71話 『眩耀のフリック』
「チッ! こうなったら……ウオォォォォォォォ‼‼‼ やっぱロゼちゃんかわいい‼‼‼ ‶LOVEヒール〟‼‼‼」
ジェンダーウロスはロゼの顔を見ることによって、ロゼから出ているフェロモンを感じ取り、自身の魔力を上昇させた。それによって先程フリックに打ち抜かれた肩の傷が治った。
「何でもありだな、その気持ち悪い能力」
「気持ち悪いってなんだよ! ああん! てめえぶっころすぞおら‼‼」
ジェンダーウロスは人が変わったかのように態度が変わって腰に携えている剣を抜いて、馬の足で猛スピードで突進してきた。どうやらこの魔獣は女性に対しては気持ち悪い変態に、男性に対しては負の感情を露わにするとても分かりやすい性格の魔獣だとフリックは感じた。
「本当のことを言って何が悪いんだ? 君みたいなやつは生徒の教育に悪影響だ! さっさと失せろ‼‼」
「そういうわけにはいかねーんだよ、カスが‼‼ こっちはロゼちゃんもらわねえと気が済まねえんだよ!」
ジェンダーウロスはそう言うと、剣から黒いオーラを出して、
「‶DEATH スラッシュ〟‼‼」
とその黒いオーラを放った剣を振って黒色の斬撃を放った。
(この魔力、闇属性か?)
フリックは光属性である自分が闇属性の攻撃を受けるのはまずいと思って回避しようとすると、その斬撃から引力が生じてフリックがその引力に引き寄せられた。
「くそ、これはマジでヤバイ!」
ズドォーーーーーーーン‼‼‼‼
フリックはその黒い斬撃をまともにくらい、頭部から血が流れていた。
「ハーハッハッハー‼‼ この世界ではあまり闇属性の認知度が低いからなあ! 闇属性の最大の特徴、それは引力! 引力はあらゆる物体を引き寄せる力! さらに光属性を必要以上に引き寄せることができる! だからお前は俺には敵わないはずだ‼‼」
ジェンダーウロスはそう言って勝利を確信したような顔をして笑っていたのだがフリックも同じような顔をしていた。
「バカか? 君は……光を必要以上に引き寄せるのなら、俺の攻撃もお前は必要以上に引き寄せてしまうはずだろ?」
フリックはジェンダーウロスにそう問うて、剣を構えて魔力を上げた。
「眩耀よ! 激しい光で平和な世界を照らせ‼‼ ‶魔導神装〟‼‼‼」
フリックが詠唱した瞬間、激しい光が彼を包み込んだ。
ジェンダーウロスやロゼたちもその激しい光を見て、目がくらんだ。
そしてフリックは黒いスーツ姿から金色の鎧を身に着けた黄金の騎士になっていた。
「さあ! 淫行する貴様には光の制裁を!」
「出たな! ‶王の騎士団〟の‶眩耀のフリック〟‼‼」
ジェンダーウロスはフリックのあまりのまぶしさに目を細めて剣を構えていた。
フリックは黄金の剣から激しい光を放った閃光を生成した。
それを見たジェンダーウロスも口から青白い閃光を生成させた。
「その程度の光じゃ俺には勝てない! ‶輝く巨星一つ〟‼‼‼」
「クソッ! そんなもの、俺ので撃ち落としてくれるわ! ‶魔獣砲〟‼‼‼」
ズドォーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼
フリックとジェンダーウロスは同時に閃光を発射して2つの巨大な閃光は衝突した。
しかし、フリックの閃光砲はさらに威力が増して、ジェンダーウロスの放った青白い閃光をかき消した。そして光り輝く閃光は速度を上げてジェンダーウロスに直撃した。
「グアァァァァァ‼‼ そんな馬鹿な!?」
ジェンダーウロスは輝く光に体全身を焼かれてもがいていた。
「光で俺に勝とうとするからだ! 恥を知れ‼‼」
フリックは黄金の剣を倒れているジェンダーウロスに向けてそう言った。
「フリック先生、あんなに強かったの!?」
ロゼがフリックの実力に驚愕していたら、
「フリック様……素敵‼‼」
と言うキャシーの声が聞こえた。
「「「え、マジで!?」」」
ロゼ、ミーア、エリーサは声をそろえてそう驚いた。