80話 『恐怖の獅子脅し』
「メッタッタ―! だがやはりお前ら相手に手加減をするのはさすがに骨が折れるであるな! よし、少しだけ本気を出すか!」
レオメタルはそう言うと、魔力を一気にあげた。
ソマリと静香はその風圧に吹き飛ばされそうになっていた。
「ぐっ! なんて高い魔力ななの! あれがあの魔獣の全力なの!?」
「メッタッター! これでもまだ半分も出していないのである! だがお前らを倒すのにはこれくらいで十分なのである!」
レオメタルは高めた魔力を全て両人差し指と中指に集中させて、その指を地面に突き刺した。
「‶王格の魔獣〟の実力を見せてやろう! ‶豪鋼・獅子脅し〟‼‼‼」
レオメタルの魔力が地面に伝わってソマリたちの足元から3メートルほどの鋼でできたライオンの魔獣が数十体出現した。
「何!? こいつら……」
静香はそう言って咄嗟に刀を構えようとしたのだが、両腕が上がらなかった。
どうやらさっきの巨大な斬撃を放ったことで肩を痛めてしまったようだ。
「このライオンたちは俺の魔力によって作られた魔獣である! この魔獣たちの危険度は20ないくらいなのだが、こいつらは俺の意思のままに動くのである! まあ、せいぜい気を付けるのである!」
レオメタルはそう言うと、作られた3メートルほどのライオンの魔獣に思念を送って静香に攻撃するように命令した。
するとライオンの魔獣は一斉に口を開いて青白い閃光を発射した。
「こいつらの攻撃手段は主に‶魔獣砲〟だけなのである!だがその威力は‶幹部補佐〟の‶魔獣砲〟に匹敵するのである!」
今の静香ではあの青白い閃光は対処できないと思ったソマリは、
「‶戦えない人に攻撃する何て最低よ! ‶反撃の氷壁〟‼‼‼」
と言って扇子を思いっきり扇いで吹雪を起こして、静香の前に巨大な氷の壁を生成させた。
そしてその壁はとても頑丈で複数の魔獣の‶魔獣砲〟を受けてもびくともしなかった。
さらにその巨大な氷壁は設置されていた氷の砲台からレーザービームを発射した。
そのレーザービームを受けたライオンの魔獣たちは一瞬にして全身を凍らされてしまった。
砲台からはレーザービームだけではなく、氷柱の弾丸まで発射された。
その氷柱の弾丸によってライオンの魔獣は次々に串刺しにされてしまった。
どうやらレオメタルから生み出された魔獣の体はレオメタルほど硬くなかったようだ。
しかし、串刺しにされた魔獣の体内が急に光出して、
ドッガーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
と超広範囲で大爆発を起こした。
幸いソマリと静香はソマリの出した巨大な氷壁で身を守ることはできたのだが、その氷壁はぐちゃぐちゃになっていた。
「あちゃーー! ばれてしまったであるか! これで分かったであるか? こいつらの最大の武器は自爆能力である! そしてこいつらはやられると自動的に大爆発を起こす仕組みになっているのである!」
レオメタルはそう言うと、思念を一体の魔獣に送った。
するとその魔獣が走り出して、ソマリと静香の前に来た瞬間、体内を光らせた。
ドッガーーーーーーーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
ソマリと静香は至近距離でその大爆発に呑み込まれてしまった。