73話 『不屈のアシュラBコング』
「フゥ―何とか倒せたみたいだね!」
フリックは‶魔導神装〟を解除しながらロゼたちに話しかけた。
「先生、今この国ではいったい何が起きているんですか?」
「今この国に魔獣の大群が進行してきているんだ。それであの魔獣はその大群の‶幹部補佐〟っていう役職に就いた魔獣なんだ。 先ほどレージス学長とソマリさんから‶幹部補佐〟を倒したという連絡が来てね、こいつを含めて3体は討伐することができた。でもまだ強い魔力があと2つも残っている」
「あの魔獣があと2体もいるのですか!?」
エリーサはフリックの説明に驚愕した。
「それもどうやらその2体の危険度はどっちもこいつよりも高いんだ! それと僕は今の戦いでかなり魔力を消耗してしまった」
フリックの言葉を聞いて4人は絶望した。
「だから今奴らと戦っている人達に賭けよう!」
「「「「……」」」」
ロゼたちは不安な顔をしてフリックの言葉を信じることはできなかった。
(あとは頼んだよ! 敦君! 颯太君!)
――マリアネス第二魔法学院
敦とアシュラBコングの実力はお互い拮抗していて両者の戦闘は鍔迫り合いを演じていた。
「ハァ……ハァ……なかなかやるじゃねえか!」
「ウホォ……ウホォ……てめえもなかなかだぜ!」
敦は傷は負っていないものの魔力もだいぶ消耗して息切れをしていた。
アシュラBコングの肉体は頑丈なのだが、敦の攻撃を受けすぎて体にガタが来ていた。
「ウホホ! 俺はまだまだ魔力は有り余っているぞ! お前に一撃でも食らわせれば俺の勝ちだぜ!」
「うぬぼれるな! 誰が魔力切れだって言った? 俺だってまだまだいけるぜ! ‶蒼炎天暴流脚〟‼‼‼」
敦はそう言ってアシュラBコングに向かって走り出して、蒼い炎の足でアシュラBコングの顔面に蹴りを入れた。
炎の蹴りはアシュラBコングにクリティカルヒットしてアシュラBコングは敦の勢いに押されそうになっていたが、踏ん張って敦の炎の足をガシっとつかんだ。
「クソッ! 何をする!」
「ウホホッ! 俺の本気のパンチが取れ程恐ろしいものなのかを体に直接教えてやるよ! ‶雷拳修羅〟‼‼‼」
アシュラBコングの正面の顔はそう言って敦を宙に投げて雷を帯びた左拳で思いっきり敦を殴り飛ばした。
「ゴハッ!?」
腹部を思いっきり殴られた敦は反吐を吐きながら校舎の方までぶっ飛ばされた。
「ウホホホホー! どうした? もう終わりか?」
「まだ終わってねーよ! ‶蒼炎天鳳凰拳〟!!!」
敦はそう言って瓦礫の中から飛び出して、蒼いアシュラBコングよりも遥かに大きい火の鳥を飛ばした。
「ぬぐ!? 何だ? この威力はーーーー!!!!」
アシュラBコングはその攻撃を受け止めようとしたのだが、あまりの威力に完全に押されていた。
「これで終わりだーーーー!!!! ‶蒼炎天滅却砲〟!!!!」
敦はさらに巨大な蒼い火球を飛ばして、蒼い火の鳥を倍の大きさにさせた。
「グォォォォ!!!!! お、押されるーーー!!!!」
ボガーーーーーーーーーーン!!!!!
アシュラBコングは火の鳥に完全に飲み込まれて、あたり一体は焼け野原になっていた。
「な、なんて破壊力なんだ!?」
その光景を見ていたボロボロのマッチョッテは仰天していた。
「ハァ……ハァ……これで終わったか?」
敦の身体は限界に達していて立っているのがやっとの状態になっていた。
しかしアシュラBコングの魔力は消滅しておらず、むしろどんどん上昇していた。
「ウホォ……ウホォ……この程度の攻撃で……勝ったつもりかぁぁぁ!!!!!」
アシュラBコングは全身かなり焼けていて体毛もかなり燃え落ちていた。
そしてアシュラBコングの魔力が爆発的に上がり始めた。
するとアシュラBコングの姿は変わり、腕が倍の12本になって3つの顔が1つになり、そのひとつの顔に目が2つから6つになった。
傍から見ればもう化け物にか見えないくらいに変貌していた。
「ウホホホホー! これがアシュラBコング‶リベンジ・オフェンスモード〟だ!!!!!」
アシュラBコングはそう言って12本の手から‶魔獣砲〟を乱射し始めた。