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661話 『復活の龍斬り』

 真っ黒な煙が立ち上り、蒸発した箇所に海水が勢いよく流れ込んでくる。


 すると突如、百メートルくらいまで高く上っていた煙が激しい突風によって一瞬でかき消される。


「やっと……やっと目覚めたか? ‶龍斬り〟‼‼‼‼」


 ジャグバドスはグルルと落雷のような唸り声でそう言う。煙の中から姿を現したのはリーナとソースイウルフを抱きかかえた颯太だった。


「すまねぇリーナ、俺のためにここまで体を張ってくれて」


(いやむしろ最後は御褒美だったというか……)


 深く感謝の言葉を述べる颯太にリーナは少々照れ臭そうにそっぽを向く。


「ソースイウルフも、俺を守りながら戦ってくれてありがとう!」


 しかしソースイウルフの反応はなかった。それも当然だろう。片腕を失うまでの重傷を負いながら戦い続けてきたのだから。


「待たせて悪かったなジャグバドス! もう俺は負けねぇ! ここまで俺のために命かけてきた仲間たちのためにも……絶対にお前を倒す!」


 リーナとソースイウルフを下ろした颯太はそう啖呵を切ると、黒刀を抜き、漆黒のオーラをまとう。

 しかし今までの‶魔導神装〟とは異なり、颯太の右半分の髪の毛が真っ白に色が抜け落ち、白と黒のツートンカラーの髪形となった。さらに右半身の皮膚に黒い模様が浮き出て、2年前に見た懐かしい姿となる。


「あの姿は確か……」


 リーナは見覚えのある変身に空いた口がふさがらなかった。


「‶漆黒の第二形態〟か? 確か‶魔人ラボ〟との戦いで見せた」


「よく知ってるじゃねぇか? ‶闇ギルド〟からの情報か?」


「‶闇ギルド〟とつながってることも把握済みか……お前も大概だな!」


 颯太とジャグバドスはお互い知っている情報を出し合うと、同時に目つきが急変する。


「無駄話はもういいだろ? これ以上無駄口叩くならこっちから行かせてもらうぜ!」


「……颯太?」


 リーナは颯太の態度の変わり様に不安な気持ちを抱く。


「かかってこい! ‶龍斬りィィィ〟‼‼‼‼」


 バリバリバリバリーーーーー‼‼‼‼‼‼


 ジャグバドスが落雷を放つと、颯太は風を足場にしながら飛び出し、見事にかわしていく。


「くらいやがれぇー‼‼‼‼‼」


 颯太はそう叫びながら漆黒のオーラをまとった斬撃を放つ。


 ズドォォォォォーーーーーーン‼‼‼‼‼‼


 ジャグバドスの顎に直撃するが、その鱗には傷どころか汚れ一つつきはしなかった。


「ならば今度はこっちの番だぜ!」


 ジャグバドスは何十キロメートルもある長い胴体に漆黒の炎をまとわせ、グリングリンと大回転を始める。すると数メートルもある鬼火を何万個も生成し、颯太にぶつけようとする。


「こんなもん! 全て消し飛ばしてくれるわぁぁ‼‼‼‼」


 颯太はそう叫ぶと、漆黒の刀身に邪神力をまとわせ、勢い良く打ち放つ。


「‶鴉群百連撃(あぐんひゃくれんげき)〟‼‼‼‼‼」


 颯太の刀から放出したモクモクした黒い煙の中から無数の鴉が飛び出し、次々と鬼火に正面衝突する。


 しかし数で完全に押し負けているので、颯太はすぐにその場から離れ、追尾してくる鬼火を躱し続ける。


「ヌハハハハハーーーー‼‼‼‼ そんなんじゃいつまでたっても俺の鱗は斬れんぞ!」


「チィ! 颯太の奴こんな怪物とずっと戦い続けてきたのかよ!」


 颯太は自分のことをまるで他人事のようにボソッと呟く。


 それもそのはず、実は今ジャグバドスと戦っているのは颯太であって颯太ではないからだ。


『もう少し辛抱してくれよ! ジルジオン‼‼‼‼』


 彼の心の中から、颯太と思われる声が聞こえる。

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