の刀に集めさせたのさ!」
「そんなことをして何をするつもりであるか?」
「俺が今から使う技は魔力を溜めるのに時間がかかるんでな! あらかじめ攻撃に見せかけておいて魔力の塊を飛ばしといてあとから回収した方が隙を見せずに大技が使えるんだよ!」
颯太はそう言うと、黒刀にまとわせている旋風をさらに大きくさせた。
「お前はこいつをかわせねえ……絶対にな‼‼
‶疾風・大鎌鼬〟‼‼‼」
「何であるか!? この速度とこの大き……」
ズッバーーーーーーーーン‼‼‼‼
颯太の斬撃は普段の‶大鎌鼬〟よりも大きく、そして
‶鎌鼬・乱れ斬り〟よりも速い速度でレオメタルに直撃して大地がざっくりと深く切り込まれた。
「ハァ……ハァ……さすがに今のはやばかったであるな!」
レオメタルは颯太の斬撃が直撃する瞬間に自分の大剣で斬撃を止めようとしたのだが、大剣は綺麗に真っ二つになって、レオメタルの両腕を消し飛ばされて胸部を深く抉られてしまった。
そして抉られた部分から赤い玉がきらりと輝いた。
(恐らくあれがやつの急所! こいつを破壊したらやつは絶命するはずだ!)
颯太はそう思って黒刀を持っていない方の左手から黒い閃光を生成させた。
「これで最後だ! レオメタル!
‶漆黒の魔獣砲〟!!!!!」
颯太はレオメタルに向けて今までで一番大きな黒い閃光を発射させた。
黒い閃光がどんどん近づいてきて、後がなくなったレオメタルは、
「あれを使うのは極力控えろと上から命令を受けているのであるが、お前相手に使わないのは失礼であるな!」
と言い、口からワインレッドの閃光を生成させた。
そのワインレッドの閃光からは凄まじい魔力が漂い、周囲の地面が揺れ始めた。
「こいつは危険度30を超える魔獣のみしか使えない最強の‶魔獣砲〟である! せいぜい死ぬんじゃないのである!
‶紅王の魔獣砲〟!!!!!」
ズッドーーーーーーーーーーーーン
ワインレッドの巨大閃光は颯太ごと黒い巨大閃光をいとも簡単に飲み込んで大爆発を起こした。
リーナとソマリと静香はその光景を目にして驚愕した。
「そうたあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
リーナの叫び声が国全体に響きわるくらい凄まじかった。