68話 『最硬度のカタイーグル』
「秩序乱すものに裁きを‼」
レージスはそう言って土の巨神を動かした。
「チッ! でかくなったところで所詮ただの土の塊だ! 破壊できねえわけがない‼」
カタイーグルは自分のくちばしを光らせて突進してきた。
「どうせコックピットみたいなところがあるんだろ! そこに穴をあけてあのジジイを引っ張り出せば俺の勝ちだろ! ‶銀色の槍〟‼‼」
カタイーグルは土の巨神に接近しながらさらに体を回転させ始めて貫通性能を高めた。
しかし真正面から突撃してきたので、土の巨神はそれを見切って右手の甲でカタイーグルをはじき飛ばした。
土の巨神は軽くはたいたつもりだったのだが、カタイーグルはいろいろな建物を破壊しながら数キロ先まで吹き飛ばされてしまったのだ。
「さすがに正面からの攻撃には反応できるか!」
カタイーグルは瓦礫の中から顔を出して呟いた。
幸いカタイーグルの体は世界一硬い物質と呼ばれているミスリルを破壊できるほどの硬さを持っているため、ほぼ無傷であった。
「それじゃあ少しずつやつの体を削っていって中身をあぶりだしてやるか!」
カタイーグルは再び飛びあがって土の巨神に接近した。
「何度やっても同じことじゃ!」
レージスはそう言って土の巨神でカタイーグルを殴りかかった。
しかしカタイーグルはひらりとその攻撃をかわして、
「まずは足元からだ! ‶銀翼の斬撃〟‼‼」
と銀色の翼を光らせて土の巨神の足を切り裂いた。
しかし土の巨神の足は大木のように太いため切込みが入ったくらいのものだったのだが、カタイーグルは続けてわき腹の部分も切り裂いた。
土の巨神も反撃しようと攻撃を仕掛けるのだが、一向に攻撃が当たらない。
さすがにまずいと思ったレージスは土の巨神の両腕から大砲を複数生成させて、そこから追尾弾を発射した。
その弾の成分は‶マドミサイルレフト〟同様、弾の中に大量の空気が詰まっていて直撃すると大爆発を起こす。
レージスは追尾弾から逃げ回ることによって単調な動きになったカタイーグルを巨神の巨大な右手で思いっきり叩き潰すという作戦を考えていた。
「どうせこの砲弾から逃げ回っている俺を上から叩き潰すつもりなんだろ?」
「ギクッ!?」
「やはりな……それとこの砲弾、逃げ回る必要もねえな! 迎撃してやるぜ‼ ‶弾丸の羽根〟‼‼」
ズドドドドドドォーーーン
レージスの作戦はいとも簡単に見破られてしまい、飛んできた銀色の羽根によって相殺された。
そしてカタイーグルは‶銀翼の斬撃〟を発動して土の巨神の右腕の周りを円を描くように回ってバラバラに切り裂いた。
「もう万策尽きたな!」
「いや、わしの作戦は今から実行される!」
「何?」
レージスの言葉が理解できず、カタイーグルはかくりと首をかしげていた。
するとバラバラになった土の巨神の右腕の欠片が宙を浮いていてカタイーグルの周りを回り始めた。
「なんだ? これは……」
「‶マドロック〟‼‼」
レージスがそう言うと、カタイーグルの周りをまわっていた土の塊が粉々になり、カタイーグルにまとわりついた。
「クソッ! 何だよこれ、セメントみたいに固まりやがって!」
その土は次第に固まり、カタイーグルは固まった土に覆われて身動きが取れない状態になった。
「クソッ! だがこんなことをしたところで無意味だ! すぐにでも脱出してやるよ!」
「だけんその間に決着をつければいいだけじゃろ?」
レージスはそう言うと、巨神の左腕に魔力を込めさせた。
「チェックメイトじゃ! ‶マドジャイアントクラッシュ〟‼‼」
ズドォーーーーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼
土の巨神は固まっているカタイーグルを上から巨大な左手で思いっきり殴り潰した。
そしてその衝撃によって半径1キロメートル圏内で地割れが起き、大地が盛り上がりとかなりすごいことになった。