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664話 『純白の悪魔』

「俺を倒すと言ったか? 随分と大きく出たな! だがそれくらいの威勢が無きゃ困るってんだよ!」


 ジャグバドスは久々に闘志が燃え上がり、その熱い情熱が邪神力のオーラとなって湧き出ている。


「さぁ! どこからでもかかってこい! 白き戦士よ!」


「そうか? だったら遠慮なくいかせてもらうぜ!」


 ジルジオンは白い刀身と変化した‶滅龍丸〟を抜き、白い邪神力をその刀身に集中させる。


「‶黒刃(こくじん)〟じゃなかった、くらいやがれ! ‶白刃(びゃくじん)〟‼‼‼‼」


 ジルジオンの放った斬撃はレーザー光線の如く一直線に突き進み、海面を真っ二つに斬り裂く。


「ほう、すげぇ破壊力だ! これなら俺の鱗も破壊されそうだ」


 ジャグバドスは自分の傷ついた鱗を触りながら不敵な笑みを浮かべる。


「鱗だけじゃねぇ! てめぇの肉体すらぶった斬って見せるわぁ!」


 ジルジオンは純白の刀を構えると、足に邪神力をまとわせて‶神速〟を行う。


「なんて速さだ!? この俺と同等の速度か!?」


 ジャグバドスも同様に‶神速〟でジルジオンの後を追い、陸海空を行き来した高速の戦いが繰り広げられる。


「すげぇなぁ! これが‶聖魔大戦争〟を終わらせた力か!」


 まだこんなの全力の一端に過ぎねぇよ! もっと面白れぇもん見せてやる!」


 ジルジオンの刀から再び白い邪神力が流れ出す。先ほどのような‶白刃〟を放つつもりなのだろうか。


「今度は一発だけじゃねぇぜ! ‶白夜叉無双(しろやしゃむそう)〟‼‼‼‼」


 ジルジオンは地割れした崖に潜り込んだジャグバドスを追いかけ、白く輝く斬撃を連続で放つ。


 ズババババババァァァァーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


 一秒で百連撃と言ったところだろうか。無数の太刀筋は崖だけではなくその大元の山すらバラバラに切り裂いた。


 舞い上がった土煙の中には斬撃に巻き込まれた魔獣の肉塊も浮き上がってくる。なんとも残酷な光景だろうか。


 その後も白い太刀筋があちらこちらに映り、その数秒後に巨大な地形が一刀両断される。その切れ味だけなら‶剣豪〟に引けを取らないくらいだ。


「すごい、こんな戦い、あの時以来だ」


 リーナは異次元の戦いを目の当たりにして呆然としていた。そんなリーナに危機感を抱いた雀臨(じゃくりん)はリーナを足で掴んで持ち上げる。


 するとリーナのいた地面がジルジオンの斬撃によって真っ二つに斬り裂かれる。それを見てやっと我に返る。


「こんな颯太らしくない戦い方。やっぱりあいつは颯太とは別人なのか?」


 リーナは颯太の知人の中では一番よく知っている間柄だ。しかしそんなリーナも知らない颯太の内なる事情がある。


(私は颯太のことをよく知ってるつもりでいた。でもよくよく考えたらあいつのことなんか知らないことばかりだな)


 リーナは戦っているジルジオンのことを見て再び物思いにふける。


「ちょっと! また自分の世界に入ってませんか? 体の傷よりも先に頭の傷の方を治しましょうか?」


「あんた以外ときついこと言うんだな」


 リーナは雀臨の辛辣な一言に苦笑いを浮かべる。



 一方ジルジオンの方では戦況が一変し、ジャグバドスの一方的な攻撃を必死で受け続けている展開になっていた。


「どうした? さっきまでの威勢は何だったんだ?」


「うるせぇ! すぐにでも切り刻んでやるに決まってんだろ!」


 ジルジオンは純白の刀に邪神力を送り込み、凄まじい大旋風を巻き起こす。


(颯太の見様見真似だがやってみる価値はある!)


 風をまとった刀を大きく振りかぶり、高く飛び上がる。


「‶白嵐太刀(びゃくらんたち)〟‼‼‼‼」


 純白の旋風が斬撃となり、ジルジオンの刀から放たれる。


 ズバァァァァーーーーーーーーン‼‼‼‼‼‼


 白風の斬撃はジャグバドスを呑み込み、近隣の無人島を木端微塵に消し飛ばしてしまった。

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